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連絡先

日曜日の朝、と言っても10時を回った頃、部屋のドアをノックされて私は目を覚ます。

「はーい!」

そう叫ぶとノックが止んだ。

「りきちゃん、ごめんね。お友達が来てるの。」

ドア越しに空さんは申し訳なさそうに言った。

「約束はしてないってあの子は言ってたけど……」

私がドアを開けて空さんと向き合うと彼女はそう言った。

「玄関で待ってもらってるわ。」

「わかりました。ありがとうございます、空さん。」

「う、うん。大丈夫?」

「大体わかってるんで。」


寝巻きのまま玄関に行くとそこには腰に両手を当てて佐藤が立っていた。

「いつまで寝てるのよ。」

「いいでしょ、日曜日なんだから。」

「だらしないわね。」

はぁと佐藤はため息をつく。

「ていうか、何でウチに来てるの?」

「連絡先、知らなかったから。」

「は?」

「これから出かけるから準備して。早く!」

「そんな急に言われても……」

「なにか用事でもあるの?」

「ないけど。」

「ならいいじゃない。」

強引に押し切られた私は適当にはいはいと返事をして身支度を整えるために一旦部屋に戻ろうとする。

「ちょっと待って。」

引き止められた私は立ち止まって振り返る。

「連絡先。」

佐藤はボソッと呟くように言った。

「あー、LINEとインスタどっちがいい?」

「インスタやってない。」

私は佐藤の元に戻りLINEを交換した。

スマホをしまって今度こそ戻ろうとすると再び呼び止められる。

「今度はなに?」

「感想。」

今度は自信満々にそう言って佐藤はくるりと回った。

確かに今日の佐藤は張り切ってオシャレをしているようだ。

この前も着ていた襟元に黒のリボンがついた白のブラウスを、一見ミニスカートにも見えるような、太めの黒いショートパンツにタックインしている。

ショートパンツは太ももの2/3程を露わにして、太めのシルエットが太ももの細さを強調している。

ゴールドのバックルの太い黒のベルトを締め、左腕にも黒いレザーのブレスレットをつけている。

足元はスタッツのついた黒いサンダル。

涼しげで、女の子らしさの中にどことなく攻撃性が同居しているような格好だった。

「脚、細いね。」

「早く準備してきなさい!」

顔を赤くした佐藤に両手で押し飛ばされて、私は身支度をするために部屋に戻った。

自分から脚のほとんどを見せる格好をしておいて、褒められると怒るのは理不尽な気がした。

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