キャミソール
「分かったわよ。」
そう不満そうに言った佐藤はひょいっと起き上がり、着替え始める。
彼女の事情は大体分かったと思う。
私の家庭とはある意味真逆の状況だ。
ブレザーとスカートを脱いだ佐藤はワイシャツのボタンを外していく。
しかし、事情を知ったからといって私に何かできるわけではないだろう。
「ねえ、いつまで見てるつもり?」
下着の上にキャミソール1枚の姿になった佐藤が顔をしかめながら言った。
「ごめん。考え事してた。」
「別にいいけど。」
そう言われたから私は考え事を再開した。
佐藤の家庭の事、そして自分の家庭の事。
しかし彼女はキャミソールを脱いで投げつけてきた。
「目を閉じなさい!変態。」
私は純白の下着姿で仁王立ちする佐藤に黙って従って目を閉じる。
「言ってる事違うじゃん。」
少しして私は小声で呟いた。
「何か言ったかしら?」
「恥ずかしがるような体じゃないと思う。」
頭をチョップされて思わず目を開けると、着替え終わった佐藤がいた。
彼女の服装は白地に黒で小さなブランドロゴが水玉のように点々とあしらわれ、襟元に黒の大きなリボンがついたブラウスに、布をたっぷりと使った黒のロングスカート。
リラックスしたシルエットと禁欲的な色使い、そして女の子らしいデザインが、余裕と育ちの良さを演出していかにもお嬢様といった感じだった。
「似合ってる。可愛いよ。」
素直な感想を言うとまた頭にチョップをされる。
「痛っ。」
「バカ。」




