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回想 体育祭 3/3
休み時間が終わる数分前、りきが教室へ戻ってきた。
その片手にはコンビニの袋を持っていた。
「これなに?」
「チョコチップメロンパン。なにが好きかのか分からなかったから。」
「そうじゃなくて——」
「いいから早く食べないと休憩終わっちゃうぞ。」
「でも……」
「ほら。」
「もー、分かったよ。」
僕は勢いよくパンを受け取った。
その時、優しく微笑んだりきと目が合い、胸がぎゅっとなった。
「あ、ありがと……」
食事を終えて一緒にクラスの応援席に戻ってしばらくすると、りきはどこかに消えてしまった。
きっとあの茂みだろうと思ったけど、私は応援席にとどまってクラスのみんなと体育祭の応援をした。
次にりきの姿を見たのは閉会式だった。




