回想 体育祭 2/3
教室に着くと数名の生徒がいたが、あまり関わりの無い人ばかりだった。
僕は机に座り、ぼーっとしていた。
すると斜め後ろの席から声をかけられる。
「アンタお昼は?」
「あ、りき。」
りきとは小学校と中学校も一緒で家も近所で、小さい頃は一緒に登下校もしたりしていた。
でも、そんなに特別仲が良いと言えるほどでもなかったし、中2の時にりきの親が再婚をしてからはあまり関わりがなかった。
元から人付き合いが多い方ではないりきは、その時期から人と関わる事を避けるようになった気がする。
りきの見た目が変わったのもその頃だ。
攻撃的な見た目はますますりきを孤立させた。
でも、僕にとっては沢山いる「友達みたいなもの」の中の1人だったから、特になんとも思わなかった。
それからはあんまり話さなかったし、高校に入学して同じクラスなっても、お互い関わることはなかった。
だから、すごく久しぶりに話しかけられた気がする。
「食べるものないの?」
「えーっと、ダイエット!なんちゃって……」
「は?」
僕は事情を話した。
「ここで待ってて。着いて来ないでよ。」
僕の話を聞いたりきはそう言って教室を出た。
僕は釘を刺されたが、りきの後をつけることにした。
だって、学食も購買もやってないのにどこにいくのか気になったから。
すると彼女は校舎裏の茂みに消えた。
そこでしばらく待ってみても出てこないから、僕は茂みに入ってみる。
そこにはりきの姿はなかった。
ただ少し広い空間と僕の身長には高いフェンスがあって、その向こうに住宅地の路地が見えた。
僕は教室に戻ってりきを待つことにした。




