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廊下
職員室から廊下に出ると、鈴木が直ぐそこの壁にもたれ掛かっていた。
「待っていてくれたの?」
「まぁ、そんなところ。」
「ありがとう。」
「別に待つぐらい……」
「そうじゃなくて、庇ってくれようとして。」
「それはアンタの方でしょ。」
私は思わず黙る。
私は彼女を庇うために嘘を吐いたにではない。
自分のためだ。
「とりあえず戻ろう。もう授業始まってるし。」
「そうね。」
教室に向かって歩き出すと鈴木は急に立ち止まる。
「手、繋がなくていいの?」
「学校でそんな事するわけないでしょ。」
私は爪の食い込んだ手のひらを見ながら答える。
「じゃあ、学校じゃなかったら?」
私は何も言わず、否定も肯定もしなかった。




