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呼び出し

「この学校には慣れたか?といっても、まだ二日目で慣れるも何もないか。」

「そうですね。」

職員室に入った私は鈴木が来るまでの間、先生と世間話をした。

「何か困ったら先生を頼れよ。別に俺じゃなくてもいい。」

「ありがとうございます。」

「むしろ俺は面倒ごとが嫌いだからな。」

「は、はぁ。」

冗談だよと先生が笑っていると、職員室のドアが勢いよく開き、鈴木が入ってくる。

「遅いぞ鈴木。こっちだ、こっち。」


二人揃うと先生は口調こそ変わらないが、少し神妙な面持ちで話を始める。

「まあ、端的に言うと昨日学校にいくつか苦情が入った。」

私たちは黙って先生の話を聞く。

「一つ目は……佐藤、お前は分かってると思うがお前のオヤジさんからだ。」

「佐藤の?」

「そう、娘の帰りがえらく遅くて心配だった、と。」

「先生にまでご迷惑をおかけして、すみません。」

謝る私に先生は続ける。

「そんで、本人は一人だったと言い張っていたがそんなはずはない、と。」

私は思わず顔をしかめる。

「だから、娘を連れ回すワルい友人から学校側で引き離して欲しいと。」

黙って俯く。

手に力が入り爪が手のひらに刺さる。

「それで、もう一つの苦情。昨日23時を過ぎてもマックにうちの制服を着た生徒がいたらしい。」

「あー。」

鈴木は納得したように呟いた。

「もうわかるよな?その生徒うち一人の容姿が金髪。うちに金髪はお前しかいない。」

「待ってください!」

私は咄嗟に大きな声を出す。

「私は鈴木さんと一緒にいませんでした。金髪ではない学生は私ではありません。」

「まあ、そう言うだろうな。」

「私は一人でした。だから、鈴木さんは関係ありません。」

これには先生も反論しない。

先生もそう言われれば反論できないことも分かっているはずだ。

「ワルいのは私です。」

先生は分かったと頷いた。

「じゃあ鈴木。お前はどうなんだ?」

「先生の考えてる通りです。私が連れ回しました。」

なぜか鈴木は話を合わせなかった。

「ちょっと何言ってるのよ!」

「佐藤の家にも私が謝りに行きます。」

鈴木は私を無視してそう続けた。

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