目元
次の日、教室に入り机にカバンを置く。
「おはよー、りき。」
「おはよう。」
園田といつも通り挨拶を交わす。
「佐藤はまだ来てないの?」
「え?うん。僕は見てないけど。」
園田は一瞬顔をしかめて答えた。
しかし、その直後に佐藤が現れた。
「おはようございます、園田さん。」
「おはよー。あれ?のこちーさんから変わっちゃったの?」
咳払いをして誤魔化した佐藤は、一瞬こっちを向いておはようとだけ言ってすぐに席についた。
「あ、うん。おはよう。」
目があった瞬間、違和感を覚えた。
私は佐藤の横顔をまじまじと見つめる。
化粧で多少誤魔化されているが、彼女の目元は腫れていた。
まるで一晩中泣いていたかのように。
「なに?」
「え、いや。」
昨日のことだろうか、私はすぐにそう思った。
「あ!なにこれ!」
園田が佐藤のカバンに付いている犬のような生き物のストラップを指差す。
「これは昨日鈴木さんに頂いた物です。」
「え、りきが?」
園田が問いただすような目を向けてくる。
「まあ、そんなところだけど。」
「へー、そうなんだー。もうすっかり仲良しだなー二人はー。」
そう言いながら園田が席につくと、チャイムがなる。
私も席についた。




