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裏口

昇降口を抜けて歩いていると、校門の方で人だかりができていた。

私には理由がすぐに分かった。

私は少し前を歩く鈴木の腕を掴んで、彼女を引き止める。

「え?なに?」

彼女は顔をしかめて私を訝しむ。

「痛いんだけど。」

責めるような眼差しに私は手の力を抜き下を向く。

そして、下を向いたまま私はつぶやいた。

「この学校って裏口とかないの?」

「は?」

「あっちに、行きたくない。」

少し黙った後に鈴木はわかったよとため息をついた。

「おーい!二人ともー!早くしないと僕予備校に遅れちゃうよー!」

少し先まで歩いていた園田が振り返って叫ぶ。

「ワルーい!用事があるから先に帰っててくれー!」

鈴木も叫んで返事をした。

「こっち。」

私の方に向き直ってそう言った鈴木は、今度は私の手を引いて歩き出した。

「裏口はないけど、こっちから出られる。」


そうして私たちは人だかりの方から遠ざかっていった。

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