昼休み
4限目の授業が終わり、昼休みが始まった。
ずっと落ち着かなかったからいつもより解放感がある。
ぐーっと腕を上げ肩を伸ばす。
すると隣の佐藤から話しかけられる。
「ねえ、私のこと見てたけど、何か用でもあるの?」
「いや別に……」
「そう」
佐藤は元々堂々とした態度だったが、タメ口になると少し威圧的な印象を受ける。
「なら、食堂に案内してくれないかしら?」
「なんで私が?」
「担任の先生に私のこと任されたでしょ」
それはそうだが、だからといって私でなければいけないわけじゃない。
「それに転校生ってもっと話しかけられると思っていたのだけれど、案外そうでもないみたいね。」
黙る私に佐藤が続けた。
「それはねー、りきと仲良くお喋りなんかしてるからだよ。りきはこの学園1のヤンキーだからね。」
私たちの会話に園田が加わり、佐藤はそれなら仕方ないと納得してしまう。
「そうだ、園田さんはお昼に何か予定ありますか?よろしければ3人でご一緒しませんか?」
「いいの?やったー!一緒に食べる!」
「ちょっと待って、私はいつも購買で買って食べてる。園田は知ってるでしょ。」
勝手に話を進める2人の会話に慌てて割って入る。
「だから、食堂には2人で——」
「えー、やだ!せっかくりきと一緒にお昼食べられると思ったのに!」
「なら3人で購買に行きましょうか。購買の場所も知りたいですし……」
それでいい?と佐藤は私の方を向いて聞いてくる。
私たちは3人で食事をすることになった。
購買から帰ってきてから、私の机に佐藤と園田の椅子を集めて一緒に昼食をとった。
といっても会話するのは佐藤と園田で私はほとんど無言だった。
私は椅子を引き、机から少し離れて窓の外側を見ていた。




