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転校生
九月一日。
まだまだ続く残暑の中、夏休み明けのホームルーム。
窓から入る日の光は肌をヒリヒリと刺激する。
そして、もわっとした教室の空気の停滞が、不快な眠気を誘う。
始業式として教室のモニターに映し出された学園長の抑揚のない話もそれを助長する。
私はそのままヒジをついて目を閉じた。
突然、ガラガラという音に意識を引き戻される。
教室のドアが開けられたようだ。
教室に風が入る。
そして、見慣れない少女がスタスタと歩いてきて、黒板の前で立ち止まった。
不意な出来事に私は妙な緊張感を覚える。
「佐藤いみです。よろしくお願いします。」
そう言ってお辞儀をした少女が顔を上げると、一瞬目があった気がした。