とりあえず、スライムを倒す。
「よし!難しく考えないでとりあえず、スライムを倒しにいこう!」
ここは、何処にでもあるのどかな村で家の仕事の手伝いに飽きた俺は、普段、街道の隅や森の浅い場所に生息している青くてプルプルした奴なら自分だけでも討伐出来ると思い勢いでスライム討伐に出る事にした。
「武器とかどうするかぁ。家ある武器になりそうな物ってナイフかクワしかないし。スライムって確か核を砕かないとダメなんだよなぁ。どうするか?」
スライムは、直径1,5m 幅2mとそれなりの大きさがあり基本的には、大人しい魔物だが、攻撃をされた際に突進してくる。
見た目のわりにかなりの重さがあるため骨折や最悪、圧迫死なんてこともあるためただの村人の俺には、なかなか危険な相手だ。
スライムの一般的な倒し方は、槍で核を砕く方法だが中には、剣や弓矢で倒す強者もいる。
しかし、ただの村人で金に余裕のある訳でもない俺には、槍を買う金もなければ、技がある訳でもない。
「やっぱ、厳しいかなぁ?あっ!待てよ。スコットとノコギリとロープとナイフを使えば、いけるかも!」
俺が思いついた方法は、至って簡単。スライムが落ちる穴を事前に掘り、先の尖った丸太を木の枝に吊し穴の中にスライムが入った時に丸太を落とす仕組みだ!
「これならいける!材料は、家にあるし!労力は、かかるけど何とかなるだろ!」
すぐに家に戻り準備をすると村の近くにある森に向かった。
途中で村の警備員にどこに行くのか聞かれたが適当にごまかしておいた。森に着くと早速、仕掛け作りに取り掛かった。
「森に穴掘るのって結構、きつあなぁ。石や草木の根でなかなかすすまないし。マジキツ。」
穴を掘るのが思いのほか時間がかかり1日掘って半分くらいしか掘れなかった。しかも、周囲を警戒しながら掘らなければならないため精神的な疲労と肉体的疲労で帰るのがとてもキツかった。
「何でこんなことしてるんだろ。俺。まぁ。明日もやるけど。」
次の日にどうにかこうにかスライムが入る穴を掘り終えると直ぐに丸太の準備に取りかかった。1人で太い木を切って先を尖らせてロープで木に吊るすことは、難しいので細い木を束ねて代用した。高さや位置、タイミングの微調整で思いつきから計3日かかった。
「ついに出来た!あとは、あの青くプルプルした奴を罠まで誘導してヤるだけだ!」
森の中でスライムを見つけ、石を投げて罠まで全力で走りスライムを誘き寄せた。
「はぁ。はぁ。意外に動きが速い!でも、ここまで来れば!」
後ろで大きな音がした場所を見て見るとスライムが予定通りに穴に落ちていた。スライムが穴から逃げたさない内に固定したロープを切り吊るしていた丸太を穴に落とした。
「グシャー!」
「ヤったか!」
穴を覗き込んでみると見事にスライムが潰れていた。
「よっしゃー!初討伐!結構、大変だったけど、達成感が半端ない!このまま少し休憩してあと、2匹くらい仕留めよう!」
調子に乗って6匹仕留めた頃には、すっかり夕方になってしまった。
「そろそろ、切り上げよ。夜になるとヤバい魔物が出やすくなるし。初めてでスライムの核を6個も取れれば十分でしょ。」
その後も週に2回のペースでスライムを狩り2ヶ月で80匹以上の成果を揚げた。
「流石にこんだけ走って丸太を吊し上げてると体つきも変わるよなぁ。」
最初は、どこにでもいる少年だったが日々のスライム狩りの影響で2ヶ月後には、かなりの筋肉質になっていた。
「さすがにそろそろ、武器買おうかなぁ。来週には、街に納品に行くって言ってたし。まぁ。買うなら槍だな。」
スライム狩りも順調にいき、無事に槍が買えるまでになったのでどんな槍を買おうか楽しみで仕方なかった。