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液体ってどう盗んでるの?


「次は、魔物の体液:〇個。……どういうメモ書きだこれ?」

「メモぐらい自分で分かるようにしとけYO!」

「液体を個数表示に問題があるのか?」

「でも、それだと舟長のスキルは関係ないよ」

「だったら、液体をどうやって盗んでいるかってことか?」

「それだ!それにしよう!!」


 たまには思いつきも大事。




『液体を盗むとは』




「システムがそうだからとはいえ、すげえな舟長!」

「唐突に褒められてオレはどうしたらいいか分からない」


 しまった、いつもディスられてる影響がこんなとこに!? なお、魔法使いが彼をほめているかどうかは謎である。


「ものすごく高度に馬鹿だって言われてない?」

「どうしてお前たちときたらいつもオレに対して懐疑的なの? おい、そこの魔法使いも頷いてんじゃねえ!」


 本題に戻りましょう。


「で、液体が盗めるのどうのって話だけど」

「待てよ、体液だからイコール液体って訳じゃないだろ」


 舟長が苦言を申す。確かに、漢字を反転させると反対の意味になる言葉、とかあった気がしなくもない。


「液体じゃないなら何なの?」

「血液……は液体か。じゃあ胃酸とかどうよ」

「液体とは言いがたいが、嫌だな。腕が焼けそうだ。それにどう使うのか分からん」

「あのね……。例を挙げる段階なんだからそういうの気にしなくていいんじゃないの。ボクはよだれで」

「触りたくない液体ってことなら、はなみずとか」


 趣旨がずれ始めた。


「どんな素材なんだ……?」

「おまえら真面目に考えろよな! それ使って武器とかアクセサリーとか作るんだぜ!?」

「よだれもどうかと思ったけど、上には上があるもんだね」

「いや、言ってみただけだからな? な?」

「鼻水だったら接着剤として使えるんじゃないか?」

「なるほどね、生物由来だから異種生物の素材もくっつきやすいってこと?」

「その論理ならオレの胃酸だって行けるはずだぜ。他の素材を溶かしてくっつけるんだ」

「オレは鼻水推進派じゃねえっつーの!」


 はなみずもよだれも胃酸も触れたくない舟長であった。


「まあ、どろーりするタイプの液体もあるってことで」

「一件落着☆」

「……普通に考えれば、なんかの体液って血液のことだよな」

「R-18のほ……」


 それこそどう使うつもりなんでしょうか。薄い本なら使い道はほぼ一択ですが。


「だったら血液って最初から言えばいいじゃん」

「バカ、全年齢の規制は厳しいんだぞ! たぶん」

「この話だって、こういう血の描写が出るだろうという推測から、R-15が付いてるんだぞ!」

「また微妙な保険を……。まだそういう描写ないでしょ」

「えぐい描写なら前話あったじゃない」

「ごめんなさい」


 あれは、四つ盗むなんて外道の極みってことになりました。


「仮に血液だとして、舟長はどうやって盗んでいるのっと」


 そういえば血液に触れることにはためらいのない舟長である。正直、戦闘中にいくらでもかかったり、かぶったりするので気にならないのかもしれない。


「そこが問題だよな。モンスターの傷から手を突っ込んでゲットするなら、途中でこぼしたりしないように努力しなきゃいけない」

「そんなの船長が片手で握りしめれるくらい、絶対にこぼれない量でパクってくればいいだろ? 問題も発生しないし」

「すっごい少量」

「塩ひとつかみ、じゃないんだから」

「ホント、アサシンの言う通りだぜ。第一、それで盗めたら盗めたで次の段階があるじゃねーか。保存はどうするんだよ」

「真空パックに入れればいいよ! 点滴のときのやつ」

「ヴァンパイアが飲んでそうな?」

「私としては直飲みが好きです。首筋からガリっと」


 すごくどうでもいい。


「けど、この方式だと毎回同じ量取れる訳じゃないのがね……。さっきは除外したけど個数と液体とのかんけいについて考える必要があるか?」

「はい、その話は脱線するからなしで」

「ちょっと触れるだけならセーフだ」


 許してくれる人が一人でもいるなら、もはや語るのは権利でなく義務。魔法使いさんは意気揚々と口を開いた。


「よしきた。一定の量を個数に変換するなら、時には端数というか半端な量がでるはず。これは次回入手したときに継ぎ足せばいいとしても、それまでの間どうする?」

「5Lごとに個数に変換するとして、23Lの盗みに成功したとき、個数にならない3L分をどうするかってことだな。次回は3Lに2L足せばいいから楽だけど」


 算数の問題みたいになってきた。


「仮の数値だからちょっと大きいけど、その方が分かりやすいよね? だいたい、こんなに盗れるわけないよ」

「なにこの協力プレイ」

「パーティに協力は付き物だろ! さて、端数の保存はいかにして行うのか?」

「5L入るパックに3L入れるか。もったいないけどいずれ2L手に入ればそれで一個になるからいいよな?」

「それまでは一個未満ってことになるけどな」


 要するに、データ上の数値と現実の個数がかみ合わないのが問題なのだ。


「ふふふ、そこで登場するのが合成システムよ!」

「合成システムってさっきからちょくちょく出てくる、武器やアイテムを作れる仕組みのことだよね。なんで?」

「そう。我々の世界では明確には存在しないけど、下級アイテムを上級アイテムに錬金することができる機能を使うよ」


 素材が多すぎると、下級・中級・上級……という単語で処理ができなくなってしまう。そのため実装できなかったのだろう。

 だが、いくつか素材を集めれば別の素材に交換してくれるNPCはいたはずだ。


「そうか、トレード機能!」

「なるほど、分かったぜ。端数分の上級素材を下級素材いくつかとして保存しておくんだな?」

「つまり、1Lのパックを作って、下級血液系素材3つとして倉庫内にいれておく、ってのが魔法使いさんの考えた回答か」


 さっきの算数のことですね。公式が期待していた回答です。


「便利だねーこの考え方。塵も積もればなんとやら。素材集めが楽になりそう」

「システム上、任意で上級アイテムを下級アイテムに変換することはできないことが多いけど、下級から上級は自動じゃないから、必要な時にたまった下級素材を変換すれば……?」

「おまえ風に言うと脳汁ドゥーバドゥーバなんだな」

「わーい」

「頭大丈夫か」





剣「そういえば胃酸が焼けそうだから嫌っつってたよな?」

舟「ああ、言ったけど」

剣「炎属性100%持ちのモンスターの血液とかどうなんだよ」

舟「氷属性のモンスターは冷血なわけか」

剣「そっちも凍傷でやけどしそうだな……」

舟「あのなあ……風とか地属性はどうすんだよ」

剣「あー思いつかない」

舟「だからなし、らしいぞ」

剣「つまんねーの」



魔「もう一個の案としては、モンスターの血管内には血液入りの1Lパックが背骨の如く連なっている……みたいな。これなら後半の問題は全部関係ないね!」

ア「リアリティが全然ないよ!」



斧「はぶられたよ」



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