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美少年に転生したら男にモテる件について  作者: しらた抹茶
学院生活編
72/79

3

 翌日の朝、バスルームで朝シャンした後に身支度を整えた俺は、入学式へと学院に向かった。


 学院には社交パーティー用のパーティーホームがあり、入学式はそのホームを使って行われる。


 新入生でごった返す広場の中、クラスごとに用意された椅子に座ると、何やら俺の周りでひそひそと話し声が聞こえてくた。


 何て言ってるのか微妙に聞こえないけど、多分初めての学院生活にドキドキしてるんだろうな。この人達にとって入学式ってのも初体験なんだろうし。小学校中学校と経験済みの俺は対して緊張もしてないけどね。別に新入生代表でもないからさ。



 入学式は滞りなく行われ、王族である理事長のお話を聞き、次に新入生代表らしきイケメンが等壇した。そのイケメンは少々小柄だが制服からもしっかりと鍛えてあると分かる身体つきをしており、短い金髪と利発そうな翡翠の瞳をしている。彼は仁王立ちでステージに立つと、威風堂々といった風体で胸を張り、良く通る声で言い放った。




「余こそが第三王子、ルベリエット・ウィオールである! 今日からこの学舎でそなた達と共に勉学に励む事となるが、王族である余と肩を並べる威光、誇りに思うがいい! 余もまた、そなた達と身分問わず切磋琢磨できる機会を嬉しく思う! 三年間、よろしく頼むぞ!」




 デデーン!


 と、効果音が付きそうな勢いで言い放ったイケメンは、どや顔でステージから降りた。暫し、呆気に取られていた同級生達だったが、先生の「拍手!」と言う言葉に慌てて手を打つ。



 なんだありぁ! あれがこの国の王子? ぶっとんでんな〜......。自分の事「余」って言ってたよ。あれが帝王学と言うやつなのか? あ、でも第三王子だから世継ぎって訳じゃないのか......?



 そんな事を考えている間に入学式は終わり、俺たち新入生は教室に案内された。



 俺のクラスはAクラス。


 クラスはA〜Cクラスまであって、各クラスに二十人前後の生徒が居る。席は自由席となっていて、俺は適当に後ろの窓際の席に座った。



 まだ登校初日。みんな顔見知りの無い学院であまり会話もなく静かに席に着くかと思っていたのだけど......。




「ルベリエット様、噂に違わず凛々しい方だったわね。是非お近づきになりたいわ」


わたくしも! 同じクラスでないのが悔やまれますわ......」




 前の席では女子達が既にグループを作り、先ほどの王子の話しに華を咲かせていた。他にも、男子は男子で仲良さそうにつるんでいるように見える。



 あれ? なんで俺だけボッチなの?


 今日が入学式だよね? 皆先にクラスで勉強とかしてた? 空気が入学式から三週間は経った感じなんですけど......。



 ボッチなのに焦りを覚えた俺はつい不審者みたいに周りキョロキョロしてしまう。すると、ある人物と目があった。


 壁に寄りかかり二人の男子生徒と親しげに話していた男。昨日、俺によく分からん言葉を投げ掛けたウィーン合唱団系の美少年だった。


 彼は俺の視線に一瞬惚けた顔をしたが、直ぐにやれやれといった素振りを見せて俺の席までやって来た。おまけに二人の男子生徒もついて来る。




「やぁ、君、同じクラスだったんだね」


「あ、はい......そのようで......」


「ふん......」




 美少年は腕を組み、顎を上に向けると俺を見下したような姿勢をとる。


 なんか......完全にバカにされてるような......?




「大方、知り合いも無く不安になっていたんだろう。無理もない。ここは殆どが貴族の者だからな。皆幼い頃からパーティーに出席して顔見知りになっている。君が知らないのも道理というやつさ」


「そうだったのか......」




 そっか......ニベウスはグレて屋敷に殆ど居なかったから当然貴族のパーティーには出て無かっただろうし、この四ヶ月間も勉強ばかりでどこにも出掛けてなかった俺は、同じ貴族の知り合いがいないって事か。


 成る程ね、ボッチになるわけだ。




「そう落ち込むな。喩え商人の出でも同じ学院に通う仲間としてボク達貴族は君を迎えるつもりだ。かくいう彼らも君と同じ商人だよ。君が良ければ、友人になってやってもいいが......どうかな?」




 ......ん? こいつ、俺を商人だと思ってたのか?





「いや、俺は―――」


「はーい、では皆様ー席に着いてくださーい!」




 美少年の誤解を解こうとした瞬間、タイミング悪く担任の先生が入って来てしまった。


 美少年も「それじゃあ、また後で」と言い残して前の席に行ってしまう。


 ま、急ぐ事でもないし後でもいいよな。




「今日から皆様の担任を勤めさせて頂きます、ロフィリア・ブライケットと申します。担当教科は歴史です。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」




 ロフィリア先生は紫色のウェーブがかった髪をゆらしながら、ゆっくりと頭をさげた。


 ほんわかした、優しそうな女性だ。うんうん。担当が女教師とは幸先がいいぞ。おっぱいもそこそこ大きいし。




「では、これから一年間同じ教室で勉強をする仲間に自己紹介をしましょう。皆様、顔見知りもそこそこいらっしゃるかと思いますが、中には初めての方もいらっしゃいます。お名前と、ご自分の特技など教えて下さい」




 新学期恒例の自己紹介タイムが始まった。



 これは有難い。ロフィリア先生ナイス!


 右端の席に座っていた生徒から順番に立って自己紹介をして行くと、例の美少年の順番がやって来た。




「ボクの名前はカルロット・デンピエール。父はリヨラの領主で爵位は伯爵。ボクはその嫡男だ。リヨラは地方の領地でも農業に特化していて、このシーマ帝国の供給を最も潤沢させているといっても過言ではなく、その領地の嫡男であるボクはこのクラスでも高位な存在だと自負している。無論、王家のルベリエット様に楯突くつもりは毛頭ないが、このクラス内でも立場の順位がある事をはっきりさせるべきだと―――」




 うんたらかんたら。



 なんだか長くなってしまったので途中から聞くのを止めてしまった。すまんのカルロット君や。



 先生も苦笑いをしている。てか、順位とかどうでも良くね?



 いつの間にかカルロットの自己紹介が終わり、順々に俺の番が近付いてくる。


 ......ちょっとだけ、緊張してきた......。



 特技って、何を言おう。オセロって言ってもいいかな?



 そしてついに、俺の番が回ってきた。


 深呼吸し、立ち上がる。



 第一印象は笑顔で! 大きな声でハキハキと!




「はじめまして! 俺の名前はニベウス・マーシュマロウです。特技は―――」




 しかし、俺は自己紹介を最後まで言う事が出来なかった。


 何故なら、俺が名前を名乗ったとたんに教室が騒然としたからだ。




「ニベウス......ニベウス・マーシュマロウって、あのマーシュマロウ家!?」


「嘘! 本当に入学してきたの?」


「呪われてるんじゃなかったのか?」


「初めて見た......あれが名ばかり嫡男......」




 な、名ばかり嫡男とは......言ってくれる。



 言い返す事も出来ないけどな。




「み、皆様、皆様静かに! 静かにしましょう!!」




 ロフィリア先生がおろおろと皆を宥めようとしてくれたが、暫くクラスメイトの動揺は収まる事はなかった。


 あれ? これ、ヤバくね?


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