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〜勇者誕生〜

「い、今のは...?」



 なんだ、今の光景は......俺の...記憶?でも、俺は...




 その時、部屋の入り口から1人の異形の者がゆっくりと入ってくる。


「あ〜ら〜。遅かったですかねぇえ。ワタクシ、暗黒騎士セルウィンともあろうものが、勇者の覚醒をみすみす許してしまうとは...あなた、私の探す、彼の者、ですねぇ〜え??」



 そこには黒ずくめのピエロのような格好をした男が右手に何かをぶら下げながら立っていた。




「あ、あなたは一体......??




 き、きゃぁーーーっ!!!!」


 クルルはセルウィンと名乗る男の右手をみて悲鳴をあげた。


 あれは...何かのボールか?にしては、形が歪で...





 ......っ!!???




「あぁ〜。酷いですねぇ〜。おじょうさん。知り合いの顔でもあぁれば、私の奇抜な身なりでも少しぃは、場が和むと思ったのですがぁ〜。急に悲鳴などあげられるとはぁ〜?」





 視界が真っ白になり、頭がガンガンする。


 そんなはずはない......だって、それは、お前が持ってるその首は......


「お、おじ...さん....」


「なぁんだ、お嬢さん。分かってるんじゃあないですかぁ。まったく、人の顔を見て悲鳴をあげるなど失礼だぁなどと、親にならいませんでしーー」



 ザシュッ!!


「あぁ〜ら〜?」




 俺は気づけば祭壇から剣を引き抜き、目にも留まらぬ速さで奴の右手を切り落としていた。


 剣を握るのは初めてだ。だが、不思議と、どうすれば奴を、悪を滅ぼすことが出来るのか。それが今の俺には分かる。




 ザシュッ!

 ザシュッ!

 ズシャアッ!




 体が軽い、自分でも信じられないほど、体が速く動く。

 そうだ、俺は、こいつを殺さなければならない。


 悪は、殺して殺して殺して殺して殺して殺して...




 滅ぼさなければ






「っ!!!兄さん!!!」



「.......っ!?? お、俺は...?」




 クルルが俺の名を呼んでいた。気づけば俺はおじさんを殺したピエロの四肢を切り落とし、その頭に今にも剣を突き立てようとしていた。


「な、何が......」


 お、俺は今...一体...何を......??




「あららぁ〜あ。強い強い。......ですがぁ、ふむ、おかしいですねぇ。いくら今の私が人形とはいぃえ、勇者因子に取り憑かれてすぐでぇはここまでやれるはずは無いのですが、ふぅむ....」



 混乱する頭を落ち着かせ見てみると、セルウィンと名乗った男からは生きているものなら普通流れるであろう血は流れていない。




「まあ良いでしょう、彼の者よ。思惑とは違いまぁすが、私の早計であったようです。老兵士の言う通り、まだその時では無かった...ということでしょうねぇ。またの機会にでぇもお会いしましょう」



 ニコリと笑うとピエロは目を閉じる。すると今までピエロの形をしていたそれはいつの間にか、藁の人形になってしまった。


「お、俺は.......」




 誰か、誰か生き残っている者は居ないかーっ!!!


「こ、この声は...」


 外が騒がしい。


 クルルが何か言っているがよく聞こえない。


 薄れ行く意識の中、1つの声が聞こえた。


「あなたを、わが主と認めましょう。」



 そこで俺は意識を失った。




ーーーーーーーーーー


神聖教国バルディア




「巫女様ー!!」

「聖女様ー!!なんと、今日もお美しい...」


 バルディアの民は神殿に立つ巫女に向かって思い思いの言葉を口にしている。



 そこには、白い衣装を身にまとった金髪碧眼の少女が立って居た。



「お静かに!皆さん、私は此度、神託をお受け致しました。ここに宣言いたします。」




 バルディアにおいて聖女と崇められる巫女シェーラは両手を空へ掲げながら国の民に宣言する。






「新たなる、勇者が誕生したことを!!」






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