女の子のこと
「さっきからうるさい子だねぇ。一体私になんの用だい。」
「おばあさんを笑わせに来たの。」
おばあさんは、少し前にかかってきた電話のことを思い出しました。
「さっき電話してきた子だね。どうして私が笑わなくちゃならないのさ。」
「おばあさん、笑ったことないんでしょ。笑うと楽しいよ。これ、あげるから笑ってみて。」
女の子はどこからともなく、一輪のタンポポを差し出しました。
おばあさんは驚きながらも、タンポポに手を伸ばします。
黄色いタンポポを見ながら、おばあさんは目を細めました。
「笑ったことがないなんて、とんでもない。私だって笑うときは笑うさ。ただ、私が笑うと願い事を叶えなくちゃならない。叶えられない願い事をされたら、笑う訳にもいかないのさ。」
おばあさんはそう言うと、腰をかがめて女の子に顔を近づけ、シワシワの顔をもっとシワシワにして、ニコリと笑いました。
「おばあさん、笑ってくれた。私のお願い、叶っちゃった。えへへ。」
おばあさんは手に持ったタンポポを女の子に見せます。すると、黄色いタンポポが一瞬で白い綿毛に変わりました。
「今日はもうお帰り。また今度、ここへおいで。」




