702
普通、がどういうのか解らないけど
まあ、僕は僕だから比べる事に意味は無い。
でも.....。
いろいろ考えながら。
その日のグループ・ミーティングに僕は参加した。
702会議室。
この日、僕はみんなに約束していたLEDフォグランプの試作品を見せる事
にしていた。
いつものように、すこし早く会議室に行くと
すぐに、彼女がやって来た。
ランプの配線をしてると、「何してるの?」とでも言いたそうに
ちょこちょこと、愛らしく歩いてきた。
「うん、ランプできたんだよ」と見せてあげようと
床に置いてある、フォグランプを指差すと
彼女は、床にしゃがみこんで、それを見た。
色っぽい仕草にならないように気遣いながら、座るあたりは
よく躾られている子だな、と思わせる。
僕の隣に並んで、発光ダイオードの光を眩しそうに見ていた。
息遣いが聞こえるくらいの距離なので
手を伸ばせば、触れられそうで
笑顔で真っ直ぐ僕を見る彼女が眩しくて仕方なかった。
灯りを落としてある702会議室の、片隅で
ふたりで床にしゃがみこんでいる、と云う情景が
なんとなく、可笑しかった。
ずっと、こんな日が続く筈だったのに.....。




