表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calender_Girl  作者: 深町珠
55/82

冷蔵庫


...ふつう、嫌がるんじゃないかな....

僕の着ていた防寒着を着ていった彼女の事を

僕は思った。


ごく普通に、彼女は冷蔵庫から出てきて

何事もなかったように、その防寒着をロッカーに仕舞った。



.....潔癖だと思っていたけど。


夏の頃、すこし夜系の冗談に怒ったり

水着カレンダーを嫌ったりしてたのにな。




....ま、いいか。別に。


深く考えるのは苦手な僕だった(笑)。






工場を出て、細かい霧雨が降っている

高原の道を僕等はオフィースに向けて歩いた。



霧で、よくまわりが見えず、すこし幻想的でいい感じだ。


なんとなく、趣きのあるピアノのメロディが聞こえてくる。

それは、エロール・ガーナーの「ミスティ」のような感じの

ソロ・ピアノの音のようだった。




そういえば......よく、こんなことがあったっけ。





サラリーマン時代。


会社の夏祭りのイベントで、雨が降ってきて

たまたま一緒だった、総務課の美由紀ちゃんに

僕のジャンパーを奪われたっけ。「寒い」とか言われて。


あの子は背が高くて。ヒール履くと僕と同じくらいあったっけ。



もっと前....

バイトしてた喫茶店の休憩室が、冷房が壊れていて

酷く寒くて。


お昼を食べていた僕のトレーナーを、やっぱり「寒ーい。」

とか言って剥ぎ取っていったのは......


あ、そうだそうだ。あれは、由美ちゃんだ。


ひょうきんでよく笑う子だったっけ。



クリスマスには帰ってきてね、って言われたけど

それっきりだった(謝)。っけ。





....奪われやすいタイプなのかなぁ(笑)。





あ、でも。


こないだアルバイトしていた、コンビニ。


クリスマスのイベントで、サンタクロースの格好をした時に

ゆりちゃんの衣装を僕が着たら、嫌がったっけ、あの子。

でも、僕が着た衣装は平気で着てたけど.....。



いろいろだなぁ、みんな....。





エロール・ガーナーのフレーズのように、ゆっくり、ゆっくりと

想い出は断片的に甦ってくる。



霧雨の中.....。




ふと,気がつくと


前を歩いていた彼女が、僕が耽ってたので

不思議そうに振り返っていた。




細かい雨が,風に舞ってふわふわと。


雪迎えのようだった。


晩秋の高原、雪の季節も近いのだろう.....。11月。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ