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Calender_Girl  作者: 深町珠
52/82

結婚してる



.....何考えてるんだ、妻帯者のくせに。



そう思った。僕は旧いのかもしれないが



生物社会学的に見ても、ヒト種と他の霊長類の隔たりは家族の有無だけだ。

だから、家族制度を守らなくてはヒトではなくなってしまう。そう思った。



でも,僕もそう言っては硬くなり過ぎてしまうので、お茶らけでMLにこう書いた。


僕@ML>そう、じゃ、飲み会ん時は誘ってあげるといいね。

マドンナさんみたいな衣装着て。ひとさし指でくいっとカモーン(^^)


Like a virgin ~♪ヘィ みたいな感じで。



誘われてみたいわ、ハハ。








.....と、書いてからまた、しまったと思った。




誘われてみたいわ、ハハ。



の、部分が、また誤解されそうな感じ(笑)



もう、この頃になると彼女も、こういう冗談を僕が言ってもなぜか怒らなくなった

(恥かしそうにはしていたが)。




だから、まあいいか、なーんて思っていたが......



ずっと後で聞いた話だが、このカッちゃん、彼女のことが本当に気に入ってしまっていたらしく

それで、何かあって。



会社に出てくるのが嫌になったらしい。




何を軟弱な、と思うが、割とこういう我侭な男はガリ勉に多い。




所帯持ちのクセに、何考えてるんだ。



と、僕は思った。無責任な。と。




このカッちゃんは,結局会社を辞めていくのだが....

学歴とか見てくれで男は測れない、と言う良い例である。

(まあ、分析の心得があれば顔をみれば大体解るのだけれど)。




これもずっと後で人づてに聞いたのだが、カッちゃんはその彼女に

まったく相手にされなくて(当然だ)。我侭からキレてしまって

会社に出てこなくなった、とか....いう話だ。




....女の子ってのもタイヘンなんだなぁ。と

僕は改めて、守ってやらなきゃな、と(別に彼女だから、と言う訳ではなく)

思うのだった。



もちろん、彼氏が居ればそれはそいつの仕事だが........。




*You make me feel like dancing(恋の魔法使い)/Leo Sayer*


11月を迎えたある日、MLグループ全員で工場見学をする事になった。

それで、新しい靴が貰えた。


彼女たちの居るプロジェクト・ルームに僕は新しい、黒い靴を履いてゆく。

もちろん、上着はお揃いの制服だが、僕はわざと一番大きなサイズを貰った。

なんとなく、ダブダブの上着が好きだったからだ。


ちょっと、包まれたい気持ちもあったし、HipHopっぽい感じも出そうだった。

それで、制帽もアポロキャップタイプの紺、いちばん大きいのを頼んだんだ。


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