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始まり
人は何を以ってして生きているといえるのだろうか?
医学的に言えば心臓が動いていて呼吸をしていれば生きているといえるのだろう。だが、それだけで本当に生きているといえるのだろうか?
少なくとも私個人としてはそれだけでは生きているとはいえないと思っている。
では、何がいけないのかと言われても今の私には答えることが出来ない。
ただ、これだけは分かる。
私が仮面で有る限り、その答えは永遠に分からないであろうと。
***
毎日をただ何となく過ごしていた。
そこに自身の明確な意志など存在せず、周りに流される様にして今まで生きてきた。
だから、なのだろうか?
その日、ふと見上げた空に浮かんでいた月が青かったのになんの疑問も持たずにいたのは。
月が青い--
そんな事は有り得ないのに。
そしてその有り得ない事を受け入れてしまった瞬間--
世界が、変わった。