最後の魔法は恋の魔 #番外編#
最後の魔法は恋の魔の番外編です。
本編は↓
http://ncode.syosetu.com/n6525y/
「ラ....イラ...カイラ!!」
「ん?何?」
「何じゃないよー。さっきから呼んでるのに、まったく気付かないんだから・・・」
「ごめん・・・」
「もしかして・・・また、ユナの事考えてた?」
「・・・」
ユナが亡くなってから、3年の月日が過ぎた。
俺は、ライ・カイラ。
学園祭の日、俺とラミラのせいで・・・ユナは死んだ。
ユナは魔法失敗するぐらい何か悩んでいたりしたんだと思ったとき、あの
ステージ裏の出来事がよみがえった。
・・・あの時、ユナは泣いていたのだ。泣いてたちさったのだ。
ラミラは、あの日、俺に芝居の練習に付き合ってくれと言って俺をステージ裏に連れて行ったのだ。
・・・きっとアレは、ラミラがわざと仕向けた事なんだと俺は思っている。
・・・俺は一時期、ラミラを恨んだけど、今は、自分自身を恨んでいる。
俺のせいで死んだユナ。俺がもっと早くに気持ちを伝えていればと・・・。
「そういえば・・・今日はユナの、命日・・・だね」
ユナの友達だったナイル・ココが言った。
そう、今日はユナの命日。
「そうだな。花・・・替えに行かないと。放課後行こうかな」
「そうだね、私も行っていいかな?」
「・・・今年は一人で行きたいんだ・・・。ごめん、ココ。」
「ううん、いいの。そうね、そういう時もあるもの。
・・・それじゃぁあまりボーっとしないようにね!
・・・俺は、今、信じられる人がココ以外にはいなかった。
ココでさえも心から信じているかといわれればうなずけない。
「だい・・すき・・よ」
「ユナ?!ユナ!死ぬなよ!ユナ!ユナァァァァ!!!!」
「ユナ!!!!死んじゃいや!!!ユナ!ユナ!!」
「カイラ!ココ!落ち着いて!」
「そうよ、カイラ!ココ!落ち着いて!」
「落ち着けるかよ!ユナが・・・ユナが死んだんだぞ!
人一人死んだのに落ち着けってお前ら馬鹿なのか?!」
「そうよ!ユナが死んだのよ!?なのに落ち着けなんてどうかしてる!!」
俺とココの反論に皆沈んだ。・・・そんなときに、聞こえた事。
「そんな女ごときに泣き喚くなんて、ほんと心の狭い人。馬鹿馬鹿しいわぁ~」
そう言ったのは・・・ラミラ。
涙も流さず、淡々といい、呆然としている俺の元へ来てユナを持ち上げた。
「アン!何するんだ!」
「どうせなら、もう少しあたしのストレス解消に使わせて頂戴?」
「なに言ってるんだ!お前!!!」
「死んだのなら、痛みは感じないんだから。」
そういうと、ラミラは持ち上がったユナを床にたたきつける。
そして、ぐりぐりとヒールの靴で踏んだのだ。
俺はそのとき、何もできずただただ目を見開いてみていた。
目からは涙が死ぬほど零れ落ちた。助けないとと思った。・・・けど
俺の体は何故か動かなかった。・・・ユナをまた、助けられなかった。
だから、俺は自分自身を恨んでいる。
そして、俺は最近・・・人をよみがえらせる魔法を覚えた。
<コラムクローン>
運命の魔法とも言う。
自分の命と引き換えに、一人、死んだ人をよみがえらせられる魔法。
かなりの高技術が必要だが、俺ぐらいになれば出来る技。
・・・今日俺は、お墓の前で、これをやろうと決めていた。
夜の10時。誰もいないユナのお墓の前に一人ぽつんと立つ俺。
「誰も、いないな。」
ピンク色の花をお墓に供えてから、俺は右ひざを立てて座る。
__そして、運命の魔法を唱える。
「私の命と引き換えに、天なる愛する人を蘇らせ。」
最後の、魔法を言おうとしたそのとき。
「うわ・・・!」
目の前が真っ白になり、俺は宙に浮いた。
何が何だから分からず、ただただ呆然としていると
目の前に・・・白い、ドレスを着た....
愛しい愛しい、ユナが笑っていた。
「ユナ!」
ユナに近づいて、抱きしめようとする・・・が、相手は幽霊。やっぱりすり抜けた。
『ごめんね、あたし幽霊だから触れないの』
残念そうに言うユナ。
「ユナ、ここは何処なんだ?」
『ここは、生死の境。いわば、地上と天国の間よ』
「そうか・・・ユナはどうしてここにいるんだ?」
『あたしはね、カイラを怒りにきたの』
「俺を?」
『そう。・・・カイラ、今、運命の魔法を使おうとしたでしょ』
図星をつかれて俺は言葉に詰まる。
『やっぱりね。・・・どうしてか、私の上に大きな穴があいたの。
それですぐ気付いちゃった。・・・きっとカイラがやったんだなって』
「・・・」
『ね、カイラ。カイラはもしかして、あたしが死んだのは自分の責任だと思ってる?』
「あたりまえだろ!!俺が・・・俺がしっかり気持ちを
伝えておいたら・・・助けられたらって・・・」
『カイラ。それは間違えよ。あたしが、変な動揺をしてあんな事態を巻き起こしたの。
・・・まぁアンにだまされたところが始まりという事もあるし、アンが私を地面に
突きつけて踏んでいた事だってある。けど、それもこれも全部元はあたしなんだから。
一つもカイラは悪い事してないの。・・・なのに、自分の命を引き換えに
あたしを生き返らそうなんてしないで。逆あたし、一生恨むわよ。そんな事したら。』
「でも・・・俺は・・・」
『んも!カイラ、あんたいつからそんな性格になったの!?
なに?!何処の根暗野郎なの?!俺のせいで・・・俺は・・・って言うような奴じゃ
なかったでしょ!しっかりしないさいよ!お仕置きの__スターシュート!!』
ユナは特のスターシュートを俯いていた俺にあてた。
「イッテェッッッ!!」
「なにすんだよ!」と言おうとした時。・・・俺の頬にユナの茶色い、柔らかな髪が触れた。
「ユナ・・・?」
『あたしからなら触れるの』
そこまで言ってクスッと笑った後、少し鼻声になって俺の耳元で言った。
『・・・カイラ、もうあんな事しないでね?
あたしは今でもあなたを愛しています・・・。一生愛しています。
あなたが・・・あなたに・・・好きな人が出来てもきっと愛していると思います。
だから・・・あたしは、あなたがいないと成り立たないんです。
死ぬなんて行為許さない。根暗なんて許さない。・・・ずっと見えると事にいて!!』
ユナが泣きながら、俺を抱きしめながら言ったのだ。
「・・・ごめん、ほんとごめん・・・。もうしないから・・・だから、泣くな・・・」
そういうとユナは俺から離れて告げた。
『ありがとう。もう泣かないよ!・・・もう、お別れの時間。カイラ!
あなただけに言うわ。あたしはもうすぐ、生まれるの!今度もまた、魔法の世界みたいよ!
・・・生まれてくると記憶はもうはじめからだから、あなたの事を覚えてないと思う。だけど
きっとまた、めぐりあえるから!』
そこまで言うと、ユナは俺の頬にチュッとキスをして
『さよなら、カイラ!大好きよ!』
そういいながら消えようとした。
その瞬間、俺は我に返り、急いで魔法を唱えた。
「メモリーラッシュ!!!!」
<メモリーラッシュ>
その人にどんな事があろうと、忘れさせない魔法。
ユナ。俺の最後の魔法は少しわがままな魔法。
・・・俺を忘れないでください。