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1-6 有り得ない事しか有り得ない

悪魔と言えば、この世界に限れば固有名詞である。

つまり、白き眼の悪魔(ホワイト・オブ・ディアブロ)

金は自分の事を悪魔だと認識している。悪魔である事を誇っている。

それは、先の事件だけに起因している訳ではない。

実際、金は悪魔と呼ばれるだけの資質がある。

一つに、その怪物じみた圧倒的な暴力と殺人性。呼吸するように人を殺すのでも、当たり前のように人を殺すのでもない。ましてや、殺したいから殺すわけではない。強いていうなら、金にとっての殺人は日常なのだ。

外を歩くのと同じ感覚で殺す。呼吸のように無意識なわけでも、それが当然なわけでも、それが趣味なわけでもない。

やる必要があるからやる。面倒だからやらない。金にとっての殺人はそのラインなのだ。

そして、その圧倒的なまでの死の興味の無さは自身に死がない事に起因している。

それが金の悪魔としての二つ目の資質。金には死がない。

しかし、それは決して、死なないと言うわけではない。金は殺せば死ぬし、何かの起因で呼吸ができなくなったり、心臓が止まったりしても死ぬだろう。

しかし、金の死は誰からも認識されない。これは試すわけにはいかない事象であるが、本人がその事を自覚している。金にとって死とは消滅の事だ。金が死んだ瞬間から金はそもそもいなかったことになる。

親友の黎也や(ひいと)からも、恋心を抱かれている銃からも、家族である鏡や(かけがね)からも、血縁である(なりがね)達からも、金と言う存在がいたことは認識されるが、金が何か、何をしたのか、そう言った事が一つとして、誰からも認識されなくなるのだ。

思い出にすら残らない。

そして何より、生き返らない。魂は輪廻するが、金が死と言う終焉を迎えても、金は次の世代に輪廻しない。何故なら、死のない金に魂がないからだ。意思、精神、命は有るが、それを守る魂がない。

だからこそ、金には死がないのだ。


「金には死がないんだ。割りと皆知ってることだケドな。だからこそ殺すと言う行為に大した意味を見いだせないんだ。金にとって殺戮は、手段であって目的じゃないんだよ」

超再生を繰り返す悪魔(ベルゼバブ)を相手に、焦げ跡や軽い擦り傷などはあるものの、一切致命傷を負わずに金は戦っている。

「ま、ただ、自分に死がないがゆえに、アイツの本能は死を求めてる。だからこそアイツはそれを自制してるんだがな」

黎也はそんな金を指差す。馬雲は愕然とその指先にいる金を見る。

「金は、精神的にも肉体的にも幾つものリミッターをかけてる。そうじゃなきゃアイツの本能も力も圧倒的に回りを破壊しちまうからな。一つがあの眼」

白い左目と、もう片方の黄色い右目。

「アイツは普段、眼を閉じてる。それは力を緩めるための制限の一つ」

次に黎也は先程金が投げ捨てた重りを指差す。

「二つ目は勿論あの重りだ。ま、分かりやすいよな」

明らかに金の速度は上昇した。基礎体重が50キロもない金にしてみれば、アダマンタインを四肢に着けると言うことは、自分を手足にぶら下げているに等しい。体重が五分の一になったのだ、身体能力は当然向上する。

「他にも精神的に色々制御かけてやがるからな。普通の人間がんなことしたら、生きることすらできないレベルに」

馬雲は放心している。

「あんな、子供が彼の悪魔だと?私が求めた悪魔は夢想だと?」

「いや、夢想でもないんだが」

聞いていなかった。

「ふ、ふふふふ、ふはははは」

突如として馬雲が笑い始める。

「な、なんだ?」

「成る程、成る程!いないのか、あの悪魔はいないのか!」

「いや、いない訳じゃないって、きいてねーな」

「なら、俺がなるしかあるまい!」

そう言いきると、馬雲は懐から一冊の本を引っ張り出した。

「って魔導書(グリモワール)か?それ」

黒い外装であり、頁は皮洋紙、開いた頁には血、恐らく鶏血で文字が書かれている。

「それはドール讃歌(ドール・チャンツ)か。完全にあの悪魔を支配下に置くつもりか?」

ゴウ、と唐突に火球が黎也にふりかかる。

「っとと、自動詠唱(スペルブック)だと?んっとうに厄介だな、魔導書って奴は!」

魔導書はどれもこれも詩的で難解な書き方がされており、場合によっては言語すら不明なものまであるが、ドール讃歌はその中でも内容解読の進んでいないものの一つである。

「俺たち魔術師には、それが操る系の魔導書だってことは、直感的にわかるんだが、しかし、内容がわかってる訳じゃねえしな」

ヤディス星の巨大な星喰いミミズと関係がないことくらいしかわからねえや。と、黎也はぼやく。

「イサタワ・ウガチス・イェリエム(我が命に従え)!」

魔導書を掲げ、馬雲は高らかに詠唱する。ビクン、と、金と戦っていたベルゼバブが停止する。

「ちょっとくすぐったいぞ、って感じか?」

「どっちかってーと、痛みは一瞬だ、って感じだと思うが」

意味のわからない事を言い合う二人である。

「オコス・イラツフ・ウソロク(そこの二人を殺せ)」

「アィ(やな)」

「ウセド(こった)」

目から知性の光がなくなったベルゼバブが金を襲う。

速い。

「ちっ」

地を蹴って一足跳びに下がる金。そして、

「白竜・竜巻!」

ベルゼバブの脇腹を切り裂く。さらに、

「第十一の紅蓮よ!」

黎也が傷口を焼く。だが、

「ちっ、やっぱり治るか」

そもそもが高い再生力を持っている上に、魔導書で能力の全体スペックが底上げされている。

癒える事なき傷口(ガ・ボー)

金が持つ黒い方の刀、鬼刃・陰が形を変える。ガ・ボー。ケルトの英雄ディルムッドが持つ三本の槍の一本。その槍でつけられた傷はけして癒える事がないと言う呪いを持った槍である。

右手には火避けの剣、左手には呪いの魔槍。夢のコラボである。

瀧月流槍術(ろうげつりゅうそうじゅつ)崩月(くずしづき)!」

限界まで絞った左の槍を激しい突進と共に突き出す、槍の戦法として最もスタンダードかつ効果的な一撃。

まるで石と石を叩きつけた時のような鈍い音が響き、ベルゼバブの脇腹が抉れる。

「ちっ、避けるかよ」

金は勢い余って学舎の壁面に激突し、そこを砕いて停止した。

「真月流、黒竜・雨!」

その壁面をかけあがり(!)、上から真っ直ぐに右手の剣を降り下ろす。

しかし、それはベルゼバブに受け止められる。

「瀧月流・落月(おとしづき)!」

右手を離し、槍を肩に突き込む。

音にならない苦悶。

取り落とされる鬼刃・陽(金の手から離れた時点で元に戻った)を回収し、

砕月(くだきづき)!」

槍の石突きで腹部を強打する。

が、

「・・・成る程、都合の悪い奴」

振るわれる反撃の嵐を掻い潜りつつ、金は呟く。

治らない筈の傷口が徐々に治り始めていた。さすがに呪いのせいか、治りは先程までの瞬間再生から比べるとあまりにも遅いが、治る時点で十分に反則(チート)だった。

「チートってお前が言うか、この非実在生物が」

「なんだそりゃ」

オレは非健全に健全だろ。と意味のわからない会話をしつつ、金はベルゼバブと距離をとる。

「しかし、オレに憧れてたとはね。前のディモヌ・フェイクスもそうだったケド、意味わからねえよな」

あんな悪魔、どこに憧れるってんだ?と、言外に呟く金。ある意味自分を全否定していた。

元に戻した二本の鬼刃を地面に突き立て、うーん、と金は伸びをする。

「さて、まぁ色々あるわけだが、そろそろ夕飯の時間だし」


「終わりを始めよう」


言うや、一歩でベルゼバブの懐に飛び込む。

「紅竜・業火!」

爆発物の様な轟音が響く。ベルゼバブの左足が消し飛んでいた。

「白竜・竜巻!」

ついで右足が撥ね飛ばされる。

「黒竜・濃霧!」

左右の腕が切り刻まれる。

「青竜・地割!」

そして最後に真っ二つ。

もちろんそれで終わらない、その程度は回復することは、先ほど実証済みである。

「再生するっつっても、どっかに中心となる核みたいな物があるはずなんだがな」

そう言って、金はベルゼバブを凝視する。

「視ることは金の専門だからな」

くっく、と黎也は笑う。もっとも、ドール讃歌に集中している馬雲は聞いていないのだが、構わずに黎也は続ける。

「ま、気がつけないのも無理ねえがな。金は半妖だぜ」

これは、ある意味爆弾投下に等しい発言であった。

半妖。動物と妖物、この二者の違いは、単純な属性であり、実のところ形が同じであれば体構造や構成物に違いはない。故に人形の妖知類ならば人と子をなせるのだ。

しかし、同じといってもやはり違う。光と闇は同じ場所にあることはできないのだ。だからこそ、人と妖の両の血が混ざった者を半妖と呼ぶ。人でも妖でも無いものだ。

「陰と陽の反発作用からか、半妖ってのは総じて体が弱いよな。だからこそ、金はおかしいんだよ」

さらに言うなら、妖なら必ず持っている異能力も、遺伝するはずの魔術の知識も、半妖にはない。しかし、金は体が弱いどころの騒ぎではない。悪魔と戦えるなど、普通の健全な人間や妖にもまずいないだろう。

「ま、数の頂点くらいならわからないが」

さらっと言うが黎也自身も実は数の頂点の一人だ。

「全校生徒のプロフィール覚えてろってのも酷な話だろうがな、四組の問題児くらいは覚えときな」

特殊な人間が揃っている、四組。

「金は三大妖族の一つ、百眼族のそれも王族の直系だぜ」

百眼族はその名の示す通り、目を司る一族だ。妖にはそれぞれ司る能力があり、三大妖族の残りの二つ、陰影族と鬼人族はそれぞれ影と力を司っている。

「だから、金にとって視る事は十八番なのさ」

視る事、見える事、診抜く事、観せる事、それらを全て司る。

「っと、っぶねーな」

降り下ろされた左腕を金は紙一重でかわす。

とりあえずその腕に蹴り。

とりあえずでは説明のつかない鈍くも瑞々しい音が響き、ベルゼバブの左腕は彼方へと消えていった。

「はぁっ!」

見事な中段蹴りがベルゼバブの左足に炸裂する。本来狙うべきは腹部なのだが、単純に届かないのだ。

バランスを崩し倒れてくるベルゼバブに、

「九竜!」

頭から股までの正中線に五つの突き、両肩と両脚付け根に斬撃。

「白竜・風鎌居刀(かざがまいたち)!」

音すら歪む超音速の居合い。切り離された五体を刻む。

「黒竜・天雲外鏡(てんうんがいきょう)!」

地面や壁を蹴っての三次元全方位攻撃。刻んだベルゼバブの体を一所に押し纏める。

「紅竜・炎火産神(ほのかぐづち)!」

それを圧倒的斬撃で叩き斬る、というか叩き潰す。

「青竜・地土蜘蛛(ちづちぐも)!」

上から叩き下ろしたあと、下からすくい上げるような斬撃。叩き潰したパーツを、今度は飛散させる。

攻撃の最中もベルゼバブは絶えず再生し続けている。

超速での再生。粉砕と言ってもいいほどにバラバラになった悪魔がものの数秒で輪郭を取り戻しつつある。

「右胸部。位置はわかったが対象が小さい上に相手がでかい。難しいな」

大技の連発で、実は金の体も少なからず軋んでいる。

修復された足が降り下ろされる。

「ち、ぃ」

鬼刃を杖にして無理矢理体を支え、横に飛ぶ。踏みつけられた足は風圧すら起こすものだった。

「再生力が桁外れすぎる!」

ベルゼバブ、暴食の悪魔。魔で例えれば、食とは欲の一つでしかなく、抑えるべきものだ。

だが、聖で例えた場合、それは体を育み、健やかなものにする。怪我の治りも食事一つで圧倒的に変わる。

悪魔とはいえ、ベルゼバブは暴食を司り、さらにかつては豊穣の神ですらあったものだ。その特性は圧倒的に性能に反映される。

この再生速度は悪魔全てに共通するものではなく、ベルゼバブのオリジナルなのだ。

「そっちを操りながら、俺にも攻撃できるってな、その魔導書(スペルブック)、ドール讃歌ってそこまで高度なもんだったのか?」

実は金とベルゼバブのバトルが派手すぎるの人の見る目がそちらによってしまっているが、黎也と馬雲も地味に戦っている。

見方を変えればこちらはこちらでかなり派手なのだが。炎やら雷やらが飛び交っている。なにやらビームの様なものまで飛んでいるようだ。何をやっているのか、というか、どうやって出しているのかが判別不能である。

「第四の雷よ!」

雷は魔術壁に阻まれ、お返しとばかりに炎がとぶ。

「第六の盾よ!」

黎也も黎也で瞬時に防壁を作る。

「第十さうぉ!?」

次の魔術を発動する前に馬雲からの攻撃が来る。

「相手の発動待たずに攻撃は外道だろ!」

が、相手は外道である。

「そうだった。ずっと俺のターンってことか」

似たようなものだ。

「・・・ん?俺は誰と会話してたんだ?」

独り言ではないだろうか?

「無詠唱、瞬間発動、高威力。魔導書ってのは反則だよな」

黎也はそう呟くと、制服の中からなにかを取り出す。

それは拳銃、のように見られた。ただし、撃鉄(ハンマー)もなく、弾装(リボルバー)もなく、あるのは握り(グリップ)引き金(トリガー)、そして銃口(シリンダー)だけであった。

「なら、これを使うのは卑怯じゃないな」

引き金を引く。火薬の着火する轟音は響かない。変わりに弓を引いたときのような空を切る音が聞こえた。

銃口から発射されたのは弾丸ではなく、光の塊だった。

魔導具と言うものがある。それは魔術の補助用具であり、魔導書も広義的にはその一つとされている。

その中で拳銃の形をしたもの、魔導銃。

銀光(シルバーレイ)

史上最高と呼ばれた銃工にして物を司る妖、物品族が一人、高品匠(たかしなたくみ)の作品である。ちなみに二丁拳銃で、もう一丁も黎也の懐に収まっている。

「その魔導書と似たようなもんだ」

言いながら乱射。ドール讃歌が生み出した炎の塊を相殺する。

「卑怯では、ないよな?」

更に黎也は乱射。徐々に競り勝っていく。

当たり前だ、魔導具とはあくまで補助用具。魔導書と言えど例外ではない。ドール讃歌やルルイエ異本 (ブック・オブ・ルルイエ)、あるいはナコト写本などといった自動詠唱(スペルヒアリング)の魔導書は自動で魔術を作るが、その魔力を出すのはやはり術者なのだ。

今の場合は馬雲である。術者の補助無しでもそれそのものが莫大な魔力を控えた死霊秘書(ネクロノミコン)無記名祭書(ネームレス・カルツ)黄衣の王(イエロウ・キングス)などの例外も無いではないが、ドール讃歌にはそのような機能はない。

ゆえに、魔力が減れば当然威力も弱まる。

「貴様、何故そこまで高威力の魔術を維持できる・・・!」

疲労の色が強い声で馬雲は問う。

しかも、実際はそれどころではないのだ。

実のところ銀光は匠の作った失敗作だった。あまりに様々な魔術効果を一回の発射に備えたため、一発で並の魔術師なら全ての魔力を奪われて衰弱し、場合によっては命を落とす、そのレベルの使うものに対する危険物なのだ。

それを黎也は、

「当たると矢鱈にヤバイぜ、この銃は」

相も変わらず撃ち続けていた。

黎也の魔力は底無しだ。一応魔力量の測定器というものがあり、それで魔力を計るのだが、黎也はいつもエラーを出す。

魔術は使い方によっては凶器になるため(まさに、今のような状況だが)、四段階の検定試験があり、それに合格したものでなければ公的に魔術を使えない。

その項目の中には魔力量を記載する欄もあり、初級の一般的な魔術師の平均は1000。魔術の使えない一般人でも10以上はあるとされる。

中級魔術師でおおよそ10万。上級では100万を上回る者もおり、最高クラスの特級では1000万からがザラではあるが、黎也は測定不能でいつも空欄である。

空欄なのは世界で三人。黎也、ハクリ、そして青の本物である蒼青蘭(ツァイ・チンラン)だけだ。

ついに黎也の攻撃が馬雲の防壁を貫き、魔導書を弾き飛ばす。

「さて、金の口癖でもないけど、終わりを始めようか」

と、黎也が詰め寄ろうとしたとき、二人の間をなにかが通り抜け、壁に激突した。

激しい破壊音をたて、空き教室の壁が崩落する。

「っつー、クソ、完全に暴走したな!」

壁に突っ込んだのは金だった。その金に更に追い討ちをかけるようにベルゼバブが突っ込んでくる。

「ヤバ」

金は即座に立ち上がり、素早くベルゼバブの足を払う。

「っいしょぉ!」

更にその足を掴み六メートルの巨体を投げ飛ばす。

その両手の甲には生物の眼の様なものが表れていた。

力眼(りきがん)

百眼族の能力。それは眼を司り、それにまつわる事象を操ることだ。

眼には力が宿るという。その体現がこの力眼。普通は込入ル眼(コミイレルメ)と呼ばれる能力だ。効果は、その眼の表れた部分の力を倍加する事。

半妖には通常異能力がない。これは陽の性質を持つ人と陰の性質を持つ妖では反発してしまい、どちらかの性質によることができず、双方の性質を失ってしまうからだという事が言われている。

半妖の異能力。ここでもやはり金は常識を軽く無視している。

「暴走した悪魔か、厄介すぎるよな」

見境がなくなっているようで、ベルゼバブの攻撃が金に特定されていない。

「ちっ、こっちちゃんと見とけってんだ」

思い切り向こう脛を蹴りつける。そこでベルゼバブの視線がようやく金に向いた。

「ったく。だからって言ってなんともならないんだがなっ!」

今のままじゃな。とベルゼバブの破壊を避けながら呟く。

「あんまり使いたくなかったんだがなぁ。仕方ない」

ベルゼバブを牽制しつつ、

「黎也、防壁、任せたぜ」

「あー、マジで?まぁ頑張るけどさ」

何故かここで、金は援護ではなく、防御を黎也に指示し、そして黎也はそれを承諾した。

「第十の城壁よ、そは彼の多勢を押し止めし七つの砦、その堅き守りを以て、我らが躰命を包みたまへ、七つに重なりし巨壁(アイアス)!」

黎也とその周囲に強い光が七度輝いた。黎也の持つ最硬度の魔術防壁、アイアス。

「金、いいぜ、やっちまえ」

黎也のその言葉に金はニヤリと笑った。

「んじゃま、()りますか」

瞬間、金の眼が赤く染まった。

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