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シーと21世紀の阿呆船  作者: ユッキー


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第三の手紙 その2



 (つい)に殺人未遂事件を起こしたナミとは、彼女が祖父母に引き取られたあとも何度か手紙でのやり取りをつづけていたが、突然、返事が途絶えてしまっていた。

 早死にしたオレの母が病床のベットで教えくれたこととして、宗教団体へ入信したナミの母親は、韓国へ渡ったという噂もあったが、結局は行方(ゆくえ)がわからないこと。一方で父親は連日の深酒のため身体をこわしやはり数年後には亡くなってしまったこと。そしてナミについては、意外な真実を、黄疸(おうたん)のような気色の悪い顔をした母 ──このときオレは母の死が近いことを覚悟していた── は、遠いむかしを思い出すように話してくれた。


 ──ずっと内緒にしていたけれど、ナミちゃんはね、ほんとうは養子だったのよ。わからなかったわよね。あの夫婦はどうしても子どもができなかったため決心して養子を迎え入れたんだれど、結局あんなことになってしまって! お母さんが宗教団体に入信したり、お父さんは酒浸りになったり、なんのための決心だったのか。ナミちゃんがほんとうに不憫(ふびん)でかわいそうだった。ところが血のつながりがなくても母方の祖父母が、ナミちゃんの将来をとても心配して引き取ってくれた。ほんとうにありがたいことだた。あのお祖父さんはとても責任感のある立派な人でした。


 ところがナミが高校へ入学した年に、その祖父も癌のために亡くなってしまった。日頃から祖母との折り合いが悪かったナミは、高校を卒業することなく祖母の家を出てしまったらしい。

 それからナミがどんな暮らしをしていたのか定かでない──のちに仙台市内の風俗店にナミに似た美しい少女がいたという噂は聞いた── が、8月の初旬、仙台七夕まつりで賑わう盛夏の仙台市中心部からほど近い韓国系の宗教団体の教会内で、18歳になったナミ ──世間一般の若者が謳歌する青春とは大きく隔たった時を過ごしたであろう── は支部長に対する殺人未遂事件を起こしたのだ。



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