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僕の恋愛  作者: kk
6/6

男同士で作戦会議

土曜日、午後3時

俺の部屋


俺は今人生最大の崖っぷちにいる

ベッドの上には、タンスから引っ張り出した服の山

ユニクロ、ユニクロ、しまむら、お母さんが買ってきた謎の英字Tシャツ(『POWER』って書いてある)


そうだ

…...明日着ていく服がねぇ

まじか、全部出せばなにかいい組み合わせの1つくらいあると思ってたが

ここまでとは......


制服って偉大だったんだな

私服になった途端、俺の防御力がゼロになる気がする

明日は本井さんも来るんだぞ? 『POWER』Tシャツで隣を歩けるわけがない。


『♪〜』


スマホが鳴る。

LINE通話の着信。

画面には「堀内」の文字。

救世主キターーー!


「もしもし! 堀内くん!?」

『おう、本堂。明日の待ち合わせの件なんだけどよー』

「ちょ、ちょうどよかった! 今すごい困ってて!」

『は? 何が?』

「服! 服がない! 何着てけばいいの!?」


電話の向こうで、ブフォッと吹き出す音がした。


『お前なあ、女子との初デート前かよ! まあ実質デートみたいなもんだけどさー』

「笑い事じゃないって! 本井さん、絶対私服オシャレだろ……隣歩いて恥ずかしくない格好って何!?」

『んー、まあ本堂は顔が薄いからなー。変に柄物着るより、無地のシャツとかでいいんじゃね? 清潔感大事よ、清潔感』


清潔感

なるほど、その発想はなかった

鏡を見る、ヨレヨレの英字Tシャツを着た俺

うん、不潔ではないがダサい

ダサすぎてむしろ不潔に見えてきた


『つーかさ、そんなガチガチになんなって。たかがカラオケだろ?』

「いや、俺にとっては一大事なんだよ……」

『ハハッ、可愛いとこあるなあ本堂は……ま、安心しろって』

堀内くんの声が、少しだけ真面目なトーンになる。


『昨日、伊藤とLINEしてたんだけどさ。本井さん、結構楽しみにしてるらしいぞ』

「え、マジ?」

『おう。「みんなで遊ぶの初めてだから嬉しい」ってさ。なんかあのコ、普段あんまり男子と遊んだりしねーらしいじゃん? だから、変にカッコつけなくていいんだよ。いつもの本堂でいけば大丈夫だって』

「……そっか」

《いつもの俺》でいいか......

堀内くんにそう言われると、不思議と落ち着くな


『ま、俺と伊藤もいるしな! 明日はパァーッと楽しもうぜ! 歌う曲考えとけよー?』

「……サンキュ、堀内くん。助かった」

『おうよ。じゃあ明日、駅前10時な! 遅刻すんなよー』

プツッ


静かになった部屋

散乱した服の山

……楽しみにしてくれてる、か

瑞希がワクワクしている姿を想像する

それだけで、なんだか明日が良い日になりそうな気がしてきたぞ

よし、とりあえずこの中から一番マシな無地のシャツにアイロンかけとこ


.......『POWER』Tシャツは封印だ。

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