出会い
すいませんを同じ作品で短編で上げたんですけど、短編を勘違いしていました
なのでこちらの方で上げ直しさせていただきます
台所に入る。
冷蔵庫を開ける。
「あぁ、そうかもうお肉は昨日で食べちゃったのか」
昨日の生姜焼きの味を思い出す。
「結構上手く出来たよな」
「けど、あいつのようにはいかないか」
今日から俺は夢にまで見た高校生。
真新しく、まだサイズの合わない制服に身を包み、家を出る。
両親は始め俺が一人暮らしすることに反対していた。
けど去年1年間勉強を頑張って、地元で1番の高校に進学出来た、その努力を認めて許してくれた。
初めての1人暮し
この響きだけで胸が踊る。
軽い足取りで駅まで向かう。
途中すれ違った中学生、ほんの数ヶ月前まで自分もそちら側だった。
けど高校生になって見る中学生はまだ子供っぽい。
「ここまで見える世界が違うのか!」
そして今から初めての電車登校だ。
今日は初めて尽くしなのに不思議と不安は無い。もはや希望に満ち溢れている。
さあ、初めての高校生活の幕開けだ。
俺は意気揚々と学校の校門を潜る。
桜が散り、ほのかに暖かい、眩しい日光。
周りには校門の前で写真を撮るこれからの仲間、あるいは友。
そして下駄箱で靴を脱ぎ、教室へと向かう。
「あれ?ここじゃないのか?」
しまった。
方向音痴である事を忘れてた。
ここどこだー!!
「ねえ、君も1年生?」
振り返るとそこには1人の美少女。
髪の毛は太陽に照らされ艶り、長さは背中まで伸び、前髪も今朝切ったのか整っているが少し短い気がする。
椿のような花の匂いが漂い、まるで周りにお花畑があるかのように華やぐ。
瑞瑞しく白い肌
きめ細やかな細い首
それでいて仄かに赤い唇
長いまつ毛
クリクリと大きな瞳
柔らかそうな程よい太さの腕。
一目惚れだった。
「あれ?もしかして先輩だったりしましたか?」
彼女はあわあわとして慌てる。
この耳を癒すような高い声をもっと聞きたい
「あ、いや、同じ1年生だよ!」
しまった、最後の方に声が裏返ってしまった。
「よかったー、先輩だったらめっちゃ失礼だなって思って」
彼女は手を胸に当てる。
その指は細く長い。
「いやなんか、急に後ろから話しかけられてびっくりしたというか」
今度はちゃんと言い切れたぞ。
「あ、たしかにそうだね。急に話しかけられたらびっくりするよね」
彼女がニコっと笑いかける。
あまりにも眩しくて後ずさりしそうだ。
「あたしは本井 瑞希、よろしくね!」
本井瑞希、可愛い子は名前も可愛いのか、ずるいぞ
「うん、俺は本堂 真、こちらこそよろしクッ」
まじかよ、今度は噛んじまった。
変なやつだって思われてないかな....。
「ぷ、あはは、本堂くん入学式前に緊張してるの?」
彼女が意地悪そうな顔で俺の顔を覗き込む。
「いやー、まあね、あはは。緊張のついでに迷子?みたいな」
何言ってんだ俺!!!
「あははは、なにそれ本堂くんっておもしろいね」
彼女が笑ってくれた。
笑ってくれたならいいか。
「しょうがないなー、私が連れて行ってあげる!」
彼女が威張るように腰に手を当て、胸を張る。
教室まで一緒に歩けるなんて幸せだ。
「ふーん、本堂くんって一人暮らしなんだ。料理とか出来るの?」
「んー、あんまりやったことはないけど炒め物くらいなら出来るよ」
「そーなんだ、私結構料理出来るんだー、お菓子とかちょくちょく作るし」
「へー、すごいな、お菓子あんまり食べないんだけどね、へへ」
「そーなの?美味しいのにー。あっ、じゃあ今度作ってきてあげる!」
「そんな、悪いよー」
「いいのいいの、私の好きでやってるだけだからっ」
会話が弾む。楽しいな。
こんな時間が永遠に続けばいいのに。
「はいっ、ここ1年生の教室ね!」
教室の外ではたくさんの人達がごった返し、賑わう
「ちょっとみずきー!どこ行ってたのー」
その中から1人ポニーテールを高い位置で結び、背の高いスラッとした子が出てくる。
「ごめーん香織ー、ちょっと学校探検したくなっちゃって」
えへへと言うように彼女は手を頭に当てる。
髪の毛が揺れ、彼女の匂いがふわりと立つ。
「んで、そこの人は?」
スっと俺の方に視線を向ける。
「あーなんか学校内で迷ってたから一緒に来たんだー」
「ふーん、私、瑞希の小学校からの友達で伊藤 香織、よろしくね」
なるほど、いわゆる幼なじみと言うやつか
「俺は本堂真、よろしくね」
奇跡的に俺と本井さん、伊藤さんはみんな同じクラスだった。
だが、教室に入って分かった。
いやその前からわかっていた。
彼女はもう既にクラスの中心で初対面ばかりの俺とはまるで世界が違う。
すぐに俺は教室の輪から排斥されてしまった。
そして遠くから彼女を眺める。
だが眺める程に心拍数は上がる。
彼女の笑顔、仕草、その全てに活気が宿っている
俺はその活気で満たされていく。




