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青春は青色!〜変な恋愛物語集〜  作者: 山本 2k
え?ギャルですか?なら、お断りです
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え?ギャルですか?なら、お断りです

「おいしょ」

田舎のバス停に腰をかける。

田舎といっても、めちゃくちゃな田舎という訳ではなく、まぁ、都会でもなく田舎でもなくのような、そんな場所。

朝はバスも沢山来るけど、帰りは1時間に1本。

地方では良くある事ではある。

そんな、ボロボロになった木で出来ているベンチに、オッサンのようなかけ声で腰を掛けた、三口みぐち 春樹はるきは高校に登校中である。

春樹は昨日、入学式を終え晴れて高校生になった。

中学との違いに緊張もしながら、同時に期待もあった。

可愛い子いないかなぁ〜、とか……。

もしかしたら、彼女とか……。

ただ、物凄く大変な問題がある。

春樹は、モテないオタク男子であること。

いや、それ以上にまず女子と話せる程のコミュ力があるだろうか(反語)

春樹はチラッとリュックサックに付けてる缶バッチを見る。

ケモミミの可愛い女の子の缶バッチである。

山本(やまもと) こうき(2k)作のファンタジー漫画に出てくるヒロインである。

春樹はそのキャラが好きで好きで仕方ないわけだが、共感してくれる人は少ない。

そんな殺生な……。こんな可愛いというのに。

そんなことを考えてると、バスが来た。

バスが止まり、ドアが開いて、乗るのは春樹一人だけであった。

人も数人しかおらず、空いてるので、近くの席に座り、リュックサックを隣に置く。

「出発します」

そうアナウンスが流れ、バスのドアが閉まったが、またドアは開いた。

「すみませんっス……」

「はぁ、はぁ」と息切れしながら乗ってきたのは……

「ギャルだ……生粋の」

つい、小声で言ってしまった。

見た目は、どう見てもギャルである。

ただ、礼儀は正しい。良い子だ。いやまぁ遅れないようにするのが最善だけど。



――なぁ、この世にはオタクに優しいギャルは居ると思うか?


LIМEにて。


――居る訳ないだろ

――かぁ!居るかも知れねぇだろっ!

――そもそも居ても嬉しくないし……。


春樹は清楚系が好きなのである。というか、ケモミミが大好き。可愛いよね。いや2次元だけどさ。

春樹はバスと電車を乗り継ぎ、教室に着いたところで暇になったが、丁度、同じく暇になった中学の友達がLIМEを送ってきたので久しぶりに話していた。


――そっちは友達出来そうか?


その友達は春樹のコミュ力の無さを心配してきた。


――僕に出来ると思う?

――何かごめん


友達は土下座のスタンプを送ってきた。

女子どころか、男子すら最初は話しづらいんだよなぁ……。

まぁ、男子であれば、最終的にはナーナーのノリで仲良くなるんだが、女子はなぁ。

ガタッ

隣でそんな音がした。

椅子を引く音である。

椅子を引いた張本人は、

「あ、さっきの人じゃん」

さっきのギャルが春樹を指差して言った。

そのギャルは春樹が返答に困ってるのも無視して、彼のリュックサックに付いてる缶バッチを見つめた。

「あ、それ、もしかしてユーナっスか?」

缶バッチのキャラの名前である。

「う、うん、そうだけど」

「まぢ!?あの山本こうき先生の描いた漫画『不撓幽霊ふとうゆうれい』のヒロインである猫か狼か分からないめちゃくちゃ可愛い茶髪のケモミミで主人公の為にめちゃくちゃ協力してくれる何か知らんけどとにかく可愛いあのユーナっス!?」

圧と、口の速さが凄い……。

めちゃくちゃ早口で説明されて、オタクであるはずの春樹も固まってしまった。

「あ、何かごめんっス」

謝られてしまった。

「い、いや良いよ……。けど、僕を超えるのやめてもらって良いですか……?」

「??」

ギャル……いや、オタクギャルちゃんは疑問符を浮かび上げた。

春樹もホンモノのオタクであるはずなのだ。超えられては困る。

そんな謎のプライドみたいな何かを持っている春樹にオタクギャルちゃんは話を進めた。

「いやぁ〜、ユーナのこと好きな人中々いなくって寂しかったんっスよ。でも、同志が居て良かったっス」

色々言いたいことはある。ユーナの話とか、色々したい。だが、それ以上に言いたいことが春樹にはあった。

「君って、見た目以上にオタクなんだね」

そう言った瞬間オタクギャルちゃんは目を見開いた。そして、顔を赤らめて、

「はぁ!?何を言うっスか!そんなことないっス!あんたみたいのと一緒にしないで欲しいっス!!」

と言ってどっかに行ってしまった。

……オタクにも謎のプライドは多分あるが、ギャルにもあるのかもしれない。知らんけど。



その後、授業では普通に進み、特に何もなく……

――中学とあんま変わらなくね?

――知るか

友達は何と冷たい人なんでしょうか……!

それはともかく、このままでは中学と変わらぬ平凡な日々になってしまう。

もっと、こう、青春アオハルをしたい。

今日の天気のようにキラキラとした晴れやかな青春せいしゅんを!

「あ……」

雨でした。

そう、玄関から見える外は雨でした。

それもまぁまぁな。

そりゃ、今日の青春はどんよりしててもおかしくないね!いや、関係ないか……。

「って、そうじゃなくて、今日、傘持ってきてないんだよなぁ……」

朝はあんなに晴れていたのに。

天気予報は見ないといけないな、と思う春樹だった。

(このまま、雨止むまで待つか、突破するか……)

なんて考えてたら、

「ほら……」

「?」

横から傘と声がしてきた。

パッと横を見ると、朝のオタクギャルちゃんが。

ただ、その傘で何を……

「相合い傘?」

「……!?ばっかじゃないの!私もう一つ傘持ってるから!その折りたたみ傘で帰ってってことっス!」

オタクギャルちゃんは顔を真っ赤にしてズカズカと行ってしまった。

「ちょっと待ってくださいよ!」

春樹は彼女の後を追って横に並んだ。

そしたら彼女は止まって、

「傘は明日返してくれれば良いっス」

少し睨んだような視線を向けられ春樹は……

「ありがとう」

と言ってニコニコしながら彼女の頭を撫でた。

「!?」

つい撫でてしまった。

(あっ、また逃げられる!?)

勢いで撫でしまったが、オタクギャルちゃんの顔が朝、逃げた時の顔になって春樹はハッとした。

まずいと思った春樹に対してオタクギャルちゃんは……

「……ど、どういたしまして、っス」

小声で返した。

顔は恥ずかしさで真っ赤であったが、同時に嬉しそうでもあった。

良かったぁ、と思う春樹であった。

「そう言えば、オタクギャルちゃんは名前何ていうの?」

「はぁ!?授業で自己紹介したじゃないっスか!あとオタクじゃないしそのニックネームはなんスか!!」

激怒したオタクギャルちゃんは襲いかかってきた!!


その後、無事に名前を聞くことが出来ました。

これは、2人が付き合うことになる物語の始まりの物語である。

オタクギャルちゃんこと――澤田さわだ 梨里りりはこの頃から春樹のことが好きだったのかもしれない。



――オタクに優しいギャル居たわ。

――は?



〈終〉

どうも。山本こうき、です。嘘です山本2kです。

漫画とか描けたら良いですけどね。絵心がなくて……。

一応、絵を描く部活を2つ兼部してるのですが……まぁ、ね?そこら辺の小学生の方が多分、興味深い絵描きますよ。


関係ないですけど、僕は関西住みの人で、多分関西弁を喋ってます。作中の登場人物にも反映されてるのかなぁと思う日々です。

知らんけど。

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