9話 恋愛マスターの考察
新幹線に乗って、私たちはおじいちゃんの実家へ向かっている。
「まさか、おばあちゃんの手紙の相手がおじいちゃんのお兄さんだったなんて……これはふかぁい理由がありそうね」
「恋愛マスターの目がきらきらしてるぅ」
「だって、ドラマ並みに濃ゆい関係性じゃない!」
「私は若干後悔してますが~?」
思ったより、思ったより純愛とかそういう話じゃなくてどろどろな話に私はちょっと凹んでいる。もっと純愛かと思ってたのにっ!
「大伯父さんのところに向かってるってことは、この手紙の追及はやめないんだろ?」
「まあ、ここまで来たらおばあちゃんの手紙の真相気になるじゃん」
気になるけど、実際はおばあちゃんに内緒でこんなことを暴いていいのかっていう後ろめたさがある。
「……まあ、いいけど」
「そんな野乃花に新情報を教えてあげるね♪」
「待って、これ以上ぶっこんで来ないで」
「実はね、おじいちゃんのお兄さんって昔はおじいちゃんと一緒に住んでたんだって。夜、障子越しに男女の影が見えるとかそういう話もありましてね。しかも、おじいちゃんはお仕事で不在だったとか」
「あああ、完璧不倫現場っ!」
「すすり泣く声を聞いた人もいるとかで、怪しさ満点ですねぇ」
「愛衣、楽しんでんな……」
「これでも親友の身近な人だから抑えてるんだけど、恋したけど結ばれなかった二人が再会したらって思うと……楽しみだよね、ふふふ」
「私だって、私だっておばあちゃんおじいちゃんじゃなければ、もっと楽しんでたはずなのにっ!」
「ばあちゃんに幸せになってほしいけど、じいちゃんの手紙を見てもしかしたらどろどろの三角関係だったかもしれないことに尻込みしてると」
「うぅ。だって、おじいちゃんがおばあちゃん大好きなの伝わってきて……」
「待って、野乃花。前にも言ったけど、おじいちゃんの手紙だってもしかしたらおばあちゃん宛てじゃないかもしれないじゃない。
宛先は愛しい人とか曖昧な表現だったんだし」
「うぅ、考えないようにしてたのに……」
「ほらー、もしかしたらお兄さんのお嫁さんが好きだったとか、泥沼な四角関係だった可能性も……!」
「可能性は無限大ダヨナー」
「久人が突っ込むの諦めちゃった……」
「どんなことでも可能性はあるって話だよ。だから、決めつけないで情報を地道に集めていこう」
そうだよね、もしかしたらみんなハッピーなお話だったりするかもしれないし。うん、今はとにかくおじいちゃんのお兄さんに会って話を聞こう!
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