8話 大叔母さんの証言
「あらあら、野乃花ちゃんもこんなに大きくなって。久人くんも久しぶり~。新しいお友達もいるのねぇ」
快く家の中に入れてくれたミサおばさんは、テーブルにお菓子とジュースを出してくれた。
久人と愛衣がそれぞれ挨拶をしてから、私はミサおばさんに本題を切り出した。
「ミサおばさん、おばあちゃんについて聞きたいんだけど」
「富志江姉さんのこと? あらやだ、具合でも悪くなった?」
「あ、おばあちゃんはめちゃくちゃ元気です。そうじゃなくて、おばあちゃんが昔、その……好きだった人っていますか?」
「昔……? あらやだ、いつの話かしら?」
私の問いにミサおばさんは心底驚いているようで、目を瞬いている。
「おじいちゃんとお見合いした頃の話なんだけど……」
「実は、富志江さんが幹久さん以外の人に手紙を出してたみたいで」
気がせいて頭が真っ白になってると久人がフォローしてくれた。少しほっとして、落ち着こうとコップに口をつける。
「ああ~! あの手紙!」
「ご存じなんですか?」
「ええ、だって私が代わりにポストに入れてたんですもの」
にこにことしながら、重大事項をぽんっというミサおばさん。
「もう富志江姉さんったら、恥ずかしがってなかなか会いに行けなかったのよね~」
「その手紙の宛先は誰だったんですか?」
「聞いてない? 幹久さんのお兄さんよ~」
「わぁ……これは衝撃的」
愛衣ですら小さくこぼすほどの事実。
「おじいちゃんのお兄さんって、どのお兄さんですか?」
思い当たるのは一番年の離れた長男で、何より世話になったとおじいちゃんが話してた人だ。
「ほら、幹久さんの実家を継いだ、一番上のお兄さんよ。美丈夫で有名で、私も一緒に手紙出せてもらってたのよね~、懐かしい」
「ち、ちなみにおじいちゃんは誰かに手紙とか出してたとかは……?」
「どうかしら~? 富志江姉さんと手紙のやりとりはしてなかったと思うけど……。それこそ幹久さんのお兄さんに聞いてみたらわかるかもしれないわね~」
「わ、私! おじいちゃんの実家に行ってきます!」
「まあまあ、せっかく来たんだからゆっくりしていって。幹久さんの実家だったら貴方のお母さんに言えばいいことだし」
「う、うん」
ミサおばさんの話は近所であったこととか、テレビのニュースのこととかで、結局それ以上の情報は得られなかった。
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