4話 手紙の相手を見つけ出したい
「――って感じだったの」
「野乃花らしい……驚くほど追加の情報がないな」
「はあ、好きな人がいるけどお家のためにそのまま結婚したとか、ドラマでよく見るやつ~! まだ好きとかおばあちゃんも乙女ね、野乃花!」
「でしょー! だから私、絶対この手紙の相手を見つけ出しておばあちゃんに会わせてあげるの。サプライズしたいからおばあちゃんには内緒で見つけたいんだ」
「まあ、動機は置いといて、この情報じゃ予測を立てようにも立てられないよ」
「でも、おばあちゃんに聞いたら絶対に怪しまれちゃう……」
「直接聞けないとなると、野乃花のおばあちゃんに関係が深い人たちに話を聞いた方が早いんじゃないかしら?」
「そっかー! それならおばあちゃんの妹さんとかに話聞けばいいかなぁ?」
「うんうん、妹さんなら何か知ってそう。あとは近所の仲良しさんとかもいいかも」
「野乃花だけで事情聴取はばあちゃん時の二の舞になる気がする……」
「あっらぁ? 久人くんが一緒に行ってあげればいいんじゃないかしら~?」
「いや、愛衣が行けよ」
「ごっめ~ん、私これから彼とで・え・とだから、そろそろ行かないと~!」
愛衣が鞄を持って立ちあがる。
「ありがと、愛衣!」
「いいよ~、近所の人には私が話聞いてあげるから、野乃花と久人くんは妹さんのお話聞いてきてね~」
ば~いって言いながら愛衣は教室から出て行った。
「じゃあ、久人。私たちはおばあちゃんの妹さんに会いに行こう」
「はあ……いきなり行ったら迷惑だろ。ちゃんと何時行くか連絡いれてからだ。予定は放課後ならいつでも空いてるしな」
「さすがきっちりしてる~! わかった。ママに連絡先聞いてみる。でも、今日することなくなっちゃったね」
「うーん……」
久人は、そのままもう一度まとめたノートに目を落とした。
「ちょっと気になったんだけど、ばあちゃんが出した手紙がなんでばあちゃん家にあるんだ? じいちゃん宛てだったら、わかんなくもねぇけど、別人宛てだったらあるのっておかしくないか?」
「そういえばなんでだろう? 返してもらったのかな?」
「あるいは出さずじまいの手紙だったか……これが入ってた封筒とかある?」
「たぶん、この手紙が入ってた箱に一緒に入ってたと思う」
「なら、野乃花のばあちゃん家行こう。封筒見たいし、この手紙の返信がないかも念のため探しておきたい」
「わかった。おばあちゃん家なら合鍵持ってるし、今日行くって伝えとくね!」
二人に相談してよかった。こんなに早く次にやることが出てくるだもん。
おばあちゃんに電話をして、私は久人とおばあちゃん家に行くことにした。
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