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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界から召喚された聖女?

作者: 幻世

「シュアル、君との婚約を破棄する!!」


 王城のある一室。

 呼び出しを受けたわたくしに突然婚約破棄を言い渡すガベジー王太子殿下。

 その場にはフライト国王陛下も呼ばれていたのかガベジー殿下の発言に驚いていました。

 フライト陛下だけではありません。

 兵士や魔法士たちも驚いた顔でガベジー殿下を見ています。


「そして、これからこの世界に召喚される聖女と結婚することをこの場で宣言する!!」

ガベジー(バカ息子)よっ! 血迷ったかっ!!」

「別に血迷ってませんよ、父上。 王家に伝わる文献には異世界から召喚された女は皆聖女の力を有し、とても美しい容姿をしていると記述されていた。 そんな女こそ俺の嫁に相応しい」


 ガベジー殿下の発言にフライト陛下は頭を抱えます。


「このバカ息子がっ!!」

「バカかどうかは聖女を召喚すればわかるさ。 そういう訳でシュアル、理解してくれたかな?」


 ガベジー殿下の無茶ぶりは昔から知っております。

 一度決めたら曲げない性格で、何度も迷惑を被りました。

 その度にガベジー殿下の弟であるロクト第二王子殿下に慰めてもらったことか。

 今も()を通してわたくしやフライト陛下を困らせています。


「畏まりました。 婚約破棄、謹んでお受けいたします」

「シュアル嬢!!」

「陛下、今のガベジー殿下に何をいっても無駄ですわ」


 どうにもならないことを察したのかフライト陛下が項垂れました。

 わたくしはガベジー殿下に話しかけます。


「では、この事を書面に残してもらえませんか?」

「ふんっ! いいだろうっ! おい、今すぐ紙を用意しろっ!!」

「はっ!!」


 近くにいた文官がその場で書類をしたためます。

 できあがると書類をガベジー殿下に見せました。


「ふむ、こんなところだな。 おい、これで問題ないか?」


 ガベジー殿下はわたくしに紙を渡します。

 書かれている内容に不備がないことを確認するとわたくしは同意するように頷き、ガベジー殿下に紙を返します。


「ええ、この内容で問題ありません」

「では、これをもう一部作れ」

「はっ!!」


 文官が同じのをもう一部作るとガベジー殿下はそれぞれの書類に自分の名をサインして、原本をわたくしに手渡しました。


「たしかに。 ガベジー殿下、今までありがとうございました。 それでは」


 わたくしがカーテシーをしてその場を去ろうとします。


「待て。 そう急いで帰らなくてもいいだろう。 今から聖女が召喚されるところをお前にも特別に見せてやろうではないか」


 ガベジー殿下はにやけた顔をしてわたくしを見ます。

 召喚した聖女をわたくしに見せびらかして、格の違いを思い知らしめるのが目的でしょう。


(悪趣味だわ)


 悪態をつきたいとこですが、相手は曲がりなりにも王族です。

 下手なことをいって我がファリグ伯爵家に悪印象を持たせるわけにはまいりません。


「畏まりました」

「そうだ、それでいい。 おい! 聖女の召喚を始めろ!!」

「「「「「はっ!!」」」」


 ガベジー殿下の命令を受けた魔導士たちが聖女召喚の儀式を始めます。

 しばらくすると地面に幾何学模様の魔法陣が出現しました。

 魔法陣から光の柱が放出しますが、時間が経つにつれ光が弱まり、消失するとそこに人がいました。


「あらぁ? ここはどこかしらぁ?」


 魔法陣の中心部には身長2メートル超の筋骨隆々な巨漢が立っていました。

 巨漢は腰まである長い黒髪に大きな襟とリボンが特徴の白い半袖服、膝上までしか丈がない紺のスカート、膝まである白いホース(ソックス)という異様な出で立ちです。


『おい、あれが聖女かよ・・・』

『どう見ても男だろ・・・』

『殿下の話と全然違うんだけど・・・』


 周りにいる兵士や魔法士たちは巨漢をちらちら見ながら小声で話しています。

 ガベジー殿下は顔を引き攣らせながらも巨漢に話しかけます。


「だ、誰だっ! お前はっ?!」

「初対面の相手に失礼しちゃうわねぇ・・・って、よく見たら貴方、あたし好みな顔をしているわねぇ♡」


 巨漢はガベジー殿下にウインクをして色目を使いました。

 あまりの破壊力にその場にいた男性たちは自らの手で口を抑えます。


「き、気色悪いっ! このサモーヌ王国第一王子であるガベジーにそんな目を向けるなっ!!」

「まぁ♡ 王子様だったのぉ♡」


 巨漢は目をハートにするとガベジー殿下に走って近づきました。


「ひいいいいいぃーーーーーっ!!」


 巨漢は逃げようとするガベジー殿下を捕まえてそのまま抱きしめました。

 そして、その胸板にガベジー殿下の顔が埋まっていきます。


「むぐうううううぅーーーーーっ!!」

「ああ、あたしの王子様ぁ~♡」


 ガベジー殿下は必死に逃げ出そうとしていますが、その握力から逃れられず、ジタバタしていました。


「で、殿下を放せ!!」


 兵士や魔法士たちが勇気を出してガベジー殿下の救出を試みます。


「邪魔するんじゃないわよっ!!」


 巨漢の威圧(怒気)に兵士や魔法士たちは恐怖で委縮してしまいました。


「あらやだぁ・・・あたしったらぁ。 皆さん、ごめんなさいねぇ。 おほほほほほ・・・」


 恥ずかしさから巨漢の腕にこれでもかと力が入ります。

 それによりガベジー殿下の顔がますます巨漢の胸板に埋もれていきます。

 ガベジー殿下は必死になって抜け出そうとしますが力及ばず、次第に抵抗力が弱まっていきました。

 危機を察した兵士の一人が巨漢に訴えます。


「そ、そんなに力強く抑え込んだら殿下が死んでしまうぞ!!」

「え? あらやだぁ。 あたしったらつい力が入ってしまったわぁ」


 巨漢は力を緩めたことでようやく胸板から解放されたガベジー殿下。


「はぁはぁはぁ・・・お、俺は異世界から聖女を召喚したはずだぞ?」

「聖女? 惜しいわねぇ。 あたしの名前は聖なる女って書いてセイナって読むのよぉ。 セ・イ・ナ♡」


 巨漢・・・セイナさんが再びウインクすると男性たちは四つん這いになり、吐き気を抑えるのに必死でした。


「な、何がセイナだっ! 貴様はどこからどう見ても男だろうがっ!!」

「たしかにぃ、1年前まではぁ、男性だったけどぉ、海外で性転換手術をして今は女性になったのよぉ。 ほらぁ♡」


 言うが早いかセイナさんはガベジー殿下の右手を取るとあろうことか自らの股間を触らせました。


「ひいいいいいぃ・・・やめろおおおおおぉ・・・って、な、ないっ?!」


 ガベジー殿下は右手に触れるはずであった男性の器官がないことに驚いていました。


「そうよぉ。 手術で男性の器官は摘出してぇ、そのあと女性の器官を移植したのぉ。 貴方が望むならぁ、ベッドの上でいくらでも相手になってあ・げ・る♡」


 その光景を想像してしまったのでしょう。

 男性たちからは次々と『おえええええぇ・・・』という声が漏れ出ています。


「こ、これ以上俺に狼藉を働くなら牢にぶち込むぞっ!!」

「あらぁ、そんなに照れなくてもいいのよぉ。 それにぃ、男って好きな女をついつい虐めたくなるのよねぇ。 元・男だからその気持ちわかるわぁ♡」


 セイナさんはうんうんと頷いています。


「なんでお前を好きにならないといけないんだっ! 俺はお前のことなど大っ嫌いだっ!!」

「嫌よ嫌よも好きのうちっていうじゃないぃ。 言葉ではいくら否定しようと心の中ではあたしのことを好きで愛しているって知っているのよぉ。 ねぇ♡」


 セイナさんが三度ウインクすると耐えられなくなった者から次々とその場に倒れていきました。


「ダメだっ! 話が通じないっ! 父上っ! 助けてくださいっ!!」


 ガベジー殿下はフライト陛下に助けを求めました。

 しかし、フライト陛下は首を横に振ります。


「ガベジー、これはお前が心の底から望んだことだ。 受け入れよ」

「そ、そんなぁ・・・」

「それとお前の王太子の地位を剥奪し、王位継承権の序列を末席に下げる」


 フライト陛下はついでにガベジー殿下を断罪しました。


「ち、父上っ?! いくらなんでもそれは横暴じゃないですかっ!!」

「王族から除籍されないだけありがたいと思うがよい」


 フライト陛下はああいいますが、矛先が自分に向かないように上手く立ち回りました。

 それにガベジー殿下が王子ではなくなった瞬間、セイナさんが何を仕出かすかわかりません。

 なので、最低限王子としての地位はそのままに飼い殺し状態にしたのでしょう。


「セイナ殿」

「なんですかぁ?」


 フライト陛下はセイナさんに頭を下げます。


「不束者ですが、ガベジーの事よろしく頼みますぞ」

「! 嬉しいぃ♡ あたし、王子様と結婚するのが夢だったのぉ♡」


 フライト陛下は関わりたくないのか、ガベジー殿下を悪魔(セイナ)に売り飛ばしました。


「ガベジーちゃん、王様があたしたちを祝福してくれるってぇ♡」

「父上っ! 助けてくださいっ! ちちうえええええぇーーーーーっ!!」

「ガベジーよ、逞しく生きるのだぞ」


 それだけいうとフライト陛下は仕事を終えたとばかりに現実から逃避しました。

 フライト陛下が役に立たないと悟ったガベジー殿下は、周りを見てわたくしを視界に捉えます。


「シュアル! 俺が悪かったっ! 今までのことは謝るっ! 婚約破棄も撤回するっ! だから助けてくれっ!!」


 ガベジー殿下はわたくしに手を伸ばして助けを求めます。

 それを見たセイナさんはわたくしに殺気を放ってきました。


「何、貴女? あたしのガベジーちゃんを奪おうというの? ちょっと顔が良いからって図に乗ってるんじゃないわよ!!」

「あ、それはないです。 貴女が召喚される前に殿下から婚約破棄を言い渡されましたので。 これが証拠です」


 激怒するセイナさんにわたくしは婚約破棄について書かれた紙を見せます。


「何、その紙? あたしはこの世界に来たばかりで文字なんて読めるわけ・・・あらぁ、読めるわぁ。 どれどれぇ・・・」


 セイナさんは紙に書かれている内容を読みました。


「ふむふむぅ・・・なるほどなるほどぉ・・・つまりぃ、貴女はあたしの敵ではないということねぇ?」

「はい。 むしろお二人の仲を応援しておりますわ」

「あらぁ、やだぁ、ありがとうぅ。 貴女がガベジーちゃんを幸せにできなかった分、あたしが幸せにしてみせるわぁ♡」


 わたくしの言葉にセイナさんの機嫌が直ります。

 納得してくれたところでセイナさんが宣言しました。


「あたしはガベジーちゃんと今すぐ結婚しますわぁ。 さぁ、誓いのキスよぉ♡」

「やめろおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!!!!!」


 セイナさんはガベジー殿下が逃げないように両手でしっかりと頭を固定しました。

 それと同時にセイナさんの分厚い唇がガベジー殿下の唇に近づいていきます。

 そして・・・



 ぶちゅうううううぅ・・・



 抵抗も虚しく無情にもセイナさんの分厚い唇がガベジー殿下の唇を奪いました。

 その光景にわたくしやその場にいた者たちは目を逸らします。


「むぐうううううぅーーーーーっ!!」


 ガベジー殿下が絶叫するもセイナさんの口の中から僅かに漏れる程度でした。

 それからどれほどの時間が流れたのでしょう。

 セイナさんが唇を放すとガベジー殿下はすでに白目で意識はなく身体がピクピクと痙攣しています。


「うふふ・・・情熱的なキスだったわぁ♡」

「うむ、そなたらの愛しかと見届けた。 住居だが王家が保有している孤島がある。 すぐに行けるよう手配するのでそこで二人仲良く暮らすがよい」

「ええぇ、良いんですかぁ? 王様、ありがとうぅ」


 セイナさんは喜んでいますが、実際はガベジー殿下と二人一緒に隔離するといっているようなものです。


「それでは準備ができるまで別室にてガベジーと一緒に休むがよい」

「は~い♡」


 セイナさんは気を失っているガベジー殿下を抱えながら衛兵の案内で別室へと移動しました。


「ふぅ・・・一時はどうなることかと冷や冷やしたが、なんとかなったのぅ。 シュアル嬢、ガベジー(バカ息子)が迷惑をかけた。 本当に申し訳ない。 後日話し合いの場を設けたいのだが・・・」


 フライト陛下はわたくしの顔色を見ていました。


「承りました」

「そうか、それは良かった。 では、日程が決まり次第使いを出す」

「ご連絡お待ちしております」


 わたくしはフライト陛下にカーテシーをするとその場をあとにしました。




 数日後───

 フライト陛下からの呼び出しにわたくしとお父様であるファリグ伯爵の二人で王城を訪れました。

 応接室に案内されるとそこにはフライト陛下と第二王子であるロクト殿下が待っていました。


「ファリグ伯爵、それにシュアル嬢、よく来てくれた。 さぁ、座ってくれ」


 フライト陛下が席を勧めたので、わたくしとお父様は用意された席に座りました。


「まず最初にガベジー(バカ息子)が迷惑をかけたことをここに謝罪する」


 わたくしに対してフライト陛下とロクト殿下が頭を下げます。


「話は愛娘のシュアルから聞いています。 なんでもガベジー殿下は異世界から召喚された聖女様と婚姻するとか?」

「その通りだ。 すでにここ(王都)から旅立って今頃は王家保有の孤島に着いているはずだ」


 あのあと、フライト陛下は早急に馬車を用意して、セイナさんと未だに気絶しているガベジー殿下を孤島に即送りました。

 出発する際にガベジー殿下が途中で逃げないように両手両足にそれぞれ鉄球付きの手枷足枷を取り付けたそうです。


ガベジー(バカ息子)だが、表向きは突如病魔に襲われて現在孤島で療養中としている。 王家はガベジー(バカ息子)の早期復帰は難しいと判断し、これによりここにいるロクトを第一王子及び王太子とすることを後日国民に公表する予定だ」


 フライト陛下はそこで一旦言葉を区切るとわたくしを見て話を切り出します。


「シュアル嬢、もし、よければだがロクトと婚約を結んでくれないか? 今回は王令ではないので君に諾否の権利がある」


 わたくしはロクト殿下を見て一礼します。


「このお話、お受けいたします」

「婚姻を受け入れてくれるか! ありがとう!!」


 このあと、その場で一通りの手続きをして、わたくしとロクト殿下は席を外しました。

 二人きりになったところでロクト殿下が話しかけてきます。


「ああ、シュアル。 君と結婚できるなんて夢のようだ」

「わたくしもですわ。 ロクト殿下」


 人格に問題があったガベジー殿下はわたくしと顔を合わせる度に苦言を呈します。

 わたくしが落ち込んでいると慰めてくれたのがロクト殿下でした。

 最初はわたくしへの同情からだと思っていましたが、その優しさにいつしか心が惹かれ、気がつけばロクト殿下を愛していました。

 それはロクト殿下も同じで相思相愛になるのにそれほど時間はかかりませんでした。

 ですが、わたくしはガベジー殿下の婚約者。

 この恋は成就しないと心の中で諦めていたのです。

 しかし、今回の聖女召喚はわたくしにとって好都合でした。

 少なくともガベジー殿下との婚約がなかったことになるのですから。

 それだけには留まらず、ロクト殿下との婚姻できるとは想像もしなかった事です。


「ロクト殿下、愛しております」

「僕もだよ」


 わたくしたちはお互いを抱きしめあいました。




 後日、王家は国民にガベジー殿下が病魔に襲われて療養していることと、それに伴いロクト殿下が第一王子及び王太子になられたこと、わたくしがロクト殿下と婚姻したことを大々的に報道されました。

 ただ、国民の混乱を避けるため、この世界に召喚されたセイナさんの存在は公にはしませんでした。


 それから1年後には結婚式を行い、3年後には第一子が、5年後には第二子が、7年後には第三子が生まれ、わたくしはロクト殿下や子供たちと共に幸せな生活を送りました。











★★★★★ おまけ:ガベジーとセイナのその後 ★★★★★


 王家所有の孤島にある別荘の寝室。

 ベッドの上では全裸になったガベジーとセイナがいる。

 ガベジーの両手両足にはそれぞれ鉄球付きの手枷足枷がつけられていた。

 逃げられない状態で、今はセイナに組み敷かれている。

 セイナは食事と睡眠以外の時間は常にガベジーとベッドの上で抱き合っていた。

 無論、セイナ主導のもとで。


「ガベジーちゃん♡ 素敵ですわぁ♡」

「だ、誰かぁっ! 誰か助けてくれえええええぇーーーーーっ!!」


 ガベジーは助けを求めるも一緒についてきた使用人たちは見て見ぬふりをした。

 もし、助けようものならセイナの逆鱗に触れる恐れがあるからだ。

 いくら叫んでも助けが来ないことにガベジーは絶望する。


「ガベジーちゃん♡ あたしに貴方の愛を頂戴ぃ♡」

「もうやめてくれえええええぇーーーーーっ!!」


 寝室からは常にガベジーの悲鳴とセイナの歓声が聞こえていた。




 それから半年後、奇跡が起きた。

 なんとセイナがガベジーとの子をその身に宿したのだ。

 本来、性転換手術をした者が子を宿すのは難しい。

 だが、この世界に来たことで聖女の力以外にも言語理解能力と、そして、もう1つセイナは力を手に入れた。

 それは女性としての機能だ。

 これにより本物の女性の身体になったセイナは子を宿すことができるようになった。

 このあと、セイナはガベジーとの間に20人を超える子を成すことになる。

 そして、100を超える歳まで生きながらえたそうだ。


 余談だが、ガベジーとセイナの愛の行為は以外にもサモーヌ王国全体を救っていた。

 セイナが愛を感じれば感じるほど聖女の力が増し、それが周囲に影響を与えるのだ。

 現にガベジーと愛を育むことで、セイナは無意識とはいえ聖女の力でサモーヌ王国全体を包み込んでいた。

 セイナの力はサモーヌ王国内にいる魔物や魔獣たちを退け、傷を負った者たちを癒し、病を患った者たちを治したのである。

 この超常現象に国民は神の奇跡だと喜び、公にしていないセイナを称えていた。




 セイナは歴代最高の聖女であったが、その名が後世に語り継がれる(歴史に残る)ことはなかった。


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