人口過剰問題
いろいろ失敗を繰り返して、悟った万界王は、そろそろ対処しなくてはなぁと、支配地域の人口図面を見ていた。
最高水準にあたる、第一次医療。これを受けられるのは、妊婦・3歳未満の子のいる両親、および保護者、そして3歳未満の乳幼児に限る。
第二次医療。
これは、12歳までの子供が受けられるものとする。
第三次医療には制限はない。
医療費は王の生まれた国の国民保険に近いものがあり、胎児・妊婦・三歳未満の乳幼児は、医療無料である。
12歳までは、一割負担で診療が受けられ、一八までは二割負担、55歳までは三割負担で、70歳まで五割負担、以降は指定されたワクチン類以外は全額負担となる。
老人医療を手厚くしても、良いことはないと万界王は知っている。
年寄りは基本的には八十ぐらいでばさばさっと死んでいくのだが、出産で母子が死ななくなり、戦争もなくなると、一気に人口が増えていく。
「誘拐婚を続行した地域を何か理由をつけて、殺処分と、幼婚をやめない地域も殺処分。おお、千八百万人になるけれど、焼け石に水。ならば女性器削除する文化地域も殺し尽くしてしまえば」
最後のは、ほっといても滅ぶが。
その文化をやめるように言い渡した。が、断られたので、医療・国民保険の恩恵を与えず、かつそこの魔術医(魔法が使えるわけではなく、まったく根拠のない呪いを使う医者)には、女児が性器削除の施術を受けたら一割死亡するようにさせた。さらに初潮が始まると感染症で一割が死亡し、初夜に人工的に狭めた膣を貫くことでの出血多量での失血死で何人も死亡するようにし、最後、初産で半数が死ぬようにした上で、短期間で三度妊娠出産したら確実に母親が死ぬように調整させているので。
女が一気にいなくなる。
正直、戦敗民のくせに言うことを聞かない奴隷など、死んでくれて構わない。
これはいろいろあるが、女性を尊重しない文化地域は、王が頭痛を起こす勢いで、子が増える。
ほんと、しんどい。
女は被害者だろうに、それもろとも、殺しつくすのか、と非難する連中もいるが。
被害者は、加害者になるので、一緒に滅ぼすのが一番良いのだ。善意で助けた人間が殺人や虐待をすると、助けた側がメンタルをやられるから。
奴隷売買をやめなかった地域は、滅亡している。これは仕方ない。
万界王と麾下1332以外はすべて奴隷民であり、奴隷が奴隷を持つ、すなわち王になりかわらんという最悪の反意であるから。
どうせ増えるなら、法を守り、おとなしく、賢い羊がよい。わざわざ堕羊を親として繁殖させる必要はないのだ。
人口が減る分には機械化を進めるから、かまわない。村人全員で行っていた、稲や麦を刈る作業も、トラクターを使えば、一人でできてしまう。
増えると、ライフラインの強化や、食料の供給、出てくるゴミや排泄物の処理等、やっかいな問題が出てくる。
女性の権限を上げ、娯楽を増やし、女性の半数が、自分の意志で一度も出産しないのが理想である。
生む人は、何人も産むから。
万界支配下では妊娠出産時に、母子が死ぬことはないから、正直今後30年以上はそうしてほしい。
そうしても、人口が最大値を叩くのはこの星の人間が奴隷民になった時点から五十五年後になる。
産めよ増やせよの、追い立てられるような感覚は急には変わらない。
兄弟姉妹七人だったのに、成人して結婚できて、子をなせたのは自分ともう一人だけ、ほかは病気や産褥で身罷った、という経験をしている世代は子供や孫に「産め、増やせ」と言い続けるだろう。そうしなければ村や町が滅ぶから。
その感覚を孫子まで伝えてしまう。
まあもっとも、増えすぎたら、早百合は殺すつもりでいる。
だからこそ、彼らは奴隷民、なのだ。
適切に間引く。
それが家畜を管理するものの勤めであるから。
とはいえ、先に公務員を整えるかと、わざわざ前時代の賄賂汚職腐敗政治のまま移行してきた制度を見直していく。
一時的に放っておいたのは、人の見極めのためである。
真面目に事務処理を行う者ばかりの中で、汚職をする者は少ない。
同時に、腐った環境でも、己を変えない者も少ない。
汚泥に咲く蓮のような、潔癖な官僚を見つけられるなら、不快な現状を二年か三年放置する価値はある。
すでに粛清リストもある。
麾下のジンが、これは凌遅刑ではないか、と問いかけてきたが。
死刑じゃないから違う。
凌遅刑はせいぜい三日ぐらいで死ねるが、365日かけて切り刻んだ上で、殺してやらない刑なので、悪辣さが違う。
『殺さず』という異名もちの執行官がいるので、そのおぞましさがわかる。
そんな予定でいたところで、一報が入った。
公務員の女性が行方不明
と。