16. 本性はこっち
「はあ?? 流行感冒? そんなんでそこまで痩せたんか?」
宮野さんは“心底呆れた”という顔をして……眉間を揉みながら頭を振っている。
「アンタな……たった今“日本中の体重計を気にしとる女子”を敵にまわしたで?」
(ヒドいな!……ってか他に言い訳を思いつかなかったんだよ)
「まあええわ……で? あのアホどもの呼び出しはどうすんの? まさかホイホイ顔出すつもりやないやろね?」
「…………まさか! 俺はそこまで馬鹿じゃないさ! 放課後になったらトットと消えるつもりだよ」
………その目は完全に疑ってる目だね。
「アンタな……」
「いやマジで……約束するよ」
「はぁ……ま、ええわ。一応信用しとく」
とても信用してくれたとは思えない表情だけど……
「ほら……そんな仏頂面してたら可愛い顔が台無しだぜ?」
― ボッ ―
うん??
「なっ?!?! アンタやっぱりおかしいで?! 先週までのアンタやったらそないなこと絶対言わんかったやろ!!」
ああ……そう言えば俺の性格が変わったって根菜類が言ってたな。でも今の俺のほうが本性みたいな事も言ってたし……
「……でもウソは言ってないぜ?」
「〜〜〜〜アホ!!」
宮野さんは……何故か顔を真っ赤にして走りさってしまった。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか……」
――――――――――
【佐】あいつ一体何なんだ? この一週間で変わり過ぎだろ
【後】おかしいぜ 俺が胸ぐら掴んだ時 あいつグラつきもしなかった ちょっと痩せたくらいじゃあんな変わるわけねぇ
(ちっ、あんなグズがちょっと変わったくらいで何をビビってやがんだ!)
─もしかしてウスノロなりになんか運動の真似事でもしてたのかもしんねぇが……こっちは三人もいるんだぞ? いざとなりゃ全員でボコればいいだろが【斉】
【佐】でも……あいつ俺達の事を動画で撮ってたぜ?
─心配するな どこで豚知恵をつけてきたか知らんがスマホ取り上げてクラウドにログインさせれば証拠なんぞ簡単に消せる【斉】
【後】まあな…… あのブタ野郎に俺の空手がどんだけ痛ぇのか思いださせてやるか!
【佐】だけどよ そろそろ奴から小遣い搾るのはヤバいんじゃ……
(まったく……すぐにヒヨるなこの臆病者は)
─心配すんな 奴の懐には御立派な両親の保険金が入ってんだ それに……もともとあいつの親が余計な事しなきゃ俺達だって何の問題もなく上に行けたんだぞ? それをあんなグズのせいで俺達まで外部校を受験する羽目になったんだ ちっとくらい絞ってやっても……【斉】
(いや……確かに佐藤の言ってる事も一理あるか? これまで搾り取ってきたのは全て現金だからアシはつかねぇはずだが……)
【後】どうしたんだよ?
─ いや【佐】の言い分にも一理あると思ってな…… これからあいつが変に反抗的になる前に完全に搾りカスにするってのはどうだ?【斉】
【後】?
【佐】 どういう事だよ?
(ちっ……察しの悪い奴らだな!)
─放課後、ヤツのスマホを取り上げるだろう? そしたらクラウドだけじゃなくてヤツの口座にもアクセス出来んだろうが【斉】
【後】……ヤツの財布を根こそぎヤっちまうって事か?
【佐】え??
─心配すんな 今日のところは“アクセスコードの変更”だけさせて口座を動かせない様にさせるんだ あとは……俺らに疑惑が及ばない様に準備してから根こそぎヤレばいい 前に遊びで覗いたダークウェブには『足のつかねぇ預金の引き出し方』みたいな情報も流れてたはずだ【斉】
【後】 いいじゃねぇか!
【佐】……マジでやるのか?
─ビビるな どうせあのカスじゃなんも出来やしねえ アシがつかなきゃポリだって迫下グループのいざこざに首なんざ突っ込まねぇさ【斉】
【佐】でも……あいつ大人しく科学準備室に来るかな? また逃げ出すんじゃ……
(確かに──今まではこっちの言う事に従順だったが……今朝のあいつの態度じゃシカトするかもしれねぇな……)
【後】 そっちは俺に任せろ……良い案がある
─どうするつもりだ?【斉】
【後】さっき先公にチクってた声……よく考えたら聞き覚えがあった たぶん俺のクラスの宮野って奴だ あのブタとどんな関係なのか知らねぇけど……余計な事してくれたあいつに協力してもらおうじゃねえか?
【佐】おい? あのブタ以外に余計な手を出して大丈夫かよ?
【後】心配すんな! 上手くやる
(後藤は確かに粗暴だがバカじゃねぇ……任せるか)
─よし……そっちは任せる。俺はヤツの事嵌める準備をしとく!【斉】
【後】おう!
【佐】わ、わかったよ
――――――――――
一週間振りに登校した学校は……朝の一件以外大過なく過ごせたと思う。
担任教師は朝のHRで俺の事を顔を見つけて表情を凍りつかせていたが……
周りの生徒達も概ね先週までと同じ……というか俺の見た目が激変したせいで余計に腫れ物みたいな扱いだった。
『久々の学校はやっぱりイマイチだったか……だが授業そのものは楽しかったんじゃねえか?』
家でくつろいでいる筈の根菜類がリンクを使って話し掛けてきたのは、全部の授業が終わって下校する途中の事だった。
(ずいぶんな言い草だな? もしかして……お前って俺の見聞きした事が分かるのか?)
『そんなモン分かるわけねえだろ? お前には俺の視界やら聞いた音が分かるのか?』
たしかに……そんなのは感じないな。
『ま、思考や経験は伝わらなくても、感情の雰囲気くらいは伝わって来るからな。今もお前の落ち込んだ雰囲気を感じたからリンクを飛ばしたんだが……』
「なるほど……でどういう意味だよ? “授業は楽しかったろ?”ってのは?」
『大した事じゃねぇさ。一つお前の身体について言い忘れてた事があったんでな……』
「言い忘れてたって……何をだよ?」
『……お前の身体がほとんど再構築されたもんだってことは知ってるだろう? 当然だが……それは脳や神経系にも及んでる。で、再生された脳や神経系は本来の設計通り完璧に構築されてるから……今日の授業のほとんどが一度聞いただけで理解出来たんじゃねえか?』
「やっぱり再生の影響か。前の俺はぜんぜん成績の良い方じゃなかったのに……今日はやけに授業がスラスラ入ってくると思ったぜ」
『理解してるならいいさ。で……朝のトラブルはもう大丈夫なのか?』
(……おい?)
『感情くらいは分かるって言ったろ? ま、一日平穏みたいだったから大丈夫だとは思うがな』
そうか……自分じゃ冷静なつもりだったんだけどな。実際、宮野さんに言ったとおり斉藤達の事はシカトするつもりだったし。
(そうか……まぁ、いいさ。で用はそれだけか?)
『いや……時間通りに帰ってくるのか気になってな。ほら、学校の帰りにホームセンターに寄って新しい肥料を仕入れてくれるって言ってただろ? どんな種類があるのか気になっちまってよ〜』
……お前は酒屋ではしゃぐオッサンか。
(心配すんな。予定通り帰るつもり……)
― ブーン ―
俺の胸ポケットでスマホが振動した? 自慢じゃないが俺のIDを知ってる人間はそれほど多くない筈なんだが……
スマホの画面を確認すると……やはり知らないIDからだ。タイトルは……
(画像添付されたメッセージ? )
メッセージはほんの一言だった。
【さっさと来い】
添付されていた画像は……ウチの女子の標準制服に採用されてるリボン? いや、ただのリボンの画像じゃない。リボンの裏のネームタグから一文字だけが見える様に拗られて……?
― 宮 ―
(……悪いな根菜類。予定より少し遅くなる)
『だから……根菜類って呼ぶんじゃねえよ』
いつも読んで下さってありがとうございます。
ちなみに……読者の皆さんはメガネでおさげで関西弁のヒロインなんてベタなキャラクターはお嫌いでしょうか?Σ(´∀`;)
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