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人造魔導星核 第一次実験記録

※本記録は私的保存を目的とする。魔術的封印をかけ、執筆者以外の閲覧を禁ずる。

※外部への提出、閲覧、引用を想定しない。封印が第三者により解除された場合、記録は自動的に抹消される

※補助式・観測記録・素材構成表は別冊に保存


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概要

 紅玉星において進行中の魔力資源枯渇は、既存研究により、星の自然回復限界を越えた段階に到達していることが示されている。その具体的兆候として、各地で確認されている「大地漂白」現象は、星構造そのものの劣化を示すものと理解されている。

 本記録は、これら既存研究を前提として立案・実施された、人造魔導星核(以下「星核」と呼称)による紅玉星再生計画の第一次実験について、その目的、方法、結果、および今後の方針を整理したものである。


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甲 既知事象の整理

一 大地漂白

 大地漂白とは、先行研究により報告されている、以下の特徴を持つ土地変質現象である。土壌および岩盤が魔力を保持しなくなる。一部空間への魔力の流入・通過・蓄積が不可能となる。生命体の活動を不可能な状態へ移行する。本現象は局所的な魔力枯渇とは異なり、回復例は現在まで確認されていない。


二 大地漂白発生要因に関する整理

 先行研究により報告されている大地漂白現象について、既存の説明では、局地的な魔力資源の掘削や、それに伴う魔力の循環不全が主因とされてきた。

 しかし、この解釈では、漂白が局所的消耗ではなく、構造的に進行すること、魔力低下が観測されない段階でも漂白が発生することを、十分に説明できない。

 調査の結果、紅玉星の管理者である星神が、現在地上の魔力生命体を管理する能力が不足していることが明らかとなった(別冊二章を参照)。またこの欠陥は回復、あるいは補助が不可能であることも判明した。


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乙 計画目的

 本計画の目的は、紅玉星における恒常的な魔力供給構造を再建することである。数千年単位の、短期的な生命維持ではなく、数億年単位の、長期的な星の存続を目的とする。


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丙 装置および対象

一 人造魔導星核

 星核は、星神と同等の役割を担う魔力装置である。素材は星神の神気に匹敵する出力を有する、魔力生命体の魔導核を使用する。致命的欠陥を有する現管理者を完全に代替し、新たな生命循環の起点の形成を可能にする。


二 星神と星神の座

 星神の座は、紅玉星の中心核に存在する形而上の領域であり、星全域の生命体循環は星の縁を通じて、この座に接続することで成立している。星神の座は、神の被造物に属するが、旧星での検証により、魔力生命との接続そのものは問題ないことが実証されている(別冊三章を参照)。紅玉星の問題の根幹は、星神の座そのものではなく、管理者たる星神の不具合である。従って星核を現管理者と置換することで、問題の解決を図る。


三 星の縁

 星神が管理する、星神の座と地上生命を繋ぐ、一種の通信経路である。星の縁もまた神の被造物である一方で、その接続者が魔か神に属するかについては、星神の座同様に峻別されていないことは検証済みである。しかし一方で、星の管理者を星核に変化した場合は、既存の縁の再接続を行うことが理論上不可能であることが判明した。それによる影響については後述の通りである。


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丁 計画と予測

一 計画の決定過程

 星核を星神の座へ到達させ、既存の管理者と置換する。事前予測により星神の座と星の縁で結びついた生命圏の断絶が予期された。

 ただし、本計画を実施しない場合、紅玉星は生命体の繁殖を維持するだけの資源が枯渇し、全球的な大地漂白へと移行する。一方で発生しうる反発作用による生態系の崩壊は一時的なものであると試算したため、本計画の進行を決定した。


二 反発作用の予測

 生命体の情報は星の縁を通じて星神の座に記録されている。この接続を担っているのは、星神である。星神の座と星の縁そのものは神的物質であるが、魔的物質で形成された星核での管理・運用に問題ないことは判明している。しかし既存の星の縁については、星核では運用することができず、別途星核が管理可能な新たな星の縁を一から作成する必要があることがわかった(別冊五章を参照)。その星の縁の再作成は長い時間を有するため、結果、星神の座と現存する生命体は断絶される。これにより「一部の原核生命及び強大な魔力生命体」を除く生命体の絶滅が予測された。


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戊 結果

 当初想定されていた反発作用は、実際の実験過程において想定された形では発生しなかった。

 反発が抑制された結果、星全体への影響は予測値より軽減された。確認された事象は次の通りである。

 星全体の真核生命の約八割が機能停止した。原核生命には大きな被害は見られなかった。なお観測範囲における大地漂白の段階的回復が確認された。


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己 代替案の検討

 理論上、現行の星の縁を星核でも管理あるいは再接続可能なものに変化させてから、本計画を実施するという案も存在した。この場合、生命損失は抑えられる可能性がある(別冊九章を参照)。ただし本案は条件が過多であり、現段階では実行性を欠くうえに、大地漂白の時間的制約を大幅に超過する準備期間を必要とするため棄却した。


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庚 考察

一 星神の介入

 実験最終段階において、星神が介入した。星神は星核を星神の座へ到達させず、これを自身の肉体へ受容した。この行動により、星神の座と生命を繋ぐ縁の断絶を免れ、想定されていた最大規模の反発は発生しなかった。ただし、神に属する星神の肉体と、魔に属する星核の反発が、間接的に星全体へ影響を及ぼしたと推定される。

二 評価

 星核の不完全稼働により、紅玉星の魔力枯渇は約五千年遅延したため、即時的な星の死を回避した。ただし当初目的とした、恒常循環の再建には達せず、根本的解決には至らなかった。


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辛 今後の展望

 本研究の予期せぬ変数の結果、約五千年後までに、第二の星核が必要となった。現時点で適合素材は存在しない。ただし、今後五千年間に誕生する、強い魔力生命体の核を集積すれば、必要量に達すると試算される。

 本計画を第二次魔導星核製作へ移行する。


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 記録終

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