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被造物の反逆 第三節

 魔神王クームベサムと相対するリャージャは、そのあまりに暴虐な策略に困惑と怒りをあらわにしていた。

「そんなこと、結局あいつとやってること変わらないじゃないか!いやもっとひどい!あいつは少なくとも未来があるが、お前のやっていることは!」

 再び、魔神王の近くで雷鳴が轟く。仇敵であるタミーナフと、自分が比較されたこと、そして更にはそれにさえ劣ると評されたことへの怒りの発露なのは明らかだった。

「貴様らのような些末な生き物の定規で測るな」

「どっちが些末だ!お前のやってることは単なる復讐だろうが!」

 リャージャは、無謀にも怒りを示す魔神王に対して更に追求してみせた。しかし意外なことに、魔神王は怒りを更に煮えたぎらせることはなく、むしろその稲妻は鳴りを潜めていった。

「そうだ、復讐だとも!今まで神々の被造物を守るため!魔に染まるも覚悟で、神族もろともこの魔の扉を守り続けたというのに、あの賢王と崇められる存在は、そんな我らを蹂躙した!神族は全て奴の術となりはて、我が核さえ奪われた!恨みだ、恨みしか、私には残されていないのだ!」

 リャージャはこの時、初めて目の前の魔神王が、実に哀れに見えた。情緒が不安で常に苛立つ。まるで、心に傷を持つ帰還兵のようだった。これが伝説に魔神王と謳われた存在の現状なのだ。

「だけど、クームベサムよ、それは時間稼ぎにすらならないだろう。あいつは一度、お前の胸中よりその核を奪うため、この世界に来ているんだろう?なら、阻止されたことがわかったら、奴はすぐさまこっちに来るはずだ」

 リャージャの声色も、どこか諭すような穏やかなものに変わっていた。

「この魔の扉は私の体と結びついている。私が自分の意思で開けぬ限りは、微塵も動かんよ。そしてそれは、私だけでなく、大いなる神々との契約によるもの。例え魔導を統べる彼奴でも、力づくで引きはがすことはできん」

「だが、アンタ自身が消される可能性だってあるだろ」

「わかっていないな。それこそ無いのだ。お前もこの世界に随分浸ったからわかるだろう。この世界は力の多寡ではなく、魂の強さこそ全て。そして私とて腐っても神族の長よ。宇宙の終わりまで、この扉を死守する覚悟はある」

 リャージャはもう呆れつつあった。つまりこのクームベサムという魔神は、あのタミーナフ、もといネーパットと我慢比べすると言い放ったのだ。どれだけタミーナフが、魔神を虐げ、その扉より引き離そうとも、その拷問を永遠に耐えて見せる自負があると、この魔神の王は放言したのだ。

「ふざけんな!私の故郷を、そんな下らん維持の張り合いで、死の星にするって言うのか。馬鹿げてる!馬鹿げてる!」

「何とでも言え。私に傷ひとつ付けられぬ羽虫のような貴様に、何を言われても心に響かんわ」

 そう言って、魔神王は、再び玉座、いや、厳密には、魔の世界とこちらの世界を繋ぐ扉に、深くもたれかかった。

「……なら。こういうのはどうだ。お前は、あのタミーナフの計略を止めるのが、復讐なんだろう?だったら、私があいつの計画を阻止してやるよ」

「なに?」

 リャージャが不敵な表情で、自慢げにそう魔神王へ言い放った。




 ネーパットの工房、その中央に赤と黒の魔でに覆われた異形の怪物が立っていた。

「サネト、貴様」

 その正体を、この工房の主はすぐさま見抜いた。見た目こそ大きく変わっていたが、その身より発せられる魔力は、ネーパットにとっても馴染みのあるものだった。

 すると、その頭を覆っていた鎧とも鱗ともとれるその塊が徐々に消えていき、中から人の顔があらわになる。答え合わせをするかのように、その怪物は自分のかつての姿を晒したのだ。

「よう、ネーパット。お前をぶっ飛ばすために死の世界から舞い戻ってきたぜ」

 サネトは、かつて魔人との戦いで失い、そして先ほどネーパットを弾き飛ばした右腕を自慢げに見せつける。

「ふん。どうやら愉快と不愉快を混ぜた状況が起きているようだね。だが、良いのかい。あんたは、わしの人工星核を、正真正銘の魔神の心臓、いや、魔核に転化させちまったんだ。あの出来損ないの星神は、不完全な取り込みをしたせいで再利用できなかったが、お前のは違う。その魔導星核は、さぞよく働いてくれるだろうねぇ」

「ああ、お前が俺の心臓をぶち抜けるってんならなぁ!<疾走(テゼト)>!」

 再びその頭を魔力の鎧で覆い、サネトはその得意とする魔術で駆けだした。もはやそれは肉体強化の域ではなかった。その身が全て魔力となった今、それは「走る」という概念を具現化させた術に等しい。「速く動きたい」という渇望の実現そのものだった。

『速さが変わったところで、同じ術。見飽きたわ』

 ネーパットは手話でサネトに答えた。もはや音を越えた世界、だが光の速度で対話が可能な手話であれば、例え高速移動中のサネトでも認識することはできた。驚くべきは、その老獪な姿からは想像がつかないほどの、ネーパットの手話の早さだった。彼女もまた、何らかの速度を増加させる魔術を使っているのか、あるいは時間を操作して、サネトの速度に追いついていた。

 時間が極限に圧縮された空間での対話、その最後を締めくくったのは、ネーパットの奇妙な指の動かし方だった。両手の親指と人差し指を立て、左手は中指を、右手は小指を立てるという独特の指だ。サネトは特に手話に詳しいわけではなかったが、あまり見覚えのある形ではなかった。

 するとその右腕の人差し指を、サネトの方へ向け、その右手の後ろで、左手の指で何かを掴むような所作を見せた。

〇〇一一一(魔神術式二四九番)一一〇〇一(:メソケ)

 その指が意味することを、サネトは知らない。それは数字だったのだ。

 一〇二四の魔神の術式を自在に操るために、ネーパットがそれぞれに割り当てた数字である。

 左腕を少しずつ引く。その所作にはサネトも見覚えがあった。弓を引く姿勢だ。

 きらりと、右手の人差し指が輝いた。すると、サネトに向かって、鋭い光矢が飛来する。それはこれまでネーパットとの戦いで何度か見ていたものだった。

 今まで目視さえできなかった攻撃だったが、今回のサネトには、それをはっきりと認識できた。確かに速かったが、今の彼ならば躱すことは難しくはなかった。真正面から飛来する光矢を、体をよじって避ける。

 だが光の矢は、サネトの背後で急速に軌道を変えて、再び彼を襲い掛かった。そのことにサネトはその身を切り裂く直前まで気づけなかった。直撃こそなんとか避けられたものの、サネトはその攻撃の違和感にすぐさま気づいた。

(ああ、これか。不治の呪いがかかってる例の代物は)

 だがサネトは自分の体にめぐる魔力を傷口に集中させ、その呪いを弾き飛ばした。だが、その矢は未だサネトを追い続けていた。

(そういう術かよ)

 矢は、サネトの正面から勢いよく迫ってくる、彼は一旦ネーパットの方向への走行をやめ、その矢を振り切るために一旦、大きく後方へ跳ねたのち、工房の壁面を駆け始めた。未だその矢はサネトを追うが、速度はやはり今のサネトの方が勝っていた。しかし安心することはできない。矢は極めて機械的に、正確に最短距離を走っている。永遠逃げ続けるわけにはいかない。

 迎撃。

 サネトは左腕に魔力を混め、後ろより飛来する矢を迎え撃つことを決めた。今のサネトなら、肉を断つ覚悟をすればそれは決して難しいことではない。サネトは目の前に迫る壁を使って一瞬で振り返り、背後の矢を打ち落とそうとした。

 しかしその時、サネトの右膝を、何かが打ち抜いた。

「矢が一本だけと、誰が言った」

 姿勢が乱れたところを、サネトが打ち落とそうとした矢が、その左肩を貫いた。当たり所がわるかったためか、あるいは魔力を一点に集めていたことが災いしたか、その二本の矢はサネトの左腕と右ひざを切断した。

「はん、これしき!」

 だがサネトは一瞬でその肉体を再生する。魔力で構成されたその体は、意志一つですぐさま再生する。矢に込められた不治の呪いも、その強い魔力ではじき返した。

〇〇〇一〇(魔神術式七十二番)〇一〇〇〇(:ラァト)

 しかし、サネトがその身を再生させたその瞬間、ネーパットは今度は両手の人差し指だけを立て、それを十字に交叉させた。すると、サネトの体を、二本の白い光の棒がやはり十字に貫いた。

「な、う」

 サネトの体は突如空間に張り付いたように動かなくなった。それどころか、口さえも動かない。

「これしきで終わるわけがなかろう。魔力を無駄にしたくないのでな。確実に仕留めさせてもらう」

 そう言いながら、ネーパットは再び指の形を変える。しかしサネトを縛る光の十字は、そのまま残り続けた。今度は人差し指から、両手の中指だけを立てた。

「再生力には自信があるのだろうが、どれ。それがどこまで持つか、試してやろう」

 そして、何かに号令を出すように、その両手の親指を天に突き立てる。

〇〇一〇〇(魔神術式一三二番)〇〇一〇〇(:ウタナ)

 するとその指先が指すサネトの頭上に、赤い光が突然現れた。その光は徐々に巨大化していき、更に輝度も上げていく。

 そして、突如、その光の渦より、瀑布のような多量の火炎が降り注いだ。

 サネトは身動きとれないまま、その炎に身を焼かれる。一瞬で彼の身は焦げ落ち、消えそうになるが、サネトの体は再生を試みる。が再生したところが、更にすぐさま灰燼となっていく。だがサネトは再生をやめるわけにはいかない。彼がそれを諦めたとき、自身の魔力核は、魔人たちと同じように休止状態へ陥り、ネーパットに奪われてしまうからだ。

 従って、再生と燃焼、それを永遠に続ける拷問が、こうして完成した。

「さあ。頑張って耐えるがいい。その苦痛から逃れようとしたときがお前の終わりだよ。まあ、耐えても時間の問題だがね」

 ネーパットの言う通り、既にサネトの再生速度を、その燃焼速度が上回っていた。

 だが、サネトの身が燃え尽きんとした、その時だった。

 突如、その炎が消える。ネーパットはその光景に目を丸くしており、それはこの事態が彼女の想定するところではないことを意味していた。

〇〇一〇〇(魔神術式一三二番)〇〇一〇〇(:ウタナ)

 先ほどネーパットがその指で唱えた術を、何ものかが声を使って唱えた。そして今度はその炎は、サネトではなくネーパットの頭上より襲い掛かった。

 するとサネトにかかっていた呪縛の術も解ける。炎はしばらくネーパットとその周辺を焼き払い続けていた。強烈な閃光と爆炎で、視界ははっきりとはしなかったがサネトは、自分を救った何者かの姿を、その目ではっきりと捉えた。

 工房の天井付近に浮く存在、それはまさしく彼がこれまで旅を共にしてきた機械人形、ヨベクの姿だった。




 ヨベクを修理していた魔工宗匠たち、彼らは見事、かの機械人形を生命と作り替えることに成功した。その最後の一手こそ、偶然の助けが必要ではあったものの、しかし、その奇跡さえも、神懸かった技巧の粋を集めてようやく手繰り寄せたもの。

 とはいえ、宗匠たちはそんなどこより降り注いだ恩寵の気配を察してか、自分たちの仕事にあまり納得はいってなかった。

「ヨベクのやろう。本当に目を覚ましたらあっという間に空間移動とは。治してやった恩義を感じてねぇのか」

 レアケがそう悪態をつくと、隣に立っていたクヴェユヴェクは彼女を見下ろしながら、冷静な声色でこう返す。

「恩義を感じたから、私たちもこうして、近くまで連れてきてくれたのでしょう。これで、我々も、世界政府に言い訳が立つというもの」

 彼らが今いるところは、ネーパットの工房のある<ケクスペス>を一望できる丘陵の上だった。しかし、それなりに遠方にも関わらず、既に地震と勘違いするほどの、強烈な揺れが何度も繰り返し感じられた。

「しかし、この場にいてこれほどの魔力。我々にできることはなさそうですねぇ」

 セスケトがそうはにかみながら話した。

「おや、貴方たちのほうが先に着いているとは。また新しい移動用装置でも開発しましたか?」

 すると、魔工たちの背後より、竜因の長であるラフグアが宗匠たちに声をかけた。竜因たちは当然魔工たちよりも先に出立していたため、この状況はいささか奇妙に思えた。

「よう竜大公。今あそこで、伝説の英雄様と、現代の英雄様が戦ってるんだ。わかっていると思うが、俺たちはせいぜい、一軍が敗退した時の控え選手だ」

 レアケが冷笑交じりで竜因たちに答えた。

「言われなくても、今あの戦いに参加する気にはなれんよ。彼らの邪魔にしかならんだろうし。しかも、俺たちはさっきから妙な気配もしてるんだ」

「妙な気配?なんだそりゃ?」

 赤髪の竜因バウカの言葉に、同じく赤髪の魔工テテンが反応する。

「以前も言ったと思いますが、竜因同士は共鳴することができます。それに似た感覚が、今我々の中でしているのです。しかし奇妙なことに、我々全員です。本来であれば同じ竜の因子を持つ者同士でしか成り立たないはずなのですが」

 ラフグアがそのように説明すると、魔工のユヴェクは何か思い当たる節があるかのように首を傾げた。

「……もしや、ヨベクが蘇ったときに、ヨベクが発したあの奇妙な波動と関係があるんでしょうか」

「さあね。わかりやしないさ」

 そんな魔工たちと竜因たちのやりとりの中で、一人不安そうに震えている人物がいた。

「ルセッタ、どうかしましたか?」

 白竜の竜因であるルセッタの異常に気付いた、黒竜の竜因クスベムが、心配そうにその顔を覗き込んだ。小柄なルセッタに対し、長身のクスベムだったため、まるで親が子に相対するように、彼女はかがんでルセッタに話しかけた。

「いや、その。リャージャさんは、死んじゃった、んですよね」

「……魔工やクトゥンの話を総合すると、そのようですね」

 ルセッタの不安そうな表情が一層青ざめた。ルセッタが案じているのは、勿論自分の安否ではない。リャージャはルセッタと同じ白竜の竜因。例え血を分けた人間でなくとも、同じ力を持つ存在には一定の親近感を覚えることは竜因では珍しくなかった。そして、クスベムもまた、同じ力を持った竜因を失ったときの喪失感を経験している数少ない竜因の一人である。そのため一層ルセッタの感情に、彼女は共感を覚えていた。

「なに、諦めるには早いよ」

 そんなとき、二人の隣から、老齢の竜因であるユーボスが声をかけてくる。

「ユーボス様、しかし」

「はは。私は虚仮の希望を話すほどお人よしじゃあない。あの子は間違いなく戻ってくるよ」

「どうして、そう確信を持たれているのですか?」

 ルセッタが、少し上ずった声で、ユーボスに尋ねる。すると彼女は少し間をおいてから、こう口にした。

「年を取ってるとね。聞こえちゃいけない世界の裏側の声が、たまに聞こえたりするもんさね」

 その答えに、結局二人は納得はいかなかったが、不思議なことに、少しだけ、取り乱していたルセッタの感情は穏やかさを取り戻しつつあった。




「ヨベク、お前、直ったのか!」

 火炎の瀑布を止めたのち、サネトの隣に、ヨベクはゆっくりと舞い降りた。

「はい。治ったばかりではありません。今の私は一個の生命体として、力を得ました。そう。もう人形ではありません。だから貴方の所有物に戻ることも永劫ありません」

 ヨベクがきっとネーパットの方を睨みつける。そこはまだ黒煙に包まれていたが、その声に応えるように一気に煙が晴れる。その中央にはあれほどの火炎を受けてなお、まったく傷を負っていないネーパットの姿があった。

「ヨベク、お前が生命として覚醒する可能性というのは、随分低かったというのに、どうやら運に恵まれたようだね」

「そうでしょうか。私の計算ではそう低いものではありませんでしたよ」

 ヨベクの発言は、実は嘘である。彼女もまた、自分の生命体としての覚醒は希望的観測で見積もっても天文学的な確率であった。

「命を目覚めさせて最初に言う冗談が、そんなつまらないものでいいのかい?」

 そう言いながら、ネーパットは、その指の形を変えていた。

「まずっ」

 サネトがそのことに気づき動こうとするが、たった一動作で魔術の詠唱が完成するネーパットの魔神術式を阻止するのは、今のサネトでも極めて難しい。

〇〇〇〇一(魔神術式四八番)一〇〇〇〇(:セトジェグ)

 両手の親指だけを立て、それを地面に向けて指す。サネトは新たな攻撃に身構えるが、しかし待てどもその魔術は発生しなかった。

〇〇〇〇一(魔神術式四八番)一〇〇〇〇(:セトジェグ)

 今度は同じ術式をヨベクが唱える。すると透明でありながら、虹色に輝く光の塊が空より、ネーパットにむかって降り注ぐ。

「言ったでしょう。もう私は誰の所有物でもない。自分の意思を持つのです。だから返していただきました、一〇二四、全ての魔神術式を!」

 あの魔工、クヴェユヴェクの推測はまったく正しかった。魔神術式は、ヨベクの機関部の役割を果たし、そして本来の術式所有者であるネーパットは、その権利を既にヨベクに移譲済みであった。しかし他者の所有を前提とする機械人形であれば、ネーパットは好きなだけヨベクからその術を「貸与」という形で拝借することが可能だった。

 しかし今、その裏技の前提は崩れた。もはやヨベクは人形にあらず。自らの意志で考え、動くもの。ゆえにもう魔神術式をヨベクから無断で拝借することはできなくなったのだ。

 ヨベクが出した魔神術が、ネーパットを襲った。その光玉は爆風などは立てなかったが、しかしネーパットが立っていた場所をまるでかじり取ったかのように、大きくえぐっていた。まるで物質がどこかに転移したかのような光景だった。

 だがまたもネーパットは無傷のままだった。

「おいおい、さっきからなんの手品だ、ありゃ」

 サネトがそんな光景を目の当たりにして、悪態をついた、その時だった

「……もう面倒だ」

 ネーパットがそう言いながら指を鳴らした。その瞬間、この場にいるサネトとヨベクだけでなく、遠く離れた場所にいる魔工と竜因にすら、恐怖をもたらすほどの、強烈な魔力が吹き上がった。

 恐怖で一同が竦みあがったと隙をついて、ネーパットは今度は両手ではなく、右手だけの親指を突き立てる。するとそれと同時に、小さな光の粒が現れた。それをネーパットは右手で掴む。その瞬間、指と指の間から、激しい光が漏れ始めた。

「やば……」

 サネトが高速移動でその場を離れようとしたが、もう遅かった。

 ネーパットが右手を開く。それと同時に、工房すべてを一瞬で飲み込むほどの、巨大な爆発が巻き起こった。

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