被造物の反逆 第二節
ネーパットの無機質な工房にて。その空間の中央、まるで他者を寄せ付けぬような、異様な力を放ちながら、浮かび上がる異物。
ネーパットが生み出し、そしてサネトがその胸に押し付け、そしてその身を粉微塵に爆散させた、この救星の人造星核が、何ものにも寄りかからずに、にもかかわらず空間に磔にされたかのように、ただじっと、中空に佇んでいた。その位置は、まさにサネトの心臓があった場所である。
『そんな……』
紅玉の星神にとって、サネトの魔神化は最後の希望だった。その魔導星核が、サネトの身に宿るかどうかは、確かに賭けだった。しかしそれ以外に、星神には、この星の生命を、旧星の天才から救う術は思いつかなかったのだ。まさに一縷の望みをかけて、この手を打った。
だが、奇跡は起こらず、順当な結末を、サネトは迎えたのだ。
「あーはっはっは!馬鹿な奴だ。わしが、一度踏んだ失敗を、もう一度繰り返すわけがなかろうが。この星核は初代と違い、完全な魔力でできている。不純物が無いからな。ゆえに、神の被造物である以上、これを『核』として受け入れることは不可能!どれだけ魔の才覚があろうとな!」
ネーパットの高笑いを、今の紅玉の神は、殆ど雑音程度にしか聞こえていなかった。なぜなら星神の胸中は、愛する星の子の命を自分の無謀な策略で滅ぼしてしまったことへの後悔、そしてその他すべての星の民もまた救えなかったという自責の念だけに染まっていたためだ。
しかし、強烈な肉体の破壊の後、奇妙にもサネトの魂が、この物質界に留まっていたことに、この場の誰も気づいていなかった。それはある種の執念のようなものだった。だが、それではなんの意味も持たない。魂を覆う肉の鎧が無い以上、サネトが再び立ち上がることはない。
ネーパットが勝利を確信し、星神が膝を挫きかけた、その時だった。
『開け、扉よ』
この場にいるすべての存在の脳裏に、その世界の裏からの言葉が届いた。
それは、ある者にとっては不快な現象であり、ある者にとってはただ不可解な言葉に過ぎなかった。
そしてある者にとっては、それは反撃の狼煙だった。
ネーパットは、空間より突如「現れた」右腕によって、大きく後方に弾き飛ばされた。大した傷こそなかったものの、その一撃で一瞬目線が、魔導星核より外れてしまう。そして再び顔を見上げ、星核の方を見たとき、その目に映ったのは、体を赤と黒の魔で覆った、異形の怪物の姿だった。
謎の声を、ネーパットたちが聞いた、その数十分前、魔工宗匠七名は、自分たちの大工房で、破壊されたヨベクを寝かせた作業台の周囲をぐるりと囲んで立っていた。奇妙なことに、その魔工たちの周囲には、大量の黒き固形魔力の塊、つまり魔剣がずらりと積みあがっていた。
「竜因たちには、試すことがあるゆえ、少し待機するようクトゥン経由で連絡させた。だが、一時間以上は稼げんぞ。世界政府の連中が、俺たちが特別資格の義務を放棄していると騒ぎ始めたらしいからな」
「結構。それだけあれば十分です」
その身は最も小柄ながら、最も尊大な魔工、レアケの言葉に、クヴェユヴェクはひどく冷静に切り返した。
「でもよ、できんのかよ。本当に。この魔剣を素材に、この機械人形を生命体に作り替えるなんてよぉ」
赤髪の宗匠、テテンが、自信なさそうに、周囲に積みあがった魔剣を見ながらそう呟いた。
「できるか、できないかは、もはや問題ではありませんよ。やるか、やらないか、です。そもそも前例などありませんからね」
ユヴェクが魔工たちに渡した指示書、そこに書かれていたことは文字通り前代未聞の所業だった。
現在、この機械人形は、その部品の大部分が固形魔力で形成されている。しかし、本質的には、これは、機械人形という言葉通り、その在り方は「機械」と言った方がよいものだった。心臓として機能しているものは、単なる動力炉に過ぎず、血管を模したものは、単なる魔力を通すだけのもの。体を包む肌のようなものもまた、肌のような質感を「もっただけのもの」に過ぎない。
つまりヨベク自身は、人間の姿と機能を表面的に模しただけの、やはり「人形」なのだ。
それをユヴェクは、文字通り「人間」に変える、という計画を打ち立てた。
肌は、生命のように代謝をし、心臓は、生命のように拍動する。
本来「人を象っただけのもの」を作るならば、全くもって不必要な機能だ。しかし、それを敢えて、全て生物のように完全に模倣する。思い付きこそすれ、明らかに手間と費用だけが嵩張るその計画だ。
「では、始めます。まずは脚部の方からですね。やりますよ」
ユヴェクが一本の魔剣を手に取る。すると、その触れた場所から、するすると、非常に細い糸のようなものが伸びてくる。それを、今度はキュペイラの操る超小型機械が、運んでいく。
「生命」の宗匠であるラーヤが、生命の完璧な設計図を作り、指示を出す。その指示通りに「魔力」の宗匠であるクヴェユヴェクが、肉体を形成するための部品を魔剣から作っていく。一方、クヴェユヴェクでは、魔力を「そのような形」に作り替えることはできても、それ以上の細部の再現は不可能であった。だから物質の構造を熟知した「変質」の宗匠、アテセルが生命体の肉体再現の手助けを行う。そして、第七の宗匠であるキュペイラが、細胞規模の縮尺で必要な作業である、「魔力で作った肉体」をヨベクの構成する部品と入れ替えていく。
だが、この作業をするには、「生命」の宗匠であるラーヤの頭にある、「生命の設計図」を完全にその三人が頭に入れている必要があった。だが、そんなことは、例え天才たちの集まりでも、専門外の知恵を一夜漬けどころか「一時間程度」で頭に叩き込むなど不可能である。
それを可能にしているのが「思考」の宗匠であり、魔工の頂点に立つレアケである。彼女はラーヤの持つ思考を、完全にこの場にいるすべての宗匠に共有していた。しかし本来なら「他人の思考」が頭に入ってきたら、思考に混乱をきたす。だが宗匠たちの天才的な思考力と集中力、そしてレアケの思考整理により、完璧な思考共有が可能になっていた。
今は出番がない「移動」の宗匠のセスケトと、「力能」のテテンであったが、この二人の能力が本格的に必要となるのは、この第一段階が完了した後である。
そして、この精密に過ぎる作業を、この四人はたった三十分程度で済ませなければならない。レアケの脅しは恐らく、かなり希望的観測だ。恐らく、既に世界政府は、業を煮やしており、いつ魔工宗匠の工房に押しかけてもおかしくない。もしそうなれば計画はご破算だ。
なぜなら魔力で「生命」を作ることは、今の法律では硬く禁じられている。そうなれば、特別資格の義務違反どころか、それ以上の刑罰を与えられる可能性が高い。
だから、作業は早ければ早いほど、不要な危険性を取り除くことはできる。が、これほどの微に入り細を穿つ行為は、凡人であれば例え一月、一年あったところで、完璧にこなせるかさえ怪しい。
正確と速度の天秤を、完璧に水平に保ち続ける必要がある。気が触れそうになるほどの作業の連続。
だが、彼らはやり遂げた。三十分どころか、十数分程度でヨベクの肉体をほぼ全て「生命の機能」を持った状態で作り替えることができた。だが、今のヨベクは、まだ血の通わぬ死体同然に過ぎない。それどころか、体は以前上半身と下半身に分かれたままである。これを繋げることは、未だネーパットの術による呪いのせいで不可能なままだからだ。
一旦、ここでキュペイラとアテセルの出番は終わり、それに代わって、テテンとセスケトが加わる。まだ唯一、置き換わっていない機関がある。それがヨベクの体の中央、心臓の位置に置かれていた内燃機関、そして魔工宗匠たちが、「魔神術式」で構成されていると推測した、その魔力核である。こればかりは他のモノに置き換えることはできない。なぜならそれこそ、ヨベク自身を形作るものだからだ。ある意味「魂」と呼び変えてもいい。この「機械」を残しながら、ヨベクを「生命」に作り替えるのは、矛盾したようだが、この問題は、意外とすぐに解決した。
彼らは、この魔力器官を、心臓の調節器のように作動させることを考え付いた。つまり、生命として模倣した心臓部分を、この魔力核を使って「拍動」させることで、魔力核を残しつつ、生命として作り替える課題を達成することにした。
だが、ことはそう単純ではない。そもそも、この魔力核は魔力を一定量生み出すことが本質的な機能であり、拍動を生み出すものではない。
それを「力能」を司るテテンが解決した。テテンは、その術で、魔力核が生み出す魔力を、拍動を促す電気信号へと変換し続けた。それにより、一定の律動で、それに隣接する「心臓」を拍動させることに成功した。ある種の除細動器のような働きをさせていたのだ。勿論これは一時的なこと。ヨベクが「生命」として覚醒さえすれば、この魔力核と宗匠が生み出した肉体との結びつきは、ヨベク自身でなんとかすることができる。
そしてこれと同時に、クヴェユヴェクが液状化させた魔力を、今度は「移動」の宗匠であるセスケトが動かす。心臓の中に流れ込むその液体を、彼女は、全身に巡らせ循環させる。
この新たに加わった二人の作業は実のところ、これの繰り返しであった。ただひたすらに生命として必要な肉体の動きの手助けをし続ける。勿論、その作業自体も正確無比でなければならないことに変わりはない。
しかし本当の問題は、彼らの場合は、この作業を「いつまで続けるのかわからない」という点である。言い換えれば「ヨベクが覚醒するまで」この作業は続ける必要があったのだ。
そして結論から言ってしまおう。この宗匠たちの作業は、決してヨベクを生命として覚醒させるには至らない。それは彼らの方法が間違いだからとか、技術が足りないからとかではない。
非常にわかりやすく言えば、今、ヨベクが仮に「生命」に覚醒したとして、そこに魂の器が発現するわけだが、実のところ、これを達成させるだけの魔力が「この世界」にはないのだ。魔力世界へとつながる物質界の穴が、それだけ現代は細く小さくなっていることを意味する。星の上で、海よりも巨大な水槽を作り、それに水を満たせと言っているようなものだ。そもそもが無い物ねだりなのだ。
だが、その「無いもの」が突如、「存在」することになれば、話は別だ。
『開け、扉よ』
魔工宗匠たちの工房で、この世界の裏からの声を聞き届けた”者”はいなかった。
だが、唯一、その声を聞き届けた”物”はあった。
「だはぁ!」
消し炭にされたリャージャが、再びその肉体を取り戻す。リャージャにとっては、もう何度目かにもなる肉体の再生だったが、流石にこれほど短期間に何度も肉体の破壊を経験したことで、徐々に魂に軋みを感じ始めていた。
これを何度も耐えるのは難しい。
リャージャはすぐさま直感した。だが、先ほどの稲妻は、多少不意を突かれたとはいえ、明らかにリャージャの反応速度を上回っており、回避も防御も咄嗟にすることができないほどだった。正面からの戦いに勝ち目のないことは承知の上であったが、今の実力差では、戦いを長引かせることすら難しい。
「てめぇ、図星突かれて沸騰するのは、ちょっと神様にしては余裕がなさ過ぎるんじゃないか?」
リャージャはあえて挑発の言葉を口にした。リャージャの予測は正しい。この神、クームベサムは、実に短気な神だ。気に食わぬことに目を血走らせ、砂塵と雹、雷を用いて撃滅する。それがこの神の特質であり、魔に堕ちてもなお変わらぬ本性だ。
予測通り、魔神王は稲妻を、リャージャに向けて叩き落した。だがリャージャはそれを、間一髪で回避した。リャージャはその雷を目視して避けたわけではない。挑発によって怒りの閾値が超えた瞬間を測りやすくしただけに過ぎない。だが魔神王は自分の憤怒の具現をすかされたことを目にして、意外にも少しばかり冷静さを取り戻していた。
「私と言葉を交わしたいといったな。それは先のような挑発ではなかろう?一つだけ答えてやろう」
魔神王は、少し前のめりになっていた姿勢から、玉座にもたれかかり、リャージャの方に視線を送る。
「……魔人たちの一部が、物質界の時点でネーパットの計画を知っていて、それを邪魔しようと画策していたのは、お前がそのことを、魔人たちに知らせていたからか?」
「ほう?そんなことか?お前たちは既に知っていたと思っていたが。その通りだ。魔人たちに、タミーナフの尖兵が襲ってくること、その目的は伝えた」
クームベサムにとって、リャージャの質問は少し期待外れだった。しかしリャージャも、これは本命の問いではなかった。
「今のは前提の確認だ。それを踏まえて問いたいことがある。なぜ、魔人たちを『各地に点在』させたんだ。最初から一点に集めておけば、私たちには手出しはできなかったはずだろう。それに全員、私たちが戦いを挑んだら、きちんとそれに答えていた。逃げるように指示すればよかっただろう?」
「わかってないな。私は魔人どもにタミーナフの計略を阻止することなど求めておらん。私の狙いは別にあった。せいぜい、あの傲慢な王の転生体が、自分の計画が上手く運んでいると錯覚すればいいさ」
「待て、じゃあお前の狙いは」
リャージャは、そこまで言いかけたところで、不気味な予感を察知し、その場を咄嗟に離れた。先ほどまでリャージャがいた場所には、鋭い稲妻の刃が突き立っていた。
「てめぇ!」
「一つだけと言っただろう。まだ答えが欲しければ、せいぜいもう一度私を感心させてみろ」
再び、魔神王は稲妻を放つ。今回は、先ほどのようにわかりやすい指標はない。しかし、リャージャはその雷を浴びずに躱すことができた。勿論未だリャージャはその雷を捉えられるわけではない。だが、自分を狙って落ちてくる雷光であれば、ただ動き続ければ、必然的にそれを避けることになる。それを見てか、今度はクームベサムはその雷を、無作為に放ち続けた。こうなればリャージャは、雷がどこに、そしていつ落ちてくるかを判断することはできなくなる。
あちこちに破滅をもたらす閃光が空間を切り裂くが、何とかリャージャはそれを直撃することなく、回避し続けられていた。だが、長くはもたない。雷の包囲網は、徐々にリャージャの行動範囲を狭めつつあった。
そして、とうとう、リャージャの肉を、稲妻が引き裂いた。直撃こそ避けられたが、深くリャージャの右肩が抉れ落ちる。
そして、それは一瞬リャージャの動きを止めることになり、その隙を魔神王は当然見逃さなかった。その上空より、降り注ぐ稲妻。しかし意を決したリャージャは、その左腕を咄嗟に自分の頭を守るようにして覆った。これも当然雷を目視してからとった行動ではない。それは一種の未来予知のようなものであった。だが見事リャージャの想定は的中し、雷はリャージャの左腕を直撃する。
「ぐお、おお」
しかし驚くべきは、先ほどその身が一瞬で蒸発したその雷を、今度はその左腕で防いでいたことだった。先の魔人との戦いで見せたように、白竜の力をその身の一部に集中させていたのだ。
だがそれだけではない。今回は更に白竜の司る「移動」の権能を十全に生かし、その雷の破壊的な力を、外側に逸らしながら防いでいた。
とはいえ、リャージャの魔力量では、無傷で魔神の力を防ぐことは不可能である。総身の蒸発は防げたが、盾として使ったその左腕は、肘から先が灰燼となった。
だがすぐさまその腕を再生し、再び雷の牢獄を駆け巡ろうとするリャージャ。
「なるほど、実に成長の早い人間だ。魔人たちを単独で蹴散らしただけはある。よかろう。どうせしかるべき時が来るまで、暇を持て余していたところだ。貴様の問いに答えてやる。が疑問はもう決まっているようなものか?」
魔神王は、再び攻撃の手をやめ、リャージャに質疑の機会を与える。しかしクームベサムの予測通り、リャージャの質問内容は既に決していた。
「私が何を企んでいるか、それが知りたいのであろう?」
リャージャは肩で息をしながら、その魔神王の姿を、ただ沈黙して睨みつける。実を言うと、それは本来は無言の肯定ではなく、単に息を整えるので精いっぱいだったからなのだが。
「奴の作っている魔導星核、あれは言うなれば、巨大な蛇口のようなものだ。星に大量の魔力を注ぐためのな。彼奴の製作物は完璧に近いだろう。見事、あの星を魔に染め上げる。それを阻止することなど、この世界の裏側からは不可能だ。いや、仮に物質界にいたとして、阻止できるものは、この世界にはいないだろうな」
「へぇ……随分、奴を高く評価してるんだな」
少し呼吸が整ってきたところで、リャージャは魔神にそう問いかけた。実際、怨敵のことを話しているわりに、魔神王の語調からはそれほど恩讐の念は感じられなかった。
「お前こそ、あの化け物の真の力を知らぬのだ」
リャージャとて、魔導の統率者、タミーナフの逸話は知っている。一〇二四柱の魔神を調伏した存在が、人知を超える力を持っていることは想像に難くない。しかし仮にも魔神の長ともあろう存在に、これほどの恐れを口にさせるほどの怪物とは、現代の老婆の姿からはとても想像がつかなかった。
「やはり、現代の人間は、知らぬのだな。……貴様、名は」
突如、魔神王はリャージャにその名を問いただした。リャージャにとって、その問いかけはかなり意外なもので、少しばかり戸惑い、いささか沈黙が訪れたが、そののちに正直に自分の人間としての名を告げる。
「リャージャ、か。リャージャよ。もう気づいているだろうが、『世界の裏側』とは、魔の世界のこと。そしてここは物質界と魔を繋げる通路だ。そして私はここでその門番をしている。その意味がわかるか?」
「……まさか。お前は、魔力を止められるっていうのか。まるで元栓を締めるみたいに」
ご名答、と言わんばかりに、魔神王はその大きな手を何度か打ち合わせた。
「奴がどれほど高性能で、巨大な蛇口を造ろうと、水源が涸れては、出るものも出ない。さすれば奴の計画は全てご破算というわけだ」
なるほど、とリャージャは納得しかけたが、しかし不意に疑念がよぎった。そしてその疑念はすぐさま、思わず恐れおののくような結論へと変貌した。
「ま、まてよ。そんなことしたら、物質界に魔力は?」
「当然途絶える。魔に生きる者たちは、必ずその力を失うだろうな」
その魔神王の無慈悲な答えに、リャージャは戦慄した。つまり、ネーパット=タミーナフのやり方では、星は救えても生命は救えなかった。しかし魔神王の方法では、星も、生命もどちらも救われないのだから。
「馬鹿を言え。ただでさえ、魔力資源が枯渇だの、漂白地だのが、うちの星ではできてんだ。これ以上魔力が減ったら、それこそ大飢饉どころじゃすまなくなる!」
つまり、最初から、この魔神王は、タミーナフの計画を挫くことが目的であって、その結果失われる生命を救うかどうかなど、勘定にさえ入ってなかったのだ。




