凍土の幻妖 第四節
一体、何が起きたのか。
強力な魔力を持ち、竜因に選ばれしものであるリャージャは、自分の体から大量に吹きこぼした血の池に沈んでいる。
血の滲むような修行で、常人を超える加速魔術を体得したサネトだったが、その速さの源である足は、本来曲がるべきではない方向に曲がり、地に臥せっている。
油断もしていない。調子が悪かったわけでもない。天運に見放されたわけでもない。相性に問題があったわけでもない
ではなぜ、これほどの惨敗を、サネトとリャージャが喫したのか。
理由は、ひどく単純である。
彼らが敵対した存在、魔人「救うもの」。その強さが、彼らのそれを遥かに上回っていただけである。
「ぐ、ヨベク、お前は退け。ネ―パットに伝え……」
意識朦朧となりながらもサネトは、機械人形であるヨベクに、命令を下そうとしたときだった。サネトの体が突然青い炎に包まれる。
「ぐがっ」
その炎熱にサネトは体をよじる。しかし痛みに反応して、口を開いた途端、青い炎がするりと喉奥に届き、一瞬で肺は焼かれ、苦悶の声をあげることさえ許されなかった。
時は、一日ほどさかのぼる。
魔人「頑迷なるもの」を無事倒し、サネトとリャージャ、ヨベクは、次の魔人のもとへ向かっていた。しかし魔人「救うもの」の所在は、生命の生存を拒む極地。並みの装備では、戦いはおろか、そこに辿り着くことさえ難しい。
機械人形ヨベクは、その術で、命を容赦なく奪う冷気を遮断し、サネトとリャージャを守ってはいるが、それでもなお、二人は寒さに体を震わせていた。
「なんでこんな寒いんだ」
分厚い手袋をしているにも関わらず、体の先から冷えていく感覚を覚え、サネトはなお、かじかむ手を繰り返し擦っていた。
「おそらく、この吹雪のせいで、温度の遮断が、安定化しないのかと」
ヨベクの答えに、理解はできるが納得はできていない様子のサネトは、見せつけるようにわざとらしく、体を腕で激しく擦っていた。
「サネト、その動き、気持ち悪いからやめて」
「むぅ、しかしだな」
そのような他愛もない雑談をしながら、十分ほど歩いていると、不意にあたりが静寂に包まれる。先ほどまで煩わしいほど轟いていた風の音が、突如しんと静まり返ったのだ。あまりの激しさに、銀の壁のように見えていた激しい吹雪が一瞬で消え、三人の視界が開けた。その先の吹雪のない世界では、青い空気に包まれ、氷の床が地面に敷き詰められている。まるで人工的な闘技場のようにさえ見える景色だった。
吹雪が止み、ヨベクの温度調整もうまくいっている。しかしそんな状態にもかかわらず、面妖な悪寒が、サネトたちの体の芯を蝕み始めていた。
「なるほどな」
サネトのつぶやきは、かつて彼らの依頼主であるネ―パットの『「救うもの」は強敵だ』という忠言を思い出してのものだった。仲間たちにも、その含意は確かに伝わっていた。
氷の闘技場の中央に、挑戦者を待つかの如く、立ち尽くす純白の魔人の姿。
これまでの魔人とは、比べ物にならないほどの鋭い敵意と激しい殺意。
その魔人の鎧は、金属質の鎧ではなく、どちらかと言えば甲殻的形状をしていた。白色ということもあり、体の内側の骨が突き出ているようにも見える。これまでの魔人が無機質な外骨格をしていたこともあり、「救うもの」の石灰質の外殻のほうが、むしろ異質に思われた。
「向こうは準備万端、って感じだな。ヨベク、適宜、俺たちの支援を」
サネトが戦闘態勢をとるために、掛け声をかけようとしたとき、三人は自分たちに迫りくる脅威を認識し、とっさに各々その場から離れた。三人が立っていた場所には、巨大な白い剣が勢いよく上空から降り注ぐ。
だが脅威はまだ去っていない。
陣形が崩れたところに、サネトのもとへ魔人「救うもの」が一瞬で肉薄する。いつの間にか魔人の右手には、先ほど降ってきたものとまったく同じ形状の剣があり、それをサネトの胴体にむけて振り抜く。
サネトは加速魔術を詠唱なしでかけ、膝を急いで曲げ、剣の下をくぐる。だが、その場しのぎの回避は、不利な状況を覆すほどのものにはなっていない。魔人は追撃とばかりに左手を振り上げていた。その手には何もないが、サネトは直感で危機を察した。しかしただでさえ無理な体勢、そこから再び体を動かすのは、人間業ではない。
「<移動>!」
サネトは、最も基礎的な移動魔術を使い、体を動かした。しかし、もともと彼の得意な系統でもなければ、ろくな修練も積んでいない魔術では、動かせるのは体一つ分程度のものだった。だがその一瞬の判断が、彼の命を救った。
何も握っていなかったはずの左手を振り下ろすと、空気を鋭く切り裂く音の後に、氷の床が大きく揺れ動いた。やはり、魔人の左手にも、同じ形状の剣がいつのまにか現れていた。
ただしサネトの移動魔術による回避は、うまく乱れた彼の体勢を立て直させることに成功した。
魔人も一度攻撃の手を止め、相手の動きを見定めるように、背筋を伸ばしてサネトたちを睨みつける。
最初にサネトたちにむけて落とした剣が、地面から抜け、魔人のもとへひとりでに戻ってくる。すると、右肩から、突如腕が生え、その剣を手に取った。
「どんな生物の模倣をすりゃ、そうなるんだ?」
魔人「救うもの」は、三本の剣を、三本の腕で握っている。いくら魔人が生命の理を超えた存在といえど、三本腕はさすがに奇妙なものだった。また、サネトは少し近くで魔人を観察できたことで、もう一つ、この魔人の特徴に気づくことができた。
太ももに相当する部位までは特に違和感のある形状ではなかったのだが、膝より下が、極端に先細りしている。明らかに歩行に適していない形状だった。
それでも先ほど見せたような急加速が可能だった理由を、サネトはすぐにわかった。その足は、どちらも地面についていない。魔人は、厳密にはわずかに浮遊していたのだ。
「サネト!」
一連の攻撃で、距離の離れたサネトに、リャージャとヨベクが駆け寄る。それに対し魔人は特に行動をとらなかった。
「リャージャ、ヨベク、さっきの魔人の動き、何か気づいたところは?」
「私より速いことと、剣が出現する瞬間は殆ど見えなかったことくらいかな」
「私も同程度の情報しか観測できていません。妙な魔力の動きもありませんでした」
これらサネトの仲間たちからの情報を受け、目の前の魔人の実力を推し量る。
「<四重加速>。いったん俺が奴とやりあって、隙を作ってみる。ヨベクは、常に魔力流と可能性観測を続け、適宜何かわかり次第俺に教えてくれ。隙があると気づいたら、リャージャは攻撃をたたき込め。多少大雑把で、俺を巻き込んでもいい」
「了解。任せな」
サネトが、現状自分が使える最高速の加速魔術をかけ、リャージャはその身に竜因の魔力を昂らせる。ヨベクも自身の観測機能に意識を集中させ、サネトの支援の準備に入っていた。
サネトが走り出す。魔人はサネトが動き出したことに反応できていないのか、それともただ待ちに徹しているのか、未だ体を動かしてはいない。
サネトが瞬時に魔人の背後に回り込み、機械剣で切りつけようとする。しかしその剣は魔人の剣によって防がれていた。
(やっぱり、そういうことか)
その防御は、あまりに不自然だった。まるで映像のコマが飛んだかのように、魔人の姿勢が一瞬で切り替わったのだ。先ほどまでは力を抜いて、垂れ下がっていた右腕の一本が、いつの間にか背中に回っていた。
今のサネトは、運動能力だけでなく思考も当然高速化している。だがそんな彼でさえ、腕の軌道を見ることができなかった。しかし彼は自分の加速魔術に自負があるからこそ、彼が魔人の腕の動きを見極められなかった原因を理解できた。
その第三の腕は、高速で動いたのではなく、一度消えた後に、攻撃を的確に防ぐことのできる位置に再び現れたのだ。
『ヨベク、今魔人に何か変化は?』
サネトが通信装置を使い、ヨベクに連絡を取る。
『いえ、何も。魔力の特別な動きもありませんでした』
ヨベクの答えはサネトが期待するものではなかったが、それでも予想さえできていなかったものでもなかった。
つまり、これが、この魔人の在り方であり、特性なのだろう。これまでの数多くの魔人が、常人離れした、高速移動、膂力、防御力を誇っていたように、この魔人は特別な魔術を用いずとも、自身の体を自由に消したり、出したりできる。不可解ではあるが、現状の証拠からは、そう判断せざるを得ない。
サネトが再び、魔人に攻撃を仕掛ける。再び防御を許さぬ死角から、回避を許さぬ速度で。しかしやはり魔人は一瞬で姿勢を切り替え、そのサネトの剣を防いだ。
二度、三度、同様の攻防を繰り返し、サネトの推測は確信に変わりつつあった。
だが、再び彼が攻撃を仕掛けようとすると、彼の正面に突然、魔人の右手に握られていた剣が現れる。虚を突かれたものの、サネトは、その剣の軌道から余裕をもって逃げることができた。
しかし魔人は、ここからは自分の番だと言わんばかりに、同じように剣を何度もサネトに向けて飛ばした。サネトにとっても、突如何もなかった場所から現れる剣は、決して容易く避けられるものではなかったが、何とか魔人の苛烈な攻撃を、サネトは無傷の状態で躱しきった。
サネトはこの刹那の長い攻防で、やはり、魔人は体を自由に消し、出現させることができるのだと理解した。もしただ体を透明化させるという能力なら、わざわざ剣を当てる寸前に、透明化を解除する必要はない。そしてこの消失と再出現も自由にできるというわけではなく、ある程度制限があることにも気づいた。消えた魔人の体は、魔人の体から切り離して再出現させることができず、そして剣は、ある程度、本体から離れた位置に生み出すことができるものの、出現直後の剣は大した速度で動かすことができないという点もわかった。それに気づいたのは、一度サネトの腹部に、魔人の剣が面した状態で再出現した時だった。サネトは、あまりの驚きに命を奪われることを覚悟したが、待てどもその剣は動かず、余裕をもってそれを避けることができたのだ。もちろん、その出現から動き出すまでの時間は常人であればわずかなものであろうが。
つまり、この魔人は、剣を体から離れた場所に再出現させることだけができるだけで、それに何らかの移動力を与えることはできないのだ。つまり最初、上空より落としてきた剣もまた、文字通り重力に任せて落としただけなのだろう。
しかし、だからといってサネトは、この魔人を容易く倒せるとは考えていなかった。ここまでその身体の消失と再出現を駆使されているとはいえ、ここまでサネトの攻撃が防ぎきられていたことは事実なのだ。それを達成するには、的確な身体操作と、相手の動きを予測する経験を組み合わせる必要がある。その身体の自由な出現能力は、この魔人の武器の一つでしかなく、むしろ最も脅威なのは、戦闘における感覚の鋭さだと、サネトは判断していた。
彼の予感は、悪い形で的中する。
突如、魔人「救うもの」の姿が消える。今度は腕だけでなく全身が消えたのだ。
その直後、サネトに、魔人の三腕三刀が襲い掛かる。サネトは何とかそれを捌くが、同じ攻撃が再び行われる。動きの出発点の見えないその攻撃は、先ほどまでの腕が消えるだけの攻撃よりも、さらに読みにくかった。時には、ただ消えるだけで、攻撃を仕掛けない時や、剣を振り下ろそうとした瞬間に消え、サネトの防御や回避をすかしたうえで、別の軌道からの攻撃を仕掛けるなど、虚と実を組み合わせた巧みな攻撃も目立ち始めた。
遠くから見ているリャージャは、その光景にひどく衝撃を受けていた。魔人がどこに、そしていつ攻撃しているのかを判断することさえできていなかった。
「ねえヨベク、あれどうなってるの?」
「おそらく、あの魔人の特性です。サネト様からまだ情報の共有はありませんが、魔人『救うもの』は、体を自由に消失させることができるようです」
「え、どういうことよ」
その後、ヨベクはリャージャに、その推測を共有した。ほとんどサネトの予測と同じものだったが、一点だけ付け加えた内容があった。それは、魔人が消えた時に、魔力量に変化が見られないこと。そして魔力流の観測の結果、全身消失の際にさえも空間の魔力量がほとんど変わらなかったことである。魔力を追いかけても、魔人はほとんど位置を変えるわけでもなく、また魔力の濃淡では、魔人の動きまで把握することはできないため、それがサネトの役に立つ情報となるわけではない。しかしこの事実は、魔人は単に、自身の体を構成する固形魔力を、気体状に変換しているだけということを意味していた。
「ヨベクでも消失の予測は無理?」
「先ほども申した通り、魔力量が変わるわけではないので、その予備動作もほとんどわかりません。わかりやすく例えるなら、空気の流れから、対象が呼吸を意識的に止めるのはいつかを推測するようなものなのです」
相変わらずわかりにくい比喩をすると頭の中で思いながら、リャージャはサネトと魔人の戦いを再び眺め始めた。
「どうしようかねぇ」
サネトと魔人の戦いは、未だ互角だった。奇策で動きを読ませない魔人、速さだけでそれをしのぎ切るサネト。お互い未だ無傷な状態であるが、趨勢は互角ではない。この魔人の独特の三刀流と実体の消失に、ある程度対応はできるようになったサネトだったが、しかし彼の攻撃もまた、魔人に未だ届いていないのだ。技量と特性は互角だが、魔力の総量は明らかに魔人に分がある。当然リャージャとヨベクが加勢するならば、状況はある程度マシにはなる。ただ、この魔人の独特の動きに対処する術にある程度目星をつけた後でなければ、リャージャは囮以上の戦い方ができない可能性が高い。特に、今この魔人が、本当に全力を出しているのかも定かではない。サネト一人と戦っているために、余力を残し様子を伺っている可能性は十分ある。だからこそサネトは、この魔人の実力を真に見極める必要がある。
だがそのためには、彼自身危険な一手を打つ必要もある。サネトは、しかし悩まなかった。彼は魔人の懐に飛び込み、やや無茶な突きを繰り出す。防ぐのは簡単、避けるのも容易い。反撃も楽な無暗な攻撃。だからこそ、それは明らかに何かを誘う罠にしか見えなかった。表情無き魔人も、それを悟っているように、動きに鈍りがあった。ただしこの魔人の強みであれば、判断を寸前まで続けることは、何ら支障はない。
サネトはもう、魔人の一歩手前まで迫っていた。もう手に持った剣を伸ばせば魔人に届くかという距離。魔人は右腕を一瞬消した後、サネトの頭部目掛け剣を振り落とした。サネトの速度をもってしても、先に攻撃を受けるのはサネトだった。だがサネトは最小限の体の動きでその剣先から逃れる。しかし完璧な瞬間に打ち込まれた反撃は、たとえサネトでも躱しきることはできない。彼の右肩は魔人の剣に切り裂かれたが、致命的な場所まで達することはなかった。痛みを神経が脳に伝えるよりも早く、サネトは魔人の懐に突きを繰り出す。
魔人の第二の剣が、サネトの突きを受け止める。
その時、サネトは妙な違和感を覚えた。高速移動、高速思考が可能な今の彼も、わずかにその一端を感じ取れた程度だったが、それは間違いなくサネトの予測に裏付けを与えるものだった。だが、確信を得る必要がある。そのためにはもう一歩、サネトは踏み出す必要があった。
「<五重>!!」
サネトが、さらに未知の領域に足を踏みいれた。加速魔術の四段階強化。同じ魔術を五重も重ね掛けした存在は、<紅玉星>の歴史を紐解いても、存在しないかもしれない。それほどの暴挙である。だがそうすることで得られた速度は、その暴挙に見合うだけの、人知を超えたものに達していた。
サネトは一瞬で魔人の背後に回り込む。再び先ほど魔人とサネトの剣がぶつかった音が、サネトの耳に入る。つまり、彼は先ほどいた位置から、音を追い越し、魔人の背後に回り込んだということを意味する。
当然、魔人は反応すらできていない。だがその速度の代償にサネトの体はわずかに悲鳴を上げていた。おそらく今の魂の器が成長した彼でも、この領域はまだ早すぎたのであろう。サネトは痛みを食いしばって耐えながら、魔人の背を切りつけた。
未だ先ほどサネトを切りつけた第一の剣と、彼の剣を防いだ第二の剣は、同じ位置にある。第三の剣は、今すぐ背後に回して防御を行うのには、不都合な位置にある。もちろん魔人の特技である、身体の消滅と、再出現を活かせば、防御は容易いであろう。
そしてサネトの予測では、魔人は間違いなく彼の攻撃を防ぐ。
しかし、重要なのは、魔人がどの腕でそれを防ぐかだ。
やはり、魔人は、サネトの剣を防いだ。しかしその防御に用いられたのは、新たに出現した、四つ目の腕が持つ剣であった。
(やっぱりな)
サネトが先ほど感じた奇妙な感覚。サネトの突進を防ぐのに使われた第二の腕は、出現するその直前、魔人の腕は四本あるように見えたのだ。
サネトは、魔人が本当に一瞬で体を消したり出したりができるのであれば、納得のいかないことが一つあったのだ。そんなことが本当に可能ならば、「救うもの」は出現と消滅を繰り返すだけで、こちらの攻撃は全て躱しながら、常に不意を突くという、恐ろしい戦術もとれるはず。サネトたちを単に侮っている可能性も否定はできないが、よりあり得るのは、この消失と再出現は、何らかの制限があるということだ。
サネトが予測していたのは、消失と再出現、それぞれの動作は瞬時に可能だが、その二つを同じ部位で同時に行えないということだ。
これまでの攻防で、一瞬で防御や攻撃に回っていたように見えた腕の動きは、実際には常に消していた腕の出現と、すでにある腕の消失を同時に行っていた。
しかしサネトのあまりの速度に、魔人は腕の消失を行う暇すらなく、四つの腕全てを出現せざるを得なかった。だがサネトはまだ止まらない。再び動き出し、魔人の懐に入り込む。
魔人は手札をすべて見せた。ここから更に仕掛けることで、ようやく魔人に一撃を与えられる。
それが勘違いだと彼が気づくのは、自分の身に異変が起きた後だった。
「え」
自分の右足に、何か硬いものがめり込んでいた。それは先ほどから自分が何度も躱していた、魔人の剣だった。義手の自動防御が機能し、刃がサネトの肌を貫くことはなかったが、しかしその威力を完全に削ぐことはできなかったようで、右足の膝の骨が完全に潰れている。
何より奇妙だったのは、その剣は、今彼の目の前にいる魔人からではなく、サネトの背後から伸びていたことである。
そのまま彼は剣に薙ぎ払われ、自分の高速移動も相まって、異常な速度で地面に叩きつけられる。離れた場所に飛ばされたサネトの、朦朧とする視界の中には、二体の「救うもの」の姿があった。




