無駄話
久しぶりに書きました。
あまり長い時間はかけず、完結させる予定です。
以降の前書き、後書きでは、元ネタとかのお話しします。
昼休みの恒例行事はドッジボールだった。
オレがまだ、居心地の悪い、小学生だった頃。
正式な人数だとか、記憶はぼんやりしているけど、オレが覚えている限り、ルールは確かこんなんだ。
敵味方でそれぞれ8人(それ以上だった気も)、コートの中でボールを投げあう、スポーツ競技の一つだ。相手が投げるボールをしっかりキャッチできればアウトにならず、上手くキャッチできなければ、アウトになって外野へ回る。けれど外野に回った方にもコートに戻れるチャンスがあって、ボールを取って、敵コートの一人をアウトにすればいい。そうすれば味方のコートに返り咲くことが出来る……そういうルールだったような、ちょっと違っているような……。
単純明快。
プレイがしやすく、そこが魅力的だった。
ボールの球種はその日によって、メチャクチャ固いボールもあれば、フワフワしてやわらかいボールも使って遊んでた。固いボールの固さというのは、バスケットボール並み……というよりバスケットボールすらも使ってた。
おいおいそれで平気か? って思う人もいるかもだけど、当時のみんなはボールだったら何でもいいぜの精神だった。だからケガとか突き指とかが起こった時には冷や汗だ。
オレはチームで一番最後に大概残る人間で、そしてボールの回避スキルで周囲に認知をされていた。固かろうと柔らかろうと、ボールをぶつけられたくない。やわらかいボールでさえも突き指をした人間だ(カルシウム不足のせいか、骨にヒビが二度あった)。だから絶対当たらないよう、必死になってかわしてた。
頭上をボールがかすめた時にも、顔を左右へずらした時にも、毛先がボールをしっかり感じ、風圧さえも知覚した。そのお陰かボールの軌道を先読みできるようにもなって、気が付いたら、息をするのと同じぐらいになってった(取り柄を得られたって思えば結構誇らしい)。
けど回避に優れていても、キャッチできなきゃ意味がない。チームに貢献できなければ、味方の空気は明白だ(両義でバカなオレでも、想像はすぐできる)。オレ一人になった瞬間、クラスの皆から漏れてくる、
(またアイツが残ったよ)
(今日の試合も負けだこりゃ)
(ボール取ってくんないかなぁ)
大体、こんな反応だ。
居心地が悪いのなんの、スッゴくバツが悪かった。けどどうしても取れないのを、受け入れるしかなかった。取ろうとする度、指の骨の亀裂を思い出すからだ。
有難いのはそれを口に出してくれた人間だ。お陰でどう立ち振る舞ったらいいかのビジョンが見えてきて、マイナスはプラスの好機になれるんだって自覚した。
さて、こんな前口上(?)で、一体何が言いたいか。
答えは簡単。
主人公は“回避”が特技のこのオレだ。
回避しか取り柄のない、人間に出来ること?
その回避に、色んなドラマを詰め込んでしまえばいい。
生憎、学には自信が無いし、夏休みの宿題も未提出で済ませた上に、いけしゃあしゃあと登校をしていた怠け者の言だ。信じなくても構わないし、それは正直どうでもいい。だからって腐るほどにオレは俺を見捨ててない。どうやらオレにはオレにしか出来ないことがあるからだ。
これからお話しすることは、オレと偶然巻き込まれた高校生のお姉さんと、すごーくしつこい悪霊どもとの我慢比べのお話だ。悪霊を祓うようなスキルは持ってないけれど、代わりにすごーくご勘弁な武器でオレは勝負する。
拳とか超能力で戦うだけが主役じゃない。
回避を極めたヤツにだって、主役を張れるときがある。それを証明できるんだったら、泥でも何でも本望だ。
それと、お姉さんの、活躍も見て欲しい。
ドッジボールで骨にヒビが入ったところは実話です。二回やったのも実話。
超音波で治しました(笑)。