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美少女名探偵☆雪獅子炎華 (13)イスカオテのユダ

作者: 夢穂六沙

   ☆1☆

 

 イタリアの空は目に染み入るような、スカイブルーに輝いている。

 サンサンと降り注ぐ明るい太陽の下、教皇イスカオテ一世は、小教区訪問の一環として、復活祭が間近に迫るその日、聖パウロ十字架教会を訪れていた。

 街じゅうが集まった信者でごった返すなか、炎華と、その胸に抱かれた我輩は、もみくちゃにされながらも、ある男を追っかけていた。

 群衆の中を押しわけ懸命に進む炎華。

「あと少しで、あの変な男に近づけるわよ。もう少しの辛抱だから、我慢してね、ユキニャン」

「ムギュニャフ」

 押し合い、へし合いする大群衆の中、我輩はかろうじて返事を返す。

 炎華が追っているのは、鳥打帽にチョビ髭をたくわえた貧相な男である。

「さっきから不審な行動をしているうえに、今度は人の好さそうな老人に近づいているわ、急がないと」

 群衆に紛れながら、チョビ髭が老人の上着のポケットに素早く手を差し込んだように見えた。

 が、すぐにその手を引っ込める。

 炎華がいぶかしげに、

「おかしいわね。私の視線に感づいたのかしら? てっきりスリかと思ったけど、何もしないで、老人から離れて行くわよ」

 チョビ髭が炎華をまくように雑踏へ逃げ込んで行く。

「明らかにスリよね。でも、これ以上は、追いかけられそうにないわ。諦めましょう、ユキニャン。でも、顔だけはしっかり覚えたわ。あとで警察に行って、あの変な男を調べてみましょうね」

「ウニャン!」

 我輩は首肯した。

 我輩は飼い猫である。

 名前は、

 ユキニャン。

 探偵であるゴスロリ少女、

 雪獅子炎華の相棒を務め、

 探偵の真似事をしている、

 猫探偵である。


   ☆2☆


 大聖堂の中は、神学に熱心な学生による、教皇イスカオテ一世への質疑応答が盛んに行われていた。

 いわく、

「洗礼を受けていないキリスト教徒以外の者は、神の子と認められず、天国へは行けないのでしょうか?」

 教皇イスカオテ一世が穏やかに、

「神の国は誰にでも開かれています。ただ、洗礼を受けたクリスチャンには、より大きく、より広く、その扉が開かれている、ということです」

 別の学生が質問する、

「神の子は自分を裏切ると分かっていながら、なぜユダを弟子に選んだのでしょうか? なぜ十三番目の使徒を裁かなかったのでしょうか?」

 教皇イスカオテ一世が厳かに、

「神の子であっても人を裁く事は出来ません。人を裁く事が出来るのは、その人自身だけです。悔い改め、自分自身を裁く以外に、罪を本当に裁く方法は無いのです。ユダを使徒として残したのは、真に、彼を悔い改めさせる為でしょう」

 うんぬん。

 我輩には良く分からない問答が長々と、延々に続けられる。

 小一時間も過ぎたころ、そろそろ質問も終わりか、と思われた終盤になって突然、さきほどの、人の好さそうな老人が立ち上がり、帽子を両手で握りしめながら、ヨタヨタと教皇のいる壇上へと近づいて行く。

 ボディーガードが老人を警戒して近づけまいとするが、教皇イスカオテ一世がそれを制し、老人を快く壇上にあげる。

 教皇イスカオテ一世が優しく老人に尋ねる。

「どうかされましたかな、ご老人。どうやら深刻なお悩みをお抱えのご様子、さしつかえなければ、ご相談に乗りましょう」

 老人が目を白黒させながら、ギクシャクとした態度で、

「《1970の英雄》

 に、いえ、今は教皇となられたあなた様に、こんな、個人的な話をご相談してよろしいのかどうか、大いに悩みますが」

 と言ってボソボソと語りだしたのは、ごくありふれた陳腐な内容で、病気になった奥さんの病状が良くない。

 にもかかわらず、手術をするための費用が足りない。

 という、つまり、お金が必要だ、という悩みである。

 教皇イスカオテ一世は柔和なほほ笑みを浮かべながら、

「それはちょうど良かった。ここに手持ちの500ユーロがあります。どうぞ、これを奥さんの手術代としてお使いなさい。これもまた神の思し召しです」

 教皇イスカオテ一世が胸の内ポケットから50ユーロを十枚ほど取り出す。

 ボディーガードを呼び寄せると、

「どなたか、このお金を入れる封筒をお持ちの方はいないかな? このまま渡すのは礼儀を欠くというものです」

 ボディーガードが十字架教会に問い合わせると、神父が教会の封筒を用意してくれた。

 炎華がこのやり取りを見ながら、

「ずいぶんと用意がいいわね。たまたま500ユーロを持ち合わせていたなんて、ただの偶然かしら?」

 教皇イスカオテ一世が神父から封筒を受け取り、その中に500ユーロを入れる。

 そのまま、老人の胸ポケットに手ずから差し入れた。

 教皇イスカオテ一世がほほ笑みを浮かべながら、

「どうか、このお金で奥様の病状が早く回復なさるよう、お祈りいたします。すべては、神の思し召しのままに」

 老人が感激した様子で礼を述べると、そそくさと壇上を降りていく、途中、教皇イスカオテ一世が老人に声をかける、

「万が一にも、金額が不足していたら困ります。一応、封筒の中身を確認しておいてください」

 老人がコクコクうなづきながら、大聖堂のはし、壁際にスリ寄ると、ポケットから封筒を取り出し、さきほどの金を数えようと取り出した瞬間、

 ドッッ!カンッッッ!!!

 一瞬の閃光と轟音が大聖堂に鳴り響き、老人が爆風で壁に叩きつけられる。

 身体を半分失った老人が床に崩れ落ちる。

 場内に割れんばかりの悲鳴があがる。

 ボディーガードが教皇イスカオテ一世を守るように周囲を取り巻く、群衆が、

「テロだ! テロだ!」

 と怒号をあげながら、我さきに逃げ出す。

 聖堂内は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図、修羅場と化した。

 炎華が冷静に、

「これは、大変なことになったわね、ユキニャン」

 逃げ出す人々の流れに逆らい、爆発現場へと近づく。

 半身を失った血まみれの老人を目にして、

「即死のようね。あの爆発では、誰も助からないわ」

 我輩は周囲を調べる。

「ニャフン?」

 床に散らばって、燃えカスになったユーロが落ちている。

 が、そのどれもが二センチほどの長さに切り取られている。

 炎華が優し気に、

「良く気が付いたわね、ユキニャン。この場に落ちているユーロの大半が、ちょうど指先でつまめるほどの長さに切られているわ。爆弾は、ユーロを切った、封筒の奥に仕込んであったようね。いったい、いつ仕込んだのかしら?」

 さらに、我輩は封筒の燃えカスの一部をくわえ、炎華に差し出す。

 炎華がそれを受け取り、

「おかしいわね。この焼け残った封筒には、ノリで封がしてあるわ。イスカオテが老人に封筒を渡した時は、封をしていなかったはずなのに、どう考えても変よね、ユキニャン」

「ニャッフ!」

 我輩は首肯する。

 炎華が封筒の燃えカスをビニール袋にしまう。

「あとで封筒に付いている指紋を調べてみましょう。それにしても」

 炎華が顔をしかめ、教皇イスカオテ一世を見据える。

「これは、とんでもない事件になるかもしれないわよ、ユキニャン。覚悟はいいかしら?」

「ニャフッ!」

 我輩は意気込んで鳴いた。

 覚悟を決めたのである。

 炎華に地獄の底まで付き合うつもりである。


   ☆3☆


 十字架教会の爆発事件から数日後、イタリアのフィウミチーノ空港は、実に閑散として客がいなかった。

 本来ならイタリアの国際玄関口として、多くの人々が行き交う場所のはずであるが、空港はまだまだ、新型変異ウィルスの影響が残っているようである。

 炎華が目当ての人物を見つけ、

「見つけたわ、ユキニャン。あの人に会いに行きましょう」

 炎華が目指す人物に近づき、隣りのソファーに腰掛ける。

 チョビ髭の横顔をしっかりと確かめたうえで、

「高飛びするにしても、随分と気が早いとは思わない? スリの名人、ダミアンさん」

 チョビ髭がギクッと体を震わせる、炎華をマジマジと見つめ、

「お、お前は……あ、あの時の、こ、小娘……か」

 炎華が憤慨しながら、

「小娘じゃないわ。雪獅子炎華……探偵よ」

 チョビ髭が肩を怒らせ、

「た、探偵だと? お、俺に何の用だ? た、高飛びたぁ、何の事だ? お、俺が何かしたってぇのか?」

 炎華が澄ました顔つきで、

「服役していた、あなたを釈放し、仕事を依頼した人物について知りたいのよ。教えてくれないかしら?」

 チョビ髭が唇の端を歪め、

「な、何の事だか、お、俺には、さ、さっぱり分からねぇな。お、俺は、な、何も知らねぇよ」

 炎華の美しい瞳が光る、

「白を切るつもり、ダミアン?」

 チョビ髭の黒目が焦点を失ったかのように、ギョロギョロと宙空をさまよう。

「し、知らねぇったら、し、知らねぇな……」

 炎華がダミアンの瞳を覗き込むようにして、

「なら、何で高飛びをするのかしら? ダミアン?」

 チョビ髭が苛立たし気に、

「た、ただの旅行だ。そ、それだけの事だ。お、お前にゃ、い、一切、何の関係も無い話だ!」

 炎華が柔和な微笑を浮かべ、

「一つだけ教えてくれないかしら、ダミアン。あなたはどうやってターゲットの老人を見つけたのかしら? それを教えてくれれば、あなたを見逃してあげるわ」

 ダミアンが怪訝な表情を浮かべる、

「お、俺を、み、見逃す、だと?」

「そうよ」

 炎華が小さな唇を湿らせ、

「それとも、十字架教会・爆発事件の犯人として、国際指名手配をされたいのかしら? あの現場から逃走したあなたの姿が、防犯カメラにはっきりと写っているのよ」

 チョビ髭がちょっと困ったような、怒ったような顔をする。

 しばらく黙考したのち、肩をすぼめて、

「ほ、本当に、それだけで、いいんだな。そ、それ以上は、俺も何も知らないぜ」

 炎華が満面の笑みを浮かべる、

「ええ、それが一番、重要な事だもの」

 チョビ髭が眉根をギュッともみながら、一言告げる。

「《1970の英雄》そ、それが、合図だ」

 そう言い残すと、そそくさと立ち上がり、炎華を振り向きもせずに、国際線の搭乗ゲートへ入って行った。

炎華が唇を湿らせ、

「《1970の英雄》ね」

 瞳を凝らしてつぶやく。

「そういえば……あの日、教皇イスカオテ一世が、十字架教会へ到着した時に、

『1970の英雄』

 と、大声で叫んでいた人がいたわね。今から考えると、あれは爆死した老人があげた声だったかもしれないわ。その可能性は高いわよね? ユキニャン?」

「ニャフンッ!」

 我輩は首肯した。

「となると、まずは、

《1970の英雄》

 とやらを調べてみないと、何も始まらないわね」

「ニャウンッ!」

 我輩は炎華に賛成した。


   ☆4☆


「ローマでのんびり旅行でもしようかと思ったのに、そうもいかなくなったわね、ユキニャン」

「ニャウ~ン」我輩は嘆息する。

 炎華の華奢な指先が、富士通パソコン、FM・Vのキーの上を踊るように素早く叩く。

 パソコンを軽快に操作しながら、炎華が、

《1970の英雄》

 についてネット検索する。

「ニャフ、ファ~ニュ」

 我輩はあくびを噛み殺しながら退屈そうに鳴いた。

 ホテル・ハスラーの室内は燃えるような夕日に、紅に染まっている。

 最上階の一室からは、古都ローマの幻想的な街並みが、心に染み入るように眺められる。

 というのに、炎華はネット検索に夢中であり、我輩は旅の疲れもあり、

「フニャ~フ」

 眠気に襲われ、あくびを連発している。

 猫に小判、あるいは、猫にローマの古都である。

「だんだんわかってきたわよ、ユキニャン。なかなか興味深い事件ね」

《1970の英雄》とは?

 炎華の調べたところによると、次のような事件が過去にローマで起きたそうである。

 それは、今から五十年も前の事件で、そのころ、教皇イスカオテ一世は、まだ教皇庁グレゴリアン大学の学生であった。

 その年、ローマ銀行で、とある強盗事件が発生した。

 たまたま、その現場に居合わせた、若き日のイスカオテは、三人組の銀行強盗を追いかけ、三人のうちの一人に追いついた。

 犯人を捕えようと、揉み合いの争いになったが、先行していた仲間の一人が、揉み合う二人に向かって拳銃を発砲。

 銃弾はイスカオテをそれ、仲間の犯人に当たった。

 二人の犯人は、やむなく仲間を見捨てて、その場を逃走した。

 運の悪いことに、銃弾を受けた犯人は、その傷が致命傷となり、その後、回復することなく死亡した。

 ローマ銀行は盗まれた現金の三分の一を取り返してくれたイスカオテの勇気と行動力を大いに称賛し、マスコミもイスカオテの行動を絶賛した。

 いわく、

《1970の英雄》と。

 のちの捜査で、死亡した犯人はレイモンド、と判明。

 さらに、逃亡した二人の犯人は、ボニーとクライド、という、アメリカで大暴れした二人組の強盗犯だと判明する。

 ボニーとクライドは、いまもヨーロッパのどこかに潜伏中で、いまだに逮捕されていない、ということである。


   ☆5☆


 我輩が居眠りをしている間に、炎華は、さらに、新たな事実を発見したようである。

「教皇イスカオテ一世のツイッターに不審なリツイートを発見したわ」

 我輩がパソコンの画面をのぞくと、

 こんな事が書かれていた。


  ~ダビデの星より~


  《1970の英雄》へ、

  2┌1┘2┌2]2[2□1]2[

  の、

  1┐3└2□

  を、売りたし、合図は、

  《1970の英雄》

  500ユーロ用意されたし、


 と、書いてある。数字と記号は暗号である。

 炎華が、

「売りたし、と書いてあるから、

 1┐3└2□

 は、何らかの、物の事でしょうね。その上の記号は、恐らく人名ね。1970に関わる人物で、八文字の人物というと、レイモンドしかいないわ。これは、ユダヤ人の間に古くから伝わる暗号よ。ダビデの星は通常、六芒星を意味するけど、ユダヤ民族に伝わる暗号の隠語でもあるのよ。

 に出ているわ。そういえば、教皇イスカオテ一世は、ユダヤ系、イスラエルの出身だから、当然、この暗号も解ける、というわけね。あの500ユーロは、たまたま持ち合わせていたんじゃなくって、この暗号の指示に従った、ということよ」

 炎華が皮肉気な微笑を浮かべ、

「面白くなってきたわね、ユキニャン。さっそく、教皇イスカオテ一世に対して、この古臭い暗号で脅迫した犯人の《共犯者》に会いに行くとしましょう」

「ニャフン?」

 我輩は首を傾げる。

 炎華が出かける支度をしながら、

「ボニーとクライドの、ボニー未亡人に会いに行くのよ」

「ニャウッ!」

 我輩は大きく鳴き、炎華のあとに続いた。


   ☆6☆


 葬儀は澄み渡る青空の下、湿やかな雰囲気のもとに執り行なわれた。

 十字架教会のテロで爆死した、と言われている老人、クラウン、という名前が記された棺が、真っ白い、十字架の連なる、小高い丘の一角に、厳かに埋められる。

 喪主の老女、バイヨネッタが涙に暮れながら、その様子を見守っている。

 牧師の祈祷が済むと、人々は喪主を慰めつつ、一人、また一人と、立ち去って行った。

 ただ一人、炎華だけを除いて。

 バイヨネッタが木陰にたたずみ、いまだに立ち去ろうとしない可憐な美少女、炎華に不審な瞳を投げかける。

 その視線を受けた炎華が、

「クラウンが爆死した十字架教会に、あたしはその日、たまたま、居合わせたんだけど、クラウンの最後について、何か聞きたい事がないかしら? バイヨネッタ?」

 目じりの皺と、たるんだ頬さえ無ければ、若いころは、相当、美人だったと思われるバイヨネッタの瞳に涙が浮かび、

「ええ、ぜひ、お願いしますわ、可愛らしい、お嬢さん。何で? どうしてクラウンが、あんな酷い最後をとげたのか? 誰でもいいから、私に教えてくれるなら、ぜひ、お願いするわ。あまりにもひど過ぎる最後ですもの」

「ええ、あなたの言う通りだわ、バイヨネッタ」

 炎華が首肯する。

「あの日、私は観光で十字架教会に立ち寄ったのよ。教皇イスカオテ一世が教区訪問をする、という噂を聞きつけてね。クラウンは教皇が到着すると、

《1970の英雄》

 と、叫んだわ。この意味が何なのか? あなたには分かるかしら? バイヨネッタ?」

 バイヨネッタの瞳が揺らぐ。

「い、いいえ、わ、私には、何の事だか、さっぱり分からないわ」

 炎華が蒼穹を眩しそうに見上げつつ、

「そう。ともかく、そのあと、私たちは教会に入ったのよ。他の信者や市民も大勢ね。その後、教皇と信者の質疑応答があったんだけど、最後にクラウンが壇上に上がって、あなたが病気で、500ユーロの金が必要だ、と話していたわ。あなたはピンピンしているのに、おかしいわね」

 バイヨネッタがキョトンとしながら呆けたように、

「そ、そんな話は、は、初耳だわ。何であの人が、そんな馬鹿な真似をしたのかしら?」

 炎華の瞳が鋭く光り、

「それはね、ボニー。クライドが、教皇イスカオテ一世を恐喝するためよ」

 世界が揺らぐような長い沈黙。

 蒼天に小鳥のさえずりが鳴り響き、その後、静寂に包まれる。

 ボニーがあとずさりしながら、ブルブルと震えだす、

「あ、あの人が、そんな事をして何になると言うの? それより、あなたは、いったい何で? アタシとクライドの事を知っているの?」

 炎華が語気を強め、

「そんな事はどうでもいいわ。それより、あなたはクライドが何故、殺されたのか? それを知りたくないの? ボニー?」

 ボニーが迷いつつ、

「そ、それは、知りたいわ。だ、だけど」

 炎華が冷ややかに、

「昔の、1970の事件を、蒸し返されては困る、ということかしら?」

 ボニーが昂然と炎華を見据え、

「そうよっ! ずっと隠れて、名前まで変えて、今まで生きてきたのよっ! 今さら、そんな事件を持ち出されても、迷惑だわ! アタシにはどうする事も出来ないことだわっ!」

 炎華が優しく問いかける、

「このままだと、クライドの死は、ただのテロ事件で片付いてしまうわ。あの事件は完全な殺人事件なのに。真犯人を捕まえる事も出来ずに、事件を闇に葬るつもり、ボニー? それじゃあ真犯人の思うツボよ。それに、あなたたちは、レイモンド殺しの犯人として、永遠に殺人犯の烙印を押される事になるわ」

「違うっ!」

 ボニーが絶叫する。

「違う、違うっ! 私たちは、彼を、レイモンドを殺してなんかいないっ!」

 炎華が問い詰める。

「それじゃ一体、誰がレイモンドを殺したと言うのかしら?」

 ボニーが懊悩し、

「そっ、それは、わからないわ。アタシは、あの時、先に逃げて、車で待っていたのよ。あとから追いついたクライドが『レイモンドは死んだ』と言って車を発進させたわ。あたしが、『誰がレイモンドを殺したの?』って、何度、尋ねても、彼は答えてくれなかった。ただ、彼は、クライドは、自分が殺したんじゃない、と、そう言っていたわ」

 炎華が肩をすくめ、

「あなたは、それを信じたってわけね、ボニー」

 ボニーが固くこぶしを握り締め、

「そうよっ! 翌朝には、その事件でレイモンドが死んだ事が報道されていたわ。しかも、私たちがレイモンドを殺した犯人になっていた。仕方がなかったのよ! 二人で逃げ出すしか、他に方法が無かったのよ! 信じられるのは、クライドだけだったのよ!」

 泣き崩れるボニーの前で、炎華が黙って頭を働かせる。

 華奢な腕に這わせた、ほっそりした指先をトントンと小気味良く鳴らし、

「つまり、レイモンドを射殺したのはクライドじゃない。とすると、二つの可能性が考えられるわね。一つは、イスカオテに追い詰められたレイモンドが拳銃自殺した。二つ目は、イスカオテがレイモンドを射殺した」

 ボニーが青ざめ、驚愕する。瞳を見開き、

「そんな、教皇が、そんな、まさか」

 炎華が震えるボニーの手を取り、

「それを調べに行きましょう」

「え? ど、どこへ?」

 炎華がボニーを指差す。

「あなたの自宅よ。とりあえず、クラウン。いえ、それは偽名だったわね。クライドの部屋を探しに行きましょう」


   ☆7☆


 街外れの粗末な一軒家、それがボニーとクライドの二人が、長年、隠れ住んでいた住処だった。

 炎華がクライドの部屋に入り、徹底的に調べあげる。

 ボニーもそれを手伝う。引き出しや、棚、押し入れ、天井裏、どこにも、1970と関わりのありそうな物は無かった。

 炎華が本棚を調べる。すると、

「日記があるわ。最初の一ページしか書いていないけど。でも、例の暗号が書いてあるわ」

 暗号には、こう記されている。


  1[2└2[2[2┌

  1└2[2┌2□1□2┌


「なるほど、床のスミってわけね」

 炎華が床のスミのタイルをはがす。

 すると、その下に隠された、ビニール袋で厳重に覆われている、ある物が見つかった。

 炎華が含み笑いし、

「これで、

《緋色の糸がすべてつながった》わ。

 これを調べれば、1970の事件の全貌が、すべて明らかになるわよ。いよいよ事件も大詰めね、ユキニャン」

「ウニャッ!」

 我輩は元気良く鳴いた。


   ☆8☆


 4月20日、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂で、盛大に復活祭が行われている。

 数万人の信者が押しかけるなか、教皇イスカオテ一世による、世界的に感染の広がった悪性の新型変異ウィルスの終息宣言と、ウィルスに勝利した人類への、祝福のメッセージが送られる。

 熱狂する信者たちのなかに、ただ一人だけ、冷めた目で大群衆を見つめていた炎華が、教皇の立つバルコニーへ近づいて行った。

 炎華が愛らしい唇を大きく開き、

「1970の英雄!」

 と、声高に叫ぶ。

 教皇イスカオテ一世の目が、この場にまったくそぐわない、漆黒のゴスロリ衣装を身に着けた炎華へと向けられる。

 炎華が再び大声をあげる。

「証拠を持ってきたわ! 私に会ってくださるかしら!」

 教皇イスカオテ一世が一瞬ためらったのち、意を決したように、炎華を指差し、衛兵の耳元に何事かささやく。

 数万人の信者の耳目が炎華一人に集中した。

 この美しい、可憐なゴスロリ美少女は、一体、歓迎すべき人物なのか? それとも、歓迎すべからざる人物なのか? 周囲の惑乱をよそに、衛兵が炎華へと近づき、バルコニーへと案内する。

 炎華が小声で我輩に声をかける。

「さあ、ユキニャン。いよいよ、カトリック最大の大物と対面するわよ。覚悟はいいわね」

「ウニャッ!」

 我輩も炎華にならい、気合を入れて全集中する。

 炎華が我輩の頭をなでながら、

「いい子ね、ユキニャン。それじゃ、この世界の、二割の人間を敵にまわしに行きましょう」

 炎華の瞳に一切の迷いは無いようである。


   ☆9☆


 炎華の出現を予期していたかのように、バルコニーにはテーブルに椅子、それにティーセットが用意されていた。

 ゆったりと椅子に腰かける教皇イスカオテ一世が、炎華を手招きし、

「さあ、可愛らしい小さなお嬢さん。こちらへどうぞ。まさか、君のような子供が登場するとは、わしにも予想が出来なかったのう。まあ、まずは、そちらに腰掛けて、くつろいでくれたまえ」

 炎華がその場に立ったまま華奢な腕を組み、

「そうもいかないわ。ともかく、私の送った、ツイッターのリツイートを読んでくださった、というわけね」

 教皇イスカオテ一世が瞼をしばたたかせながら、

「ふむ、なかなか興味深い投稿だったのでね。勿論、拝見させてもらったよ。あれは確か、ユダヤに伝わる古い暗号で確か……」

 炎華が鋭く、

「とぼけなくてもいいわ、イスカオテ。あれは、ダビデの星よ」

 教皇イスカオテ一世が納得顔で、

「そうそう、ダビデの星、じゃったかな? 確か、そんな名前の、古い暗号じゃったな」

 炎華が唇を尖らせ、

「ユダヤ系出身のあなたが知らないわけがないわよね。当然、以前リツイートされた、この暗号も解けるはずよね」

 炎華が印刷した暗号をテーブルに広げる。


  《1970の英雄》へ、

  2┌1┘2┌2]2[2□1]2[

  の、

  1┐3└2□

  売りたし、合図は、

  《1970の英雄》

  500ユーロ用意されたし、


「はてさて、これはまた難問じゃな。いったい、どういう意味かね? お嬢さん」

 炎華が憤慨しながら、

「ユダヤ人のあなたに説明しても、釈迦に説法でしょうけど。いいわ、この暗号の解き方を説明するわ。まず初めに、

【井】

 という囲いを三つ用意する。

 次に、左上から右下まで、【井】のマス目の中にアルファベットを入れて埋める。

 そうすると、アルファベットの二十六文字が三つの

【井】

 の中に入るわ。この暗号の簡単な例をあげると、たとえば、アルファベットのAを暗号で示すと、

 【井】が一つ目である1、と、

 【井】の左上を表す【┘】のマークになるわ。

 それを組み合わせると、

 1┘

 となるわ。

 ちなみに、【井】の真ん中の記号は【□】よ。

 それじゃあ、先ほどの暗号に戻るわ。この方法で、この暗号を解くと、

 2┌1┘2┌2]2[2□1]2[

 これは、

 RAYMONDO、という人名になるわ。

 違うかしら? イスカオテ?」

 教皇イスカオテ一世が感心したように、

「お見事じゃ、お嬢ちゃん。ところで、君のその謎解きには、まだ、続きがあるのかね?」

 炎華が教皇イスカオテ一世をにらみつけ、

「本題はこれからよ、イスカオテ。あなたは暗号の脅迫に屈して、その指示に従った。つまり、十字架教会で、脅迫者であるクラウンに500ユーロを渡したのよ」

 教皇イスカオテ一世が哀れみを帯びた眼差しで炎華を見つめ、

「あれは、貧しい者に施した救済じゃよ。クラウンの妻の入院費用にあてるために、500ユーロを渡したのじゃよ」

 炎華が教皇イスカオテ一世の言葉をさえぎり、

「クラウンの奥さんに会ったわ。ピンピンしていたわよ。病気なんて話は、まったくの作り話よ。なぜ、よく調べもせずに、500ユーロものお金を渡したのか、その理由をお聞きかせ願いたいわね」

 教皇イスカオテ一世が困惑した表情で、

「貧しい者に施しを行う。その行為の、何が間違っていると言うのかね? それとも何かな、君は、寄付をしたあと、寄付金の行方を、探偵に探らせる、とでも言うのかね?」

 炎華が鋭く切り返す。

「施す事、それ自体を間違っているとは言わないわ。ただ、それだけの事ならね」

 教皇イスカオテ一世が表情を曇らせ、

「はて? わしが他に、何かしたとでも言うのかね? お嬢さん?」

 炎華が昂然と、

「イスカオテ、あなたがクラウンを殺害した犯人だ、と言うのよ」

 信者が一斉にどよめく。

「こ、この悪魔め!」

「教皇に向かって、何て事を言うの!」

「魔女だ! あの小娘は魔女に違いない!」

「東洋の魔女め!」

「魔女を殺せ!」

「殺せ殺せ! 火あぶりだ!」

 と、怒号が飛び交う、今にも暴徒と化して炎華に襲いかねない勢いである。

 教皇イスカオテ一世が憤る群衆をなだめる仕草を見せ、

「言葉を選びたまえ、お嬢さん。この復活祭は、全世界にテレビで生中継され、インターネットでも生配信されておる。気をつけなければ、お嬢さん自身が」

 炎華がピシャリと言い放つ。

「私の心配ならご無用よ、イスカオテ。そんな事より、十字架教会であなたが使ったトリックを、これから説明するわ」

 教皇イスカオテ一世の顔が強張る。

「すでに会見の中断の指示が出ておる。すぐにここを立ち去りたまえ、立ち去らねば、衛兵も、群衆も黙ってはいまい」

 炎華が艶然と微笑を浮かべ、

「五分、いえ、三分ですむ話よ。あなたは脅迫メールを受けたあと、刑務所に収監されていたスリの名人、ダミアンを釈放した。教皇の恩赦という形でね。ただし、それと引き換えに、ダミアンにある仕事を依頼した。その内容は、十字架教会にあらわれる、クラウン老人のポケットに、ダミアンあてに前もって送っておいた封筒を、誰にも気づかれないよう、密かに入れて欲しい、という仕事よ。刑務所から出たかったダミアンは、何の疑いもなく、この仕事を引き受けて、見事にやり遂げたわ。まさか、その封筒の中に、爆弾が入っているとは、夢にも思わなかったでしょうけど。あの日、私が十字架教会の前で、ダミアンがクラウンからスリをやめて逃げ出したのは、私に見つかったからじゃなくて、スリの逆の事をやっていたから。つまり、クラウンのポケットに、封筒を入れる仕事をやり終えていたからよ。私はあの爆発現場で、運よく燃え残っていた、封のされた封筒の一部を見つけたわ」

 炎華がビニール袋に入った封をした封筒の燃えカスを見せる。

「クラウンとダミアンの指紋が付いているわ。爆発事件のあった日、あなたは、十字架教会の大聖堂で、ユーロ紙幣を封筒に入れたあと、クラウンに渡した。だけど、その時には、封をしていなかった。にもかかわらず、爆発事件の現場には、封をした封筒の燃えカスが残っている。これは、爆弾入りの封筒である事を、ダミアンに悟らせないために、事前にノリで封をした、という事よ」炎華が息を継ぎ、「爆発事件のあった日、何も知らないクラウンは、妻の入院費が足りない、とかなんとか、下手なウソをついて、イスカオテ、あなたから500ユーロ入りの封筒を受け取った。だけど実際は、ポケットの中に、すでにダミアンが入れておいた、爆弾入りの封筒が入っていたのよ。あなたは、クラウンのポケットに500ユーロ入りの封筒を入れると見せかけて、その封筒を、自分の法衣の、そでの中に隠したのよ。結果、クラウンのポケットの中には、ダミアンが事前に入れた、爆弾入りの封筒だけが残った、という事よ。しかも、この爆弾入りの封筒は、紙幣を取り出すと爆発する仕掛けになっていたわ」

 教皇イスカオテ一世の顔が青ざめる。

 が、取り繕ったような、冷淡な威厳を見せ、険しい口調で、

「しょ、証拠はあるのかね、お嬢さん? わ、わしが爆弾を入れた、という、た、確かな証拠が、あるのかね?」

 炎華が言い返す。

「あなたはあの時、その場で金を数えるよう、クラウンに言ったわよね。あれは、紙幣を引き抜くと、爆弾が爆発する仕掛けを、知っていたからじゃないの? 世間では、この事件をテロと呼んでいるけど。すべては、あなたが事前に準備した計画的な犯行なのよ、イスカオテ」

 教皇イスカオテ一世が歯ぎしりし、

「それは証拠ではない! 封筒の燃えカスもそうだ! すべては単なる君の推論にすぎない! それでは話にならんぞ、お嬢ちゃん。決定的な証拠が無いかぎり、わしを捕まえる事は」

 炎華が澄ました顔で、

「証拠は無くても、動機ならあるわ。決定的な動機がね」

 教皇イスカオテ一世がハッとし、炎華を見つめる。

 炎華が、

「《1970の英雄》

 に、話はさかのぼるわ。その年に銀行強盗が起きたのはご存じよね。あなたは事件の当事者ですものね。犯人はボニーとクライド、それにレイモンドの三人。レイモンドは先に逃亡した二人に射殺され、あなたは残った銀行のお金を取り戻して、一躍、時の人、

《1970の英雄》

 となった。でも、この英雄譚は、ただのデッチ上げだったのよ」

 教皇イスカオテ一世が狼狽えながら、

「な、なにを証拠に、そ、そんな事を言うのかね?」

 炎華が教皇イスカオテ一世を見据え、

「ボニーに会ったわ。今は偽名を使って生活をしているけど。ちなみに、あなたを脅したクラウンも偽名で、本名はクライドよ。今さらボニーを逮捕する、なんて言わないでよね。あの事件は、とっくに時効が成立しているんだから。とにかく、ボニーの証言によると、クライドはレイモンドを撃っていない、と言っていたのよ。ボニーが現場を見たわけではないけれど、私もその意見に賛成ね」

 教皇イスカオテ一世が眉間にシワを寄せ、

「ほ、ほう、では、いったい誰が? レイモンドを撃ったと言うのかね? お嬢さん?」

 炎華が凍り付くような眼差しで教皇イスカオテ一世を見つめ、

「イスカオテ、あなたよ」

「わ、わしじゃと!? な、何でわしが! そ、そんな事をするのかね!?」

 炎華が続ける、

「あなたは銀行強盗のレイモンドに追いつき、彼を捕らえようとした。レイモンドはとっさに銃を取り出し、あなたを撃とうとした。だけど、あなたはそれを制し、二人で揉み合いになった。そのはずみに、あなたは誤って銃を撃ち、レイモンドを殺してしまったのよ。レイモンドを撃ち殺したショックで、あなたは銃を取り落とした。それをクライドが拾って逃げた」

 教皇イスカオテ一世が最後の抵抗を試みる。

「そ、それなら正当防衛ではないか」

 炎華が鋭く言い放つ、

「だけど、あなたはウソをついた。

『仲間割れをした犯人が撃った』

 と証言した。そして、あなたは、

《1970の英雄》

 となった。でも、人を殺したあなたに、果たして教皇としての資格があるのかしら? その報いは、教皇となった今になって、突然、襲ってきた。クライドはその事で、あなたを脅迫してきた。たった一つのウソをついたために、あなたはその脅迫に屈したのよ」

 教皇イスカオテ一世が椅子を蹴って立ち上がる。

「な、何か、証拠があるというのかね! わ、わしが撃ったという、確かな証拠がっ!!!」

 炎華がポシェットからビニール袋に包まれた、黒光りする物体を取り出す。

 そして、それを静かに、テーブルの上に置いた。

「暗号の続きよ。あなたに渡したい物とは、こう記してあったわね、

  1┐3└2□

 つまり、GUN、の事よね。

 1970の事件で、レイモンドを射殺した拳銃がこれよ。この拳銃には、レイモンドの指紋が付いているのかしら? それとも、イスカオテ、あなたの指紋が付いているのかしら? 調べれば、すぐにわかることよね」

 それまで穏やかだった、カトリック教会、最高の聖職者、最高峰の地位に就く人間の顔が、蝋細工のように青ざめ、瞳は断末魔の病人さながらに血走り、目玉が飛び出さんばかりに開かれる。

 唇がワナワナと震え、まるで痴呆症患者のように呆けた顔つきになる。

 その様子のすべてが、自分が真犯人である事を告げていた。


   ☆10☆


 ホテル・ハスラーに戻った炎華が録画したビデオやインターネットを見ながら、

「復活祭の生中継番組は、どのチャンネルも途中でカットされているわ。ネット配信も閲覧禁止になっているし、個人的にスマホで撮影した動画も、アップされた途端に削除されているわよ」

 炎華が嘆息しながら、

「レイモンドの銃も、回収した封筒の一部も、バチカンに没収されてしまったわ。苦労した割には、事件はバチカンによって、もみ消されそうな気配ね。残念だわ、ユキニャン」

「ニャウ~ン」

 我輩は悲し気に鳴いた。

 珍しくショゲている炎華を元気づけようと、我輩は静かに炎華にスリ寄る。

 炎華が声を震わせる。

「どうやらこれで、私はカトリック教徒十二億人を敵にまわしたようね。ずいぶんと嫌われたものだわ」

「ニャウ~ン」

 我輩は悲しむ。

「ユキニャン。あなたは、私が世界中の人間を敵にまわしても、あなただけは、最後まで、私の味方になってくれるかしら? ねぇ、ユキニャン?」

 炎華が我輩を抱き上げる。

 我輩は勢い込んで鳴いた、

「ニャニャニャ、ニャッ!」

(味方にゃっ!)

 と、


   ☆完☆


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