プールと後輩ちゃん
「どうかな?1年ぶりに着た水着なんだけど…」
「凄く可愛いと思います。」
「ほんとに?よかったー!」
「ただ…少し小さいのでは?正直エロいです。」
「そんな冷静な顔で言わないで…」
8月中旬の今日。
私と真子ちゃんは部活が休みということで、2人でプールデートに来ていた。
いくら平日でも夏休みなので、学生と思われるお客さんがたくさんいる。
そんな中なら、イチャイチャしてても目立たないでしょっていう作戦だったり。
そしてさっきの会話は、私の水着が原因。
プールに行くこと自体は1週間前から決まっていた。
でも私は、水着の試着をしていなかったのだ。
だって、身長は去年とほとんど変わっていない。
じゃあ着れるかなって思ったんですよ。
でも現実は私に冷たかった。夏なのにね。なんちて。
……まあそういうわけで、胸が大きくなっていることを忘れていた。
実際には覚えてたけど、大丈夫だという謎の自信が湧いてきて。
そして今、1年ぶりに水着を着てみると、水着が小さかったのでした。
一応後ろの紐とかで調整できるタイプの水着なんだけど、胸のサイズに対して布面積が足りてない。
まあここまで長々と考えたけど、結局は水着が小さくて、胸が軽く潰された上で、溢れてこぼれているって事です。
そしてそれに対する感想が、真子ちゃんの発言ってわけ。
それにしても…。
「真顔でエロいは女の子としてナシじゃない?」
「だって事実ですし。」
「真子ちゃんって容赦なく現実を突きつけてくるよね。まあ良いんだけどさ。
それにしても…よかった、日焼け防止でパーカーを持ってきてて」
「そうですね。それでも身体のラインが隠しきれてないのでエロいですけど。」
「水着はエロいものだから、そこは言っちゃダメなの!」
「はいはい。」
「もうっ!……でも、真子ちゃんも凄く似合ってるね。黒いビキニがそんなに似合う13歳がいるとは…」
「ありがとうございます。」
真子ちゃんは攻め攻めの黒ビキニを着ている。胸の方には黒いレース、腰には黒いパレオが巻かれているけど、透けてるから逆にエッチだと思う。
ナンパされないか心配だから、私がしっかりしないと。
ちなみに私は、フリルの付いた水色の可愛い水着を着ている。
まあ可愛いじゃなくてエロいって言われたんだけどね。
「よし、着替えたことだし行こっか…の前に、日焼け止め塗らないとね」
「私も持ってきたので、先輩のお手伝いをしますね。」
「ありがと!じゃあ、私も真子ちゃんのお手伝いをするね」
「あ、私はもう塗ったので大丈夫です。」
「え、そう?早いなぁ」
私より先に着替え終わって、私の着替えの手伝いもしてたのに、いつの間に塗ったのだろう?
そのあと、真子ちゃんに全身に日焼け止めを塗ってもらった。
「ありがと真子ちゃん!よしっ、外にいこーうの前に、ちょうど良い鏡があるから写真を撮ろう!」
「あ、はい。」
私はスマホでカメラを起動して、写真を撮る準備をする。
「あ、真子ちゃん、もうちょっとこっちに寄って」
「こうですか?」
「そうそう。鏡がちょっと小さいからね。横に広がると入らないから。これで私が抱きついて…はーい、チーズ!」
パシャッ!っと音が鳴ったので、撮った写真を確認する。
「よし、良い感じ。どうかな?」
「…先輩ってすぐそういうことしますよね。」
「え?」
「綺麗に撮れてると思います。」
「そうだよね~♪
よーし、外に行くぞー!」
外に出ると、そこそこに人がいたけど、思ってたよりは少なかった。
「これぐらいが一番ちょうど良いね。人が少なかったら、ちょっと寂しいし」
「そうですね。」
「真子ちゃんは毎年プールに来たりするの?」
「いえ。今日が数年ぶりですね。」
「そっかー。じゃあ今日はいっぱい楽しもうね!」
「はい。」
私たちにはシャワーを浴びて、プールに入った。
ちなみにスマホやお金は、防水のポーチに入れて私が持っている。
こんなことがあろーかとってやつで持ってきたのが本当に役に立って、ちょっと嬉しい。
流れるプールに入り、私と真子ちゃんは水中で手を繋いで、ぷかーと流されていた。
「水が気持ちいいね~」
「そうですね。」
「何しよっかー?後でウォータースライダーにも行きたいけど」
「のんびり流れるだけでも良いですね。」
「そうだねぇ。じゃあとりあえずはこのままで~」
水に漂っていると時間はすぐに過ぎたから、私たちは昼食を食べた。
私がたこ焼きで、真子ちゃんがうどんを食べていた。
割高だけど、こういうのがいいんだよね。
そのあとはウォータースライダーにいったり、流されたりしたんだけど、15時を過ぎたからもう上がろうって事になった。
でもその前に、私が真子ちゃんに勝負を挑んだのだった。
「真子ちゃん!50メートルプールで勝負しよう!
先に着いた方が勝ちで、負けたら勝者の言うことを1つ聞くっていうのはどう?」
「いいですよ。でもそれだと、先輩が言うことを聞くことになりますよ?ハンデを付けますか?私は平泳ぎで、先輩はクロールとか。」
「大丈夫!私だって小学生の頃は水泳習ってたし!
さすがに負けないよ!」
「それなら良いんですけど。じゃあ、さっそく始めましょうか。」
「待って!ちょっと体操してからで!」
「…まあ良いですけどね。」
「よーし、いくよー!」
「私が合図を出しますね。
よーい、スタート!」
真子ちゃんのかけ声と同時に私は潜り、壁を蹴った。
そのあと、ドルフィンキックをして距離を稼ぎ、10メートルを超えたあたりからクロールを始めた。
パーカーを着てるから身体が重いけど、真子ちゃんもレースやらパレオやらがあるから5分5分だと思う。
本当に真剣に泳ぐときは、周りなんか気にしちゃダメだから、ひたすら泳ぐ。
そうやって泳いでいると、どんどんペースが落ちてきた気がする。
前はこんなに遅くなかったのに、胸に水が当たって減速しているのを感じる。
でも、言い訳はしたくないし、最後まで頑張って泳ぎ切った。
「ぷはぁっ!はぁ、はぁ…あれ、真子ちゃんは?」
隣のコースを見てみると、真子ちゃんがいない。
「まさか溺れちゃった!?」
「希未先輩。」
「えっ?」
後ろから声がしたから振り返ると、壁があった。
そしてそこから上を見ると、プールサイドにしゃがんでいる真子ちゃんと目が合った。
「先に着いたので、上がって待ってました。」
「え、そんなに差があったの?」
「まあ、30秒ぐらいですかね?」
「うっそぉ…真子ちゃん早すぎだよぉ」
「先輩が…いえ、ありがとうございます。」
「うぅ、私の負けかぁ。いいよ、何でも言うこと聞いてあげる!」
「じゃあ考えておきますね。先輩、そろそろ上がって着替えましょう。」
「はーい…」
シャワールームに行くと、個室タイプだった。
といっても、人が並んでいて、多くの人は外の、プールに入る前のシャワーの場所に戻っている。
「先輩、どうしますか?」
「んー、日焼け止めがシャワーで流れると焼けちゃうしなぁ。待ってようよ」
「分かりました。」
数分待っていると、1つだけ個室が開いた。
「先輩、先にどうぞ。」
「いや、真子ちゃんが先に行ってよ。身体が冷えちゃうし」
「それは先輩も同じです。」
「じゃあ、一緒に行こう!」
「えっ。」
真子ちゃんの手を引き、個室に入った。
広さは1メートル四方よりちょっとだけ広い?って感じだった。まさしく個室。
私はパーカーを脱いで、置く場所がないから腰に巻いた。
「ふぅ、濡れたパーカーが重かったんだよねー」
「そ、そうですね。」
「どうかした?」
「いえ…その、目の前に出てきたので。」
「あ、ごめんね。やっぱり別の方がよかった?」
「大丈夫です。」
「よかったぁ。あっ!」
「どうかしました?」
「今日何枚も写真撮ったけど、私全部パーカー着てた!」
「そういえばそうですね。」
「せっかく脱いだし、パーカー無しでも撮っとこう!」
私はスマホを操作して、カメラを起動した。
「真子ちゃんもっと寄ってね。」
「え、これ以上ですか?」
「うん!だって狭いし!」
「わ、分かりました。」
「よし、抱きついたらちょうど良い感じだね。はい、チーズ!」
パシャパシャッ!と2回音が鳴った。
今日学んだんだけど、2回ぐらい撮って、写りが良い方を選ぶ方が良いんだよね。
「お、真子ちゃんが可愛く写ってるしこれでOK!じゃあシャワー浴びよっか!」
「そ、そうですね。」
そのあと着替えて、外に出て、私服でも写真を撮った。
真子ちゃんの私服は今日もオシャレで可愛かった。
「じゃあ帰ろっかー」
「先輩、この後って時間ありますか?」
「このあと?うん、大丈夫だよ」
「じゃあ、最近近くに出来たショッピングモールに行って、晩ご飯も食べていきませんか?」
「あ、いいねー!じゃあ、お母さんに連絡するね」




