恋愛に疎い男、ひょんな事から恋愛小説を書く事に。
僕は恋愛センスがないとよく言われる。
確かに自分自身恋愛の経験が多いわけではないし、今の奥さんも初めて付き合った人でそのまま結婚したのだから、センスがないのはしょうがない。経験がないのだから。
恋愛センス無いと言われようが、結婚してしまえばセンスも何も関係がないだろうと思うのだけど、そうは行かぬが世のなんとか、、、。
かなり仕事中心の生活をしていたから、気分転換できるものって何かあるかな?と奥さんに聞いた時、
「藍之介はたくさん小説読むから、自分で小説を書いてみるのも良いんじゃない?例えば恋愛小説とか(笑)まー無理だろうけど」なんてニヤニヤしながら言われたら、ハートに火が付くに決まってる!
長年使って少しくたびれてきたリクライニングチェアに座りながら、藍之介はふふっと笑った。
初めて執筆・出版した「恋愛センスの無い私が、恋愛小説書いてみた」を手に取りながら半年前の光景を思い返す。
「それにしても、よく恋愛センスのないあなたが恋愛小説なんて書けたわねぇ、書けるわけないと思って言ったのに」
悪戯笑いしながら妻の声がリビングに響く。
「あれだけ恋愛センスが無いなんて言われたら、逆に書きたくなるのが普通だよ」
僕は昔から負けず嫌いだったので、あんな事を言われた日には絶対に良作品を書くしかないと心に決めていた。
でも、自分でもよくここまで書けたなと素直に思っている。
恋愛小説を書くにあたって、何か調べたわけでも聞いたわけてもない。
本当に自分の独断と偏見で文章をまとめた方が面白いに決まっているから。
そう考えながら、感慨深く1ページ目から改めて読み直す事にした。