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なぜか水に好かれてしまいました  作者: にいるず


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37 植物園に行きました

翌朝は、カーテンを開けると曇っていた。


昨日は、洋服を決めだけで、なんだかぐったりしてしまい早く寝た。


そのせいか朝5時には起きてしまい、そのあともなかなか眠れずに天井を見つめ続けていた。


仕方なく朝の6時には起きて、朝ご飯を食べることにした。


軽く掃除もして、身支度もした。


お出かけ用の洋服を着るときには、いつもの地味目のブラウスとスカートしかなく、なんだか今すぐ買い物に行きたくなるぐらいだった。


「 雨は、大丈夫かなあ。 」


天気予報を見ると、夕方は雨になる予報だったので、折りたたみ傘を持っていくことにした。


それから、時間になるまでどこの植物園に行くのか予想をしようと、いくつか候補を見ておいた。


その中で、ソフトクリームがおいしいと評判になっているところがあり、急にソフトクリームが食べたくなってしまった。


そうこうしているうちに、やっと約束の時間になったので、玉山の部屋を訪れた。


「 おはようございます。 」


いつものようにすぐに出てきた玉山は、今日もいつものようにさわやかな格好をしていた。


きている洋服も今日もまたさりげないおしゃれ感があって、つい自分の服と比べてしまいちょっとだけ落ち込んだ。


しかし玉山は、敦子がそんな事を考えているなんて思ってもいないだろう。


今日もまた素晴らしい笑顔で言った。


「 じゃあ行こうか。 」


車に乗り込んで出発した。


「 今日は、どこに行くんですか。 」


「 今日は、○○植物園に行こうと思ってるんだけど、行ったことある? 」


「 いえ、ないです。でもソフトクリームがおいしいと評判らしいですよ。 」


敦子は、今日仕入れた情報を言ってみた。


「 へえ~。じゃあ、食べなくちゃあいけないな。 」


玉山は、敦子が意気込んでいったことがおかしかったのか、少し笑いながら言った。



ついたところは、大きそうだったが、お休みのためか、混んでいた。


空は、どんより雲に覆われていたが、すぐにも雨が降りそうではなかった。


植物園でもチケットを玉山が買ってくれ、敦子がお金を払おうとしたが受け取ってくれなかった。


「 じゃあ、ソフトクリームのお金は私が出しますね。 」


敦子は、ソフトクリームが食べたかったので、つい言ってしまったが、いってから食べる気満々の発言だと思い、訂正しようと思ったが、玉山も笑いながら賛成してくれたので良しとした。


「 ありがとう。じゃあごちそうになろうかな。 」


2人見て回ることにした。


さっと玉山が手を差し出した。


敦子は、少し恥ずかしかったが、この前つないだこともあるので、この前より気軽に手を出した。


玉山の手は大きくて暖かい。


なんだか少しぼ~としたまま歩き始めた。


もしかしたら玉山もそうだったのかもしれない。

はじめ二人は、無言で歩いていた。


それでも10分ぐらい歩いていると、手をつないでることにずいぶん慣れてきて、ふたり植物について感想も言えるほどになった。


そうこうして回っていると、列になっている人たちが見えた。


近づいていくと、どうやらそこがソフトクリームを売っている売り場らしい。


傍らにいる敦子のキラキラした顔をみた玉山が言った。


「 じゃあ、買ってくるよ。ここで待ってて。 」


「 私が買ってきますよ。私が言い出したので。 」


「 いいよ。行ってくる。 」


玉山はそういうと、敦子を置いて、長い足で瞬く間に行ってしまった。


敦子は、仕方なくそばにあったベンチで待つことにした。


ここなら売り場がよく見える。


敦子が見ていると、売り場にちょっとした異変が起こった。


玉山が列につくと、皆の顔が急に玉山のほうを向き始めた。


あからさまに見てはいけないと思ったのか、ちらちら見ている人が多い。


よく見ると、まだ小さな女の子まで、玉山の顔を眺めている。


列についているおばさんに至っては、もうそちらに体全体向けてしまっている人もいる。


後ろの人に順番が来て、促されているおばさんまでいた。


敦子は、その様子をのんびりと眺めていたが、改めて玉山のすごさを感じた。



敦子が、ぼ~とみていると、玉山が、ソフトクリームを手にかえってきた。


ここは、バニラソフト一種類しかない。


ただそこは、ダブル盛りとか大盛りとかなかったはずだ。


なのに玉山が持っている二つのソフトクリームは、コーンから今にも落ちてしまいそうなほど、盛に盛られている。


敦子は、その一つを受け取ったが、よく見ると周りの人が持っているソフトクリームの量は、どう見ても普通だった。


ふと売り場のほうを見ると、売り子の女の子がまだ玉山のほうをぼーと見ており、ほかの売り子の男の子につつかれて慌てて作業を始めたところだった。


敦子もすぐに食べずに、ちょっと見ていてしまったからだろう。


外の気温は、まだそこそこあるので、どんどんソフトクリームが解けていく。


「 早く食べないと、溶けちゃうね。 」


声がして、そちらを見ると、きれいな所作でソフトクリームを食べている玉山がいた。


玉山の様子を見ると、自分たちだけが、大盛りのソフトクリームだったとは、少しも気づいていないようだ。


敦子も急いで食べ始めた。

しかしどんどん溶けていくソフトクリームに追いつかない。

おかげで手はべたべた、しかもポトポト溶けたソフトクリームが下に落ちていく。


しまいには、スカートにまでついてしまい、食べ終わった時には、手がソフトクリームだらけになってしまっていた。


「 口の周りにクリームついているよ。 」


敦子が、少し下を向いてスカートを見ていると、ふと口元に何かを感じた。


正面に顔を戻すと、玉山が自分の持っているハンカチで、敦子の口元をぬぐってくれていた。


「 えっ、すみません。 」


急いで、ポケットから自分のハンカチを取り出し口を拭う。


ふと視線を感じて視線の先を見れば、売り場についている人たちとその周りでソフトクリームを食べている人たちが、皆こちらをぼ~と眺めていた。


しかもみな半分恍惚といった顔をして玉山を見ている。


のみならず、その先の玉山の持っているハンカチを見ている人もいた。


玉山はといえば、敦子が見ていたスカートを見ていった。


「 スカートにもついちゃったね。 」


玉山は、スカートも拭いてくれようとした。



敦子は先ほどの玉山の行動を理解して、真っ赤になった顔を背けて言った。


「 ちょっ、ちょっと水でハンカチを濡らして拭いてきますね。あと手も洗ってきます。 」



そういって、トイレに向かって脱皮のごとく走っていったのだった。

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