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ヨシオ(2)

 夏限定の水泳の授業にみんなはしゃいでいた。勿論アキラもはしゃいでいる。こんな時一人くらい抜けても大抵気付かないものなのだ。


 時間を見計らって授業からコッソリ抜けだしアキラに変身、そして女子更衣室に潜入。物色を始める。重要なのは物色してる所をしっかり女子に見てもらうことだ。


 女子達がいる前で物色をするが長い間その場に止まるようなことはしない。この場で先生を呼ばれると面倒だからだ。


「別に難しいことはしていない。でも効果は絶大でしょ?」


『悪いなーそんなことして女の子が可哀想じゃないか』


「女の子って言ったって所詮ブスの集まりだし。それにアイツら俺に喧嘩売ってきやがった。あれくらい当然だよ」


『キミひょっとして地味にイジめられてる?』


「……別に」


 一週間前のこと、いつも通り学校へ行ったら俺は何故か嫌われていた。聞けば女子達にブスだ馬鹿だ言ったらしい。でもおかしな話だった。俺はその日風邪を引いて休んだはずなのに。


 当てつけかなんだか知らないが、そっちがその態度ならこっちはそれ相応の態度をするまでだ。

 その結果寄ってきたのがアキラなのだが。






 Cfの使い道は無限大だ。誰かに変身して違う人生を生きる。でも俺は冷静に考えた。

 変身しても周りの人が変化に気付いてしまうんじゃないだろうか? 


 やれることといったら女の子に変身してあんなことやこんなことをするくらい。

 そう考えるのはCfの使い道がありすぎて逆に何をしていいのか分からなくなったからというのもあった。


 ピッポパッポ


 信号が青に変わる。今日も学校が終わり別段変わりもなく家へ向かう。


 ピロン♪

 メールだ。


『突然ごめんね、今からヒマかな? 家まで来て欲しい』


 ミホからだった。


ーー?! なんだ? いきなりヒマだから家まで来て欲しいって……


 嬉しくもあった。女子からのお誘い、普段は見れない女子のプライベートな空間に来ないか? と誘われているのだ。


 まぁミホ昔から少し不思議ちゃんな所あるし深い理由もないだろ。用事もないし断る理由はない


『今からなら30分ぐらいで行けそう』


 返事はすぐに来た。


『分かった。待ってる』


 しかし俺はまだ気付いてなかった。それが罠だということに。






 ピーンポーン

 インターホンを押すとお決まりのチャイムが鳴った。


 ガチャッと音がして出迎えたのはやっぱりミホ。


 待ってたよと言い俺を家に招き入れる。

 一緒に帰っていた頃、何回か家の前まで送っていったことはあったが家の中に入ったのは初めてだった。妙に緊張する。


 部屋へと通された俺は少し待っててと言われミホの部屋に一人残される。


ーーどうしよう、いい匂いがする。女の子の匂い、ミホの匂い……


 こういう時って何をしてればいいか分からない。何をして待ってればいいか分からない。その辺ジロジロ見てたら何か変態っぽいし勝手にその辺に座ったら何か言われそうだし、かといってその辺に突っ立ってたらそれもそれで何か妙に緊張してる奴みたいで嫌だし。


 要はないけどとりあえずスマホをイジる。こういう時スマホは便利だ。


『若手俳優の冴島サンタロウが今月10日人気アイドル虹乃西ニジコを刃物で刺したとして書類送検された』


 適当にネットを開いたらこんなのがトピックになっていた。世の中物騒だな、なんて思う。


 芸能人同士でもこんな事件起きるんだ。でも俳優とアイドルなんて、俺には到底縁のない話なんだろうな。まあCfを使えば話は別なんだろうけど。


 でもそこまでするつもりはない。芸能人とか俺にとっては未知の世界の人だから例え変身しても何すればいいか分からない。


 タダほど高いものはないとはよくいったものだ。カオモジは本当に何故こんなものを俺に渡したのだろう。もっと面白い使い方をする奴は他にいるだろう。


何故カオモジは俺を選んだ? 俺はこれを使って何をすればいいんだ?

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