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青春(5)

椅子に座り顔だけ天井を見る。別に綺麗な星空が広がってるとかそんなんじゃない。いつも見る退屈な俺の部屋の天井。


ーー退屈だ。なんか、面白いこと楽しいこと夢中になれること、なんでもいい、なんでもいいんだ。夢中になれることないかなぁ……


『キミの願い、確かに聞いたよ』


ーー?!


 辺りを見回すが誰もいない。


『この平和な毎日を変えたいという思いを抱いたキミにスペシャルな力を与えよう』


ーー何? 誰? どこ?


『ここだよ』


 その声は目の前にあるパソコンからで、気付けば謎のサイトを開いていた。画面の真ん中には顔文字が一つ。


『こんにちは。いや、こんばんはかな? 霧山ヒラク君』


 よくニュースで聞くエフェクトのかかった声で俺の名前を呼ぶ。


ーーなんだ? なんかのウイルス? ってかなんで俺の名前知ってんだ?!


『怖がらなくていい。ボクはカオモジ、未来の世界から来たんだ。よろしくね』


 顔文字がニコッと笑う。


ーーカオモジだ? 何何何、顔文字がニコニコ喋って気持ち悪い、不気味、異様の三拍子


『キミはこの世の全てに退屈している。学生として普通に生きていくことに退屈している。飽き飽きしている。もうウンザリ。そうでしょ? でもこの世界はキミの思っている以上に楽しいことが沢山あるんだ』


 ……。


『キミは人と付き合ったことがないだろう? 本当の恋ってしたことないだろう?』


「な、彼女くらい……いるさ」


『それはキミがそう思ってるだけでしょ? 告白もされてないクセに』


ーー何故それを知っている


『キミくらいの歳なら、もうキスとかお泊まりとか夜の営みとか今やもう当たり前、常識だよ? キミはまだまだ人生経験が浅いね』


ーー何が言いたい


『他にもキミが経験してないことが沢山ある。楽しいこと辛いこと色々あるけどろくに人生経験積んでこないで『この世はつまらない』は少しワガママなんじゃないかい?』


「……なんだ、説教しにきたのか」


『別にそんなつもりはないよ? ただボクはそんなつまらない毎日を変えてあげようと来たんだ。まずはこれを受け取ろう』


ーー?!


 何もしてないのにスマホがいきなり起動する。









ーーStart is Colorful Faceーー









 ボウッと光る緑色の近代的な画面。


「え、何これ。こんなアプリインストールしてないけど……」


『鈍いなぁ。ボクがダウンロードしてあげたんだよ。普通には手に入らない魔法のアプリ。ただのアプリじゃないんだよ』


 画面は『Colorful Faceはカメラを開きたがっています』と出ている。


『そのアプリは未来のアプリなんだ』


ーー未来?!


『使い方は簡単。Colorful Faceを使ってカメラで相手の写真を撮る。するとなんとなんとその相手に変身出来るのだ』


ーー変身?!


『その相手は誰でもいいんだ。大人でも子供でも、お爺さんでもお婆さんでも赤ん坊でも有名人でも社長でも外国人でも犬でも猫でもゴキブリでも、生き物なら何にでも変身出来る。凄くない?』


「え……何にでも?」


『そう何にでも。例えば片思いのクラスのアノ子でも。一人プレイやり放題』


「ッッッ……!! 何言ってんだよ」


『誰にでも何にでも変身出来る。色々な人に、好きな人に変身出来る。カラフルに変身出来る。だからColorful Face、略してCf!』


「……Cf?」


『そして、それをどう使うかはキミ次第。自分の私利私欲のために使ったっていいし世の中の平和のために使ったっていい。それをどう使おうがそれは自由さ。それはもうキミの物だからね』


「……いやいや、そんなこと信じられるかよ。他人に変身出来るだなんて常識的にありえないだろ……そんなもの渡して、お前の目的はなんだ? お前は何がしたいんだ?」


『信じないんだ、酷いなー。目的なんて大層なものはないよ。ただボクはキミがCfを使う姿を高みの見物していたいだけさ。Cfを疑うんなら試してみるといいよ。すぐ分かるから』


 顔文字はニコリと笑った。

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