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裏切り(3)

 気づけばもう夕方、このままじゃ今日は車中泊になりそうな勢いだ。


 車内は相変わらず静かだった。まあワイワイ騒がれるよりは大分マシなんだけど。


「腹減ったな、どっかで飯食うか? 朝から何も食べてないし」


「いや、俺達がこのまま入ったら騒ぎになる。だってーー」


 スマホのネットニュースには俺達の名前が堂々と書かれていて指名手配までされていた。『霧山扉(21)七野ミホ(20)木ノ下アクタ(20)を指名手配することを発表した。賞金は100億円』

 こんなことミホやアクタに教えたらどう思うのだろうか。


「腹減ったなら俺が買ってくるよ」


 車を降りスーパー入り口へ歩いて向かう。雨が降っている、小走りに入り口へ急ぐ。100億とか完全にふざけてる。こんなことするのはヨシオ以外考えられないのだが、


ーー早くなんとかしなきゃ


 Cfを使いそこらのお兄さんに変身した俺はスーパーに向かうフリをして電話をかけた。


ーー状況は最悪だ。関係なかった人まで巻き込んで……


 こうなった以上奴に協力してもらうしかない。


「もしもし、助けて欲しいんだーー」






 俺が車に戻るとミホとアクタが話していた。どうやらヨシオとはどんな奴なのか話しているようだった。


「ヒラクくんの方が知ってるんじゃない? アクタがどんな奴なのか」


 アクタはどんな奴か?


「……人を人間として見てないキチガイ、サイコパス、奴は人間とみなしては駄目だ」


 これは大袈裟じゃなく、短いながらヨシオと生活してみて出た答えだった。


「けど警察を動かすほどだ、相当なキレ者なんだろうなソイツ……ま、それよりもだ」


 アクタは俺を見るなり手に持っていた袋をひったくった。


「アクタの頼んだジャンボハンバーグ弁当買ってきただろうな?」


ーー頼まれてないから唐揚げ弁当しか買ってないんだけど……


「ところでアクタ、なんでお前は戦おうとする? 警察に追われ普通の人なら真っ先に逃げることを考える、出来るだけ遠くに逃げようとする」


 アクタは当たり前のように答える。


「好きだから」


ーーは?


「どういう意味だよ」


「アクタはミホが好きだ。その好きな人が警察に追われてるんだぜ? 守ってやらないでどうする?」


 好きって……本人がいるこの場で公言しちゃっていいのかよ?! いや、もしかして既にミホに告白済みとか? それならミホなんて言ったか気になるかも……OKか? ごめんなさいか?


「守るんならなんでお前は戦いたがる? さっき言ったよな、このまま逃げっぱなしでいいのかよって」


「だって警察だろ? 警察には悪いいい思い出がねぇんだ」


 なんだが知らないがこのアクタという男はそんなに警察に厄介になったということか? なんか釈然としない。


「分からない、なんでお前はあんなに無責任なことが言える? 好きな子がいるから格好つけてるのか?」


 違うーーとでも言わんばかりにアクタはため息を吐く。


「分かってないな、愛の力って絶大なんだぜ?」


 そう語るアクタはドヤ顔、無駄に説得力がある


「それよりもヒラク、どういうことだ! アクタはジャンボハンバーグ弁当頼んだのに塩唐揚げ弁当しか入ってないじゃないか」


「いやいやジャンボハンバーグ弁当なんて頼まれた覚えねーし」


「アクタ! 今そんなことで喧嘩してる場合じゃないでしょ、ちょっとは妥協しなよ」


 わーわー騒いで実にくだらない喧嘩、喧嘩するほど仲が良いってよく言うけど果たしてどうだか、こんなことで言い争ってこれから大丈夫かな? と不安になる。


 まあだからこそ早く決着をつけた方がいいのかもしれない。

 ヨシオを倒すにはみんなの協力が必要だ、だから……


「二人とも、話があるんだ」

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