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アクタ(5)

「ここで降りろ!」


 アクタの指令に従い屋根から家々の塀に降りて地面に着地する。俺も合わせた3人は息が切れていた。でもミホもちゃんと来てるし大丈夫そうだ。しかし……

 追いかけて来るんじゃないかと警戒する。俺達を逃すはずがないから


 どうするんだ? と俺が訊くとアクタはコンビニを指差した。


「アクタ?? 何する気?」


「盗みだよ」


ーー盗み?


「あそこのコンビニな、エンジンかけたまんまでコンビニに入る畑仕事のボケたおっちゃんとかが多いんだよ」


「まさかーー」


「車から持ち主が離れたら走って車に乗るんだ、運転は俺に任せろ。無免許運転なら得意だから」

 

「本気なの? アクタ」


「ミホ何怖気づいてんだよ、一緒に逃げてくれって言ったのはミホの連れてきたヒラクだぜ?」


ーーいや一緒に逃げてくれまでは言ってないけど……でも、


「見ろ、あの白い車から人が降りた、鍵もかけっぱなしだ。行くぞ」


 見ると確かに作業服姿の男が車からエンジンかけたまま離れた。


「でも……」


「ミホ、乗ろう」


 ミホは気が進まないようだったがそんなのは無視に俺達は他人の軽自動車に乗り込んだ。

 コンビニから車を奪うのは容易に成功した。アクタの運転する車は発車する。俺達は犯罪を犯した今までも犯罪はしてきたがなんとか俺達が犯人だと疑われることもなくなんとか免れてきたが今回は違う、警察は俺達の動きから犯人は俺達とするだろう。第一防犯カメラにバッチリ映ってるかもしれないし、ああ犯罪者になったんだなと実感する。最も俺達は人殺しの罪で警察に追われてるんだけど。けど警察に捕まらなかったのは不幸中の幸いといったところか。

 しかしアクタには悪いことをしたと思う。俺が来たせいで友達を亡くし、俺が焦らせたせいで犯罪者の仲間にさせてしまった。でもこれしか道はなかったんだ。もしかしたらあのままでもアクタは殺されてたかもしれないし、それは今考えても意味のないことだけど、仕方がなかったんだ、全てはミホを守るため、そしてヨシオにCfを盗られないためにはどうしてもこうなるしかなかったんだ。一番は昨日ミホと一緒に逃げておくことだったんだけど……まあいつまでも過去を振り返ってたんじゃラチがあかない。今はとにかく逃げるんだ。

 アクタの足が震えている。


「大丈夫か?」


「わり、今逃げることしか考えらんねーんだわ。とりあえずは河口湖を目指してる」


「河口湖って……富士山?」


「……富士山って言えば自殺の名所、青木ヶ原樹海で有名なんだぜ?」


ーーアクタ、縁起でもないこと言うなよ


「とにかくどこでもいいから遠くへ頼む。高速道路はNGだぞ? 警察に勘づかれるから」


「ああ」


 なんとか逃げることが出来たがこんなことがこれからも続くのか、ヨシオめ、なんとかしないと……

 朝の日はいつの間にか隠されて曇り空へ変わっていた。


ーーそういや台風が近づいてるんだったな


 誰も彼も、俺をどれだけ苦しめたら気が済むんだか。

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