アクタ(4)
バンッ!
正面玄関を無理矢理開け突入してきたのは、
「警察だ! 動くな!」
ーーやはり警察か、しかし
いつから銃なんて物騒な物を市民に向かって平気で構えられるようになったんだか。刑事は銃を構えていた。これもヨシオの差し金か? だがここで捕まる訳にはいかない、一瞬両手を上げて観念したフリをしておいて、即座に逃走、また割れた窓のところに戻っても他の警官が待ち構えているだろうから階段を登り2階へ上がる。そこにミホはいた、どうやら2階で寝てたらしい。何があったのかと、心配そうな顔をしていた。ミホと一緒にアクタも、それに友達とやらも一緒にいた。
「ヒラクくん!」
ミホの心配そうな声、だが構ってる暇はない。俺はアクタ向き、
「アクタ! 訳は後で話す。だからバイクを出してくれ、俺とミホを逃がしてくれ!」
アクタにすがりつく、肩をつかみすがる情けなくてもいい。今は……
「……っなこと言われても」
この状況に落ち着いているアクタに怒りを覚えたが、今はそんなこと言ってらんない。トントントンと迫る刑事の足音、振り向いたらお終いな気がする。
「お願いしますっお願いしますっ! なんでもするから、だから!」
心からのお願い、
「……分かったから、とりあえず部屋は入れ」
そう言われ部屋の中へ入る俺とアクタとミホ。
「お前ら足止めしとけ、絶対部屋に警察入れるな」
そう声をかけ部屋のドアを閉めた。鍵をかける。部屋はベッドが一つに作りかけのプラモデルが置いてある机、多分ここはアクタの勉強部屋として使っていたのだろう。
ドカッと椅子に座るアクタ、
「どういうことだよ、なんで警察が来てんだよ」
「……騙して悪かった。警察に追われてる」
「なんで」
「話せば長くなるし信じてもらえるかどうか……」
「……バイクを出して欲しいと、だがそれは無理だ。バイクは下にある。取りに行く前に絶対警察に捕まる」
「ーーなんとか逃げる方法はないのか?」
「……なあ、何やったか知らないがミホも共犯なのか?」
首を振るミホ、
「俺達は何もしてない、冤罪なんだ」
「? だったら堂々としろよ、捕まったって無罪だと言い張ればいい」
ーー駄目なんだそれじゃあ、それじゃあヨシオに捕まる。なんとか説得出来ないのか?
その時、ダァーンと心臓に響く大きな音、同時に男の奇声が起こった。
ーーなんだ?!
続いて2回、3回音がなり、その度に奇声が起こる。あの反応、恐らく
ーー撃たれた?
ドン! 扉の向こうで誰かがドアを開けようとしている。警察だ警察が俺達を殺そうとしてるんだ。本当の警察かは分からない、ユウタみたいに仲間を募って警察みたいな服装させて……ってやってるのかもしれない。なんにしろ警察はヨシオに洗脳されたと考えていいだろう。
気づけばアクタがドアノブに手をかけていた。
「何やってんだ! 銃だぞ? 開けたら殺されるぞ?!」
「……だって、マサヤ達が」
「よく考えろ、ここでドアを開けたら殺されるぞ? 俺達もお前も。だからお願いだ、俺達を逃がしてくれ。じゃないとお前のお爺さんまで撃たれるぞ?!」
「爺ちゃんが?!」
「俺達が出て来なければ人質にお爺さんを取るかもしれないだろう? だから」
「でも……」
「早く!」
急かすように言う。アクタは戸惑っていたようだった。でも俺も焦ってたんだ。
ダン!
ドアに穴が空いた。無理矢理にでもこじ開ける気か? 緊張の汗、もう駄目かーー
「窓から逃げるんだ、屋根伝いに真っ直ぐ行ったらここから出れる」
「行こう!」
それを聞いた俺達は一目散に窓へ逃げた。死にものぐるいで、ひたすらにただがむしゃらに走って……