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アクタ(2)

 「お父さん、お母さん」なんて可愛い声で言って、それを言うとハグしてくれるのが大好きだったアクタくん。小学校に上がり友達も増えクラスでは人気者のアクタくん。そんなアクタくんはある日、不慮の事故で大切なお父さんとお母さんを失うの。まだ子供のアクタにとって親とは何よりも大きな存在で元々一人っ子だったアクタは親の愛情を沢山もらっていた。その分ショックは大きいもので、学校も不登校になりかけ、家では何考えんだか分からないただボーッとして、疲れ果てた枯れ草のように覇気がなくて笑顔のないアクタは見ていられなかったそう。そんな悲しみにくれていたアクタを引き取ったのが母親のお爺さんお婆さんだったの。お爺さんお婆さんは我が子のように愛情を注いだ、自分達の子供が死んだ分を孫に愛情を注いだの。一緒に海に行って山に行って遊園地に行って野球観戦に行って、お爺さんお婆さんも必死だったのね、早くまた元気になってほしいから。その願いは届いたみたいで次第にアクタも心を開くようになり、またいつの日かの元気なアクタになったの。元気になったのはいいけれど、小学5年生から非行に走るようになり、この頃から髪を染めるようになり夜遊びや万引きは当たり前になった。お爺さんお婆さんは困ったわ、このまま不良の道に進めるのはいかがなものかと。それで一度話し合ったの、髪の色を染めるな、夜遊びするな、非行に走るな、不良になるな、そのままじゃロクな大人にならないぞと。でもアクタは反抗して「ふざけるな、どんな大人になろうが俺の勝手」と言った。このことがキッカケでヒートアップしたお爺さんは今までのことが台無しになるような言葉を言う。


「お前をあの時海や山や遊園地に連れていってあげたのは誰だと思ってるんだ。お前に飯を食べさせてあげてるのは誰だ、お前に学校行かせてあげているのは誰だ。全く、情けなくてしょうがない。少しは言うこと聞きなさい!」


 初めて強い口調で言ったらしいよ、そしたら……


「何様のつもりだ、親でもない他人の癖に」


 アクタは自分のお爺さんに対し他人という言葉を使った。アクタにとってはなんでもないかもしれない。勢いで言っただけで本当の思いとは違うかもしれない。でもそれは、その言葉はお爺さんお婆さんは強いショックを与えた。それからはあまり話さなくなりその7日後、お爺さんは家で倒れて緊急搬送、その日からお爺さんは寝たきり状態になりお婆さんはお爺さんの介護をすることになった。しかし不幸は続くもので、今度はお婆さんが倒れたの。心筋梗塞、そのまま帰らぬ人となったわ。残されたアクタはまた一人になった。自分があんなこと言ったからこんなことになったと、自分を攻めたの。その時自殺しようとも考えたそうよ? でも結局死ねなかったんだけどね、恐いから、やっぱり死ぬのは恐いし、苦しいし痛いから。自分の弱さに絶望したそうよ? 人間なんて結局自分が可愛いんだって。残されたアクタと植物状態のお爺さん、どうしようかと考えるも何もやる気が出なかったそう。まだ小学生だもん、自分でなんとかするしか考えられなかったそうよ。そんな時助けに来てくれたのはアクタの友達、友達は色々相談に乗ってくれてね、ヘルパー頼んだらどうかとか老人ホームに行かせた方がとか、最終的にアクタが選んだ答えは自分達で介護をすることだった。今までの感謝もあっての恩返しのつもりらしいよ。なんだかんだでアクタも悪いことをしたって思ってるらしいよ。


 だから今はアクタと友達の協力で介護をやってるの。


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