計画(5)
俺だったらどうする? こんな時どこにいる? そもそもCfは使い手がどこにいようがタップすれば変身は解かれるはずなんだ、だとしたら……
ーー4人目の所有者はこの建物にはいないということか?
俺はテレビ出演している評論家が変身していたのを見て4人目の所有者がこのテレビ局にいるだろうと確信した。だが本当はこれは罠で、テレビ局に所有者はいない。
タンタンタン タンタンタ タタタン♪
こんな時にヨシオだ。今は電話に出てる暇はない……が、ヨシオからの電話は必ず出ることになってる。
『もしもし? ヒラクくん? 今どこにいる?』
「……ああごめん。その、家で寝てたんだ」
咄嗟にそう答える。
『寝てた? ……本当? 監視カメラでも仕掛けとくんだったね……って別にキミを信用してない訳じゃないよ? 安心して、愛しのヒラクくん』
「……要件は」
調子に乗るヨシオに冷たく突き離す俺。当然だ、ヨシオと仲良くなった覚えなどない。
『寝てたと言うなら知らないかもしれないけど、今日6時のテレビで4人目の所有者が現れた。HEKAKINの声を聞き所有者との対面を望んでいるようだ。僕達の方はこれから八王子を出る。先に日の丸テレビへ行って4人目の所有者を見つけ出してくれ』
「ああ分かった」
もう捜してるっての……
『……ヤケに素直だね、まあいいや。それじゃあまた後で』
ぷーぷーぷー
電話が切れる。怪しまれたか?
しかし奴がいないんじゃ捜しても意味がない。ここは撤退するか?
しかし、それじゃ『テレビ局に来い』と言ったのはなぜだ? 最初から会う気がなかったから? いや、違う。多分奴はここにいる、この建物の中にいる。だがどこにいるか分からない。捜しようがない。
いや、でも逆ならどうだ? 捜すんじゃなく、その様子を見ていたとしたら。俺がテレビ局へ来てその様子を今の今までずっと見ている存在、監視カメラ。監視カメラを使って俺が所有者かどうか、最初からずっと見ていたとしたら……
俺はモニタールームへと急いだ。
沢山のモニター、ここで俺を監視していたということか。
椅子に腰かける男が一人。中学生? 高校生にも見えるがそれにしては背が低い。驚いたことにテレビ局のモニタールームはその男しかいなかった。多分こいつがやったんだろう。用意周到と取るべきか、
「やっと来たね、おれは駒込ユウタ。キミがHEKAKINを利用しておれ達所有者を呼び出した犯人かい?」
小柄な男はそう言った。
「ああそうだ、俺がHEKAKINを利用した実行犯。しかし真犯人は別にいる、単刀直入に言うと俺はその真犯人のCfを奪いたいんだ」
「キミってせっかちだね。まあまあ、折角だからおれの話を聞いておくれよ。Cfってさ便利だけどなんか変身方法とか決まっててちょっと不便じゃない? ま、そのお陰で今日の計画思いついたんだけどさ。
あ、ちなみに今日実際テレビに出たのはネットで会ったシゲオさん。お金と引き換えに協力してくれたんだ」
既に顔見知りの友達のように話しかけてきた。
「あとテレビ局の不審者っての、アレおれなんだ。退屈したからさ、ちょっとイタズラしたらあの騒ぎ。みんな馬鹿だよね」
ケケケケケケと笑う。なんかヨシオよりもタチが悪い。