表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/53

計画(4)

 電車に揺られて30分、ようやく目的の駅へ着くと足早に改札を出てテレビ局へ向かった。もう7時近くだが夏の空はまだ明るかった。


 やがてテレビ局を目の前にした時ふと立ち止まる。テレビ局なんて入ったことないし、いざ目の前にするとなんか緊張する。いやそんなこと考えてる場合じゃないけど、


 どうやって入ろうか。受付に行って許可を取る? なんの許可だよ。大体テレビ局のどこに所有者がいるかも分からないし、

 その時テレビ局からスーツ姿の男性が出て来た。


ーーあれは確かニュースアナウンサーの川口タクロウ、まさかCfを持ってるってことはなさそうだけど。そうだ……


 俺はスマホからCfを起動して男性の写真を撮った。グニャグニャと変身して川口タクロウになる。


ーーこの体で乗り込むか


 いよいよテレビ局の中へ入る、テレビ局の内部は非常にガヤガヤしていた。恐らくさっきのニュースが原因だろう、受付の女性は報道陣の対応に追われていた。そそくさと奥のエレベーターに乗る。


ーー……とりあえず中に入ったのはいいけど、どこに行けばいいんだろう


 適当にエレベーターの階ボタンを押す。グウゥーッと上昇するエレべーター。


 思っていたがテレビ局は広い、

 こんな広いとこで所有者を捜せって無理じゃね? って思う。せめて何か所有者だと分かる目印を用意してくれればいいのだが……


 一階から全部の階捜してみるか? そんなのあり得ない、何時間かかると思ってんだ。


 エレベーターのドアが開く。

 

ーー……手当たり次第に捜してみるか





 とは言ってもテレビ局なんて来たことがない俺は結局ブラブラとテレビ局を徘徊するしか出来なかった。部屋に入るにも誰かいたら恐いし。


 しかしテレビ局って住めるな、楽屋とかで寝れるしカフェとかレストランとかもあるし涼しいし広いし……って今そんなこと考えてる場合じゃないのくらい知ってるはずなのだが、

 こうしてただ歩いてるだけじゃ所有者と出会うことは出来ないことくらい分かってるのだが、


 コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ……


ーー!


 気づけば背後に誰かの足音。


 目の前の部屋に反射的に逃げ込む俺、しかし我に返る。


 ……なんでこんなことしてんだろ、今は変身してるんだから堂々としてればいいのに、逆に怪しまれるじゃん。


 落ち着け落ち着け。自分は霧山ヒラクじゃない、川口タクロウなんだと自分に言い聞かせる。


 その時、ガチャッとドアが開く。ビクッとして心臓が止まりそうになる。


「な、なんだいきなり!」


「……いや、こっちのセリフですよ。どうしたんですか川口さん。いきなり他の人の楽屋に突っ込んで」


「いや……」


 誰ーー……見知らぬ女。多分同じアナウンサーとかマネージャーとかそんなんだろうと思うけど。彼女はヤケに焦っていた。


「忘れ物をしたんだ。そう、忘れ物……」


「忘れ物? 何を忘れたんですか?」


ーーしつこいなコイツ


「財布だよ財布、財布を忘れたんだ」


「そうですか? なら早く行って早く逃げた方がいいですよ? テレビ局内に不審者がいたって話ですから」


 それだけ言うと彼女は足早にどこかへ行ってしまった。


ーー不審者?


 こんな時に不審者、いや所有者と何か関係があるかもしれない。とにかく早く所有者とコンタクトを取らなければ……


 でも、こうしてガムシャラに捜していては拉致があかない気がしてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ