計画(2)
ボーッとする。ただボーッとしているんじゃなくてこれからどうしようかと考えて、考えようとするが何も思いつかなくて、ボーッとしているのだ。
ショッピングセンター3階のフードコート、その片隅の席でカップに入ったコーラを飲む。
家にいても落ち着かないからとりあえずショッピングセンターに来てみたが、夏休みに入ったからか学生があちらこちらにいて逆に落ち着かない。俺は学生のパリピな奴とか髪を金髪に染める奴とか嫌いだから。
唯一の救いはクラスの奴がいないことだ。こんなとこクラスの奴に見られたら絶対話題にされるに違いないから。
そう考えるようになったのはヨシオのせいだ。ヨシオが俺に変身して勝手なことして、おかげでこんなビクビクした生活。ミホを理由に俺は脅され犯罪のお手伝い。自分は独裁者になる、だから邪魔な奴等は殺す。実際に殺しはまだしてないけど、本人が殺すと言ってる以上放ってはおけない。ヨシオも選ばれた所有者だから。
ーーヨシオさえいなければ……
ヨシオにこんなに振り回されて、何もしないでただ言う通りに動く俺。なんて馬鹿らしい。
そう、ヨシオさえいなければいいんだ。
ーーヨシオを殺す
いや、わざわざ殺すまでしなくてもCfさえ奪ってしまえばいいじゃないか、ヨシオのスマホさえ奪ってしまえばいい話じゃないか。Cfさえ奪ってしまえばヨシオなんて恐くもなんともなくなる。
なんでこんな単純なことに気づかなかったのか。
ヨシオが隙を見せた内にスマホを奪う。例えばお風呂に入ってる内に服を漁ってとか、寝込みを襲うとか……
いや、でもヨシオにはマリナちゃんがいるんだ。マリナちゃんがどれほどヨシオに忠誠心を持ってるのかは分からない。まだ疑ってるのかもしれないし完全にヨシオに心を持ってかれたのかもしれない、それは分からない。
だからこそ、どう動くのかは予測がつかない。
そもそもマリナちゃんの知能のレベルがよく分からない。多重人格のせいで心が変になってるのか悲劇のヒロイン演じてる痛い奴なのかただ単に馬鹿なのか、当の本人じゃないんだから分かるはずもない。
ヨシオはよくもまあそんな奴を仲間にしたなと思う。まあこれもヨシオの策かもしれないが。マリナちゃんがどう動くか分からない以上、俺が裏切ってスマホを奪われるのを抑止してるかも分からない。
でも分からない分からないじゃ何も変わらない、何も始まらない。
要するにヨシオとマリナちゃんの2人からスマホを奪う必要がある訳だ。例えヨシオのスマホだけ奪ってもマリナちゃんのスマホを使って取り返しに来るに違いないから。
ーーしかし、どうやって奪えばいいんだ
ぼーっとテレビを眺める。やることもなく外へ出るのも疲れるから、家でなんとなくテレビを見る俺。
あれから5時間、ヨシオ達のスマホをどうやって奪うかを考えていたが、結局いい案は浮かばなかった。
考えても考えてもキリがない、だから一旦脳をリセットしてまた後で考えることにした。無理矢理考えてもいい案は浮かばないから。
もう6時になる。今日の夕飯どうしようかと、そんなことを考えていた。
不意にそれは訪れる。