計画
「しかしなんでマリナちゃんを仲間にしたんだ? ヨシオならすぐ殺すと思ってたのに」
『おいおい殺人鬼じゃないんだから、僕にだって情というものがあるさ』
「まさか彼女を本気で好きに?」
『さあ? それはどうなんだろうね? まあマリナちゃんチョロいから』
ーーチョロい
そう結局ヨシオは人を人として見ていない。道具としか思っていない。だから平気で嘘をつくし平気で人を傷つける。
そしてそれはつまりミホも道具として見ていたということだ。
『それじゃあ一旦切るね。ヒラク君はもう学校でしょ? ついでに僕は風邪をひいて学校休むって言っておいてね。それからくれぐれも余計なことはしないでね』
一方的にそう言うと電話が切れた。
ーー自分勝手なやつめ
あの後俺達と一緒に行動を共にすることになったマリナちゃん。学校も夏休みに入るからと一緒に生活することになった。
マリナちゃんも女の子。色々荷物があるらしく、今日始発で帰って学校の終業式と東京に行く仕度をしてくるという。ヨシオはその付き添い人として行くらしい。多分『怪しい行動をしないように』だろう。まだマリナちゃんを完璧には信じてはいない証拠。
余計なことするな……か、ミホを探したって無駄だ、だから余計なことするな。そういうことだろう。
ミホはヨシオによってどこかに監禁されている。それがどこかは分からない、分かってたらここまでヨシオの言う通りには動かない。警察に言えばなんとかなるんじゃ? なんて、ヨシオにバレればその時点でミホは殺される。それこそ余計なこと、第三者の力は借りれない。
場所さえ分かればなんとかなりそうなものなのだが。
とはいえこっちも終業式。今日で学校も夏休みに入る。学生にとっては嬉しい夏休みだが俺は憂鬱だった。ヨシオに扱き使われる毎日が待ってると思うと憂鬱でしょうがない。
どうしようか、夏休みはどこかひと気のない山奥にでも隠れるか? それともCfを使って他人として過ごすか? いやいや駄目だ。そんなことしたらミホは殺される。俺の都合で殺されるなんて、それはあまりにも可哀想。
考えるのは自由だが時は過ぎていくもので、
ーー学校行こう。遅刻しちゃう
終業式が終わった。俺の通う学校では校長先生のお話を聞いて夏休みが始まる。校長先生のお話とは言っても、毎度毎度でネタがなくなってきたのか今年は校長先生の身の回りで起こったことを話していた。
そんなこと終業式で言うことか? と思ったが、正直校長先生のお話に興味がない俺にはどんな話だろうがどうでもよかった。他の生徒もそんな感じだったと思う。